本当に不気味な話。やっぱり人間の方が怖いという話。(厳選25話まとめ)

2016年9月7日

今回は幽霊なんかよりも人間の方が怖い話を厳選して25個ご紹介します。

1.自分(女)の名前で検索をかけてみた。

1
すると十数件、同姓同名の人たちが検索に引っかかった。
研究者や会社の経営者、同じ名前でありながら全然別の生活をしている人たち。
その中に「○○○○○(自分の名前)のページ」というHPがあった。

それはプロフィール、BBSだけの初心者が作った感じのよくある個人のHPだった。
プロフィールを見ると、自分と同じ歳であり、趣味なども良く似ている。
BBSなどを見ると、常連っぽい人が5~6人いるらしく、この手のHPとしては
まあまあ流行ってる感じだった。
何となくお気に入りにして、時々見るようにした。

しばらくすると、コンテンツに日記が増えた。
日記は、まあ、そのへんのサイトによくある内容の薄い日記だ。
今日は暑かったとか、日本がサッカー勝ったとか、そんな感じの

ある時、日記の内容が自分の生活とよく似ていることに気づいた。
始めに気づいたのは野球観戦に行ったときだ。
その日、そのサイトの管理人も同じ球場に行ったらしい。
その時はもちろん偶然だなとしか思わなかった。球場には何万人もの人間が行くのだから。
次の日の、日記は会社でミスをしたことについて書いてあった。
私もその日、会社でミスをして少々落ち込んでいた。

次の日も、その次の日も、よく見ると日記の内容はまるで自分の生活を書かれているようだった。
大半は「カレーを食べた」とか「CDを買った」など対した偶然ではない。
しかし、それが何ヶ月も続くと気味が悪くなってきた。

ある日、掲示板を見ると、常連たちが管理人の誕生日を祝っていた。
その日は私も誕生日だ。
それでいよいよ怖くなってきて初めて掲示板に書き込みすることにした。

しかし、書き込みしようとしても、名前
や内容を書くところに文字が打てない。
色々やってみるが書き込めないどころか文字すら打てない。

「おかしいな?」と思っていると、あることに気づいた。
それは掲示板ではなく、ただのページだった。
つまり、一人の人間が掲示板っぽく見せかけて作った一つのページだったのだ。

「いったい何のためにこんなこと…」とすごく怖くなり、
管理人にメールを打った。
「初めまして。私は貴方と同姓同名の人間で、よくこの~」のような当たり障りのないメールだ。

そして次の日、そのページを見ると、全て消されていた。
メールボックスには一通
「見つかった」
という返信があった。

 
スポンサーリンク

2.顔がパンパンに腫れたプリングルスのおじさんと連れている子供

2
僕の学校の通学路にはプリングルスのおじさんと呼ばれる、顔がパンパンに腫れたおじさんがいました。
おじさんは少し知恵遅れなのかな?と思われる新太君という15歳くらいの子供を連れていました。

おじさんは通りがかる小学生に向かっていつもこう話しかけます。
「この子と握手してくれないかな?」
大抵の子は気味悪がって逃げてしまうのですが、僕は子供心になんとなく新太君に同情して握手をしました。
「いい子だね」
おじさんが本当に嬉しそうな顔をしたため、僕も良いことをしたと嬉しくなりました。

次の日、おじさんと新太君はいつもの場所で待っていました。
「この子と握手してくれないかな?」
僕が昨日と同じように手を差し出し握手をすると、ものすごい激痛が走りました。
新太君は手のひらに画鋲のようなものを忍ばせていたのです。

「君のことだけは許せないんだって」

おじさんの冷静な声が響きます。
なんで?同情の裏の優越感を見透かされたのか…僕は瞬間的にいろいろな事を考えました。
でも、こんな仕打ちをしなくたって…
助けを求めるような目でおじさんを見ると、おじさんは申し訳なさそうな顔でこう言いました。

「おじさん、新太に君が息子だったらよかったのにって言ってしまったんだ」

「新太~。ごめんな~。ごめんな~」

僕はその後泣きながら学校に駆け込み、先生たちに一部始終を話しました。
事件はすぐに校内放送で全校生徒に知らされて、先生達も数人で見回りに当たるなど緊張した雰囲気が漂いました。
プリングルスのおじさんは、それ以来姿を消してしまったのですが、かわりにこんな噂が立ちました…

「新太君は病気をうつすために握手してたんだって」

この噂はわりと最近まで僕を悩ませました。

 

3.山道で乗せた赤いワンピースの女性

3
真夜中に山道をタクシーの運転していたときのこと。
深夜ともなりそろそろ帰るかと思い車を走らせると赤いワンピースを着た女の人が立っていた。
見てしまったからには無視することもできずにタクシーを止めて女性を乗せた。
女性は小さな声で山道の上に行ってくださいと運転手に告げた。
うつむいた女性は髪で顔が見えず俯いたままなのでどこか陰気な感じがした。

やがて目的地についたことを告げると女性は黙って降りていった。
草が生い茂った森へ行く女性。運転手は気になりあとをつけてみた。
しばらくすると一軒の家があった。辺りには民家の気配もなく女性は入っていく。
町からも離れ辺りに人の気配もない家を不思議に思い運転手はドアの鍵穴から中を覗いた。

中は何もない赤い部屋だった。
見渡しても赤い部屋で運転手は不審に思いながらもタクシーに戻り山道を降りた。

そして近くにラーメン屋があったので
ラーメンを食べようと店に入りついでに店長にさっきの女性の話をした。
「あ~…あんたあの女性に会ったのか。彼女は昔から病気でふさぎこんでいるんだよ」
「病気とはなんですか?」
「おや?見てないのかい?」

「彼女赤い目をしてただろ?」

女は鍵穴からこちらを覗いていた。

 

4.狭い道路を塞ぐように倒れている変な男の電波すぎる言い分

4
一昨年の夏。会社帰りに上司と飲んで電車に乗り帰宅していました。
終電だったので、地元に着いたのは午前0時をまわってました。
トボトボ歩いて家の近くまできました。

アパートに女の一人暮らし。安い物件だったので、住宅街の奥の方に私のアパートがあるんです。
アパートまで行くには、車もギリギリ入れるような狭い道を通らなければいけないのです。

その道に差し掛かった時、道路に人が倒れてるのに気づき、ちょっと怖かったのですが声をかけてみました。
返事はなくどこか変だと思いました。
なぜなら、うつ伏せになって「きをつけ」をして道を塞ぐように倒れてるからです。
中年の男で紺色のスーツを着てました。

もう一度声をかけようと近くに寄ると、男は何かぶつぶつ言ってました。
少し怖くなり、素どうりして行こうと思ったのですが、道いっぱいに男が寝ているので跨いで通るしかないのです。
しかたなく、男の足のほうを跨いで男を踏まないようにびくびくしながら跨ぎました。

すると男が起き上がり、私を睨み付けながら
「お前、俺の影を踏んだな。お前のせいで全部台無しだ!」
と叫び、いきなり追いかけてきたのです。

わたしは悲鳴をあげながら死に物狂いで家まで逃げ、鍵を掛けてすぐ警察を呼びました。
5分くらいすると警官が2人きたのですが、その不審な人物は見つからなく「夜道の女性の一人歩きは危険です」と説教するとすぐ帰っていきました。
警官が帰った後も、私は怖くて電気をつけてその日は寝ました。

翌日、会社に出勤する用意をしてドアを開けると紙が張ってありました。
汚い字で書き殴ったように
「あなたを一生恨みます。絶対許さない」
と書いてありました。

その後、その男を見ることはなくなりましたが、危険すぎるということから私は引越ししました。
とても怖い出来事でした。みなさんも気をつけて。

 

5.大阪西成のマンションに現れた頭おかしい女の人

SONY DSC

去年まで大学のある大阪にいたんだけど、住んでたのは西成にあるワンルームマンション。

西成って書けば分かる人もいると思うけど、変な人がすごく多い。
ホームレスは盛り沢山だし、やくざ事務所もいっぱいあるし(黒いつなぎの黒○会は見た目からしてかなり怖い)売春宿もジャンキー(シャブ売ってるとこ知らん?って聞かれた事もあった)も頭おかしい人もまぜこぜの町。

まぁ、それはいいんだけど、その西成のマンションの一階に住んでたのね。

オートロックじゃないから、不審者も結構マンション内に入ってきたりして、ポストに電波文入れられたり、勝手にドア開けられそうになったり、マンション内にあるコインランドリーのお金入れる部分だけもぎ取ってく奴いたり…

ある日の深夜、家でテレビ見てたら、ドアの向こうから猫の鳴き声が聞こえてきたの。
かん高い声で、寂しそうに何回も何回も鳴いてた。

しばらくしたら郵便受けの所を、カリカリカリって。

多分、爪で引っ掻いてるんだろうな、そんなに中に入りたいのかな?
とか思って、鳴くのも止めないし、中に入れてやろうかなって思って玄関まで行って、ドアスコープ覗いたのね(場所柄ドア開けるとき覗く癖ついてたw)。

そしたら、ドアの向こうで女がこっちじいーっと見てた。
びっくりしてすぐに目を離したんだけど、今度は郵便受けがガッチャンガッチャン鳴って、さっきのカリカリってのも女がやったんだなって分かった。
怖くて動けなくて、しばらくしたら足音が聞こえてどっか行ったのが分かったから、すごくほっとした。

あの女、完全にイってたと思うけど、あれはほんと怖かった。
寂しそうな猫の鳴き声ですらあの女の声だったと思うと、ほんとガクブルもんでした。

 

6.友達と遊んでて本当に怖いのは人間なんだって痛感した

6
友達と二人でメシ食って別れてすぐ、その友達から電話きたんだよ
俺の車に仕事服忘れたから取りに行くわって
で、別れた場所から俺ん家近かったから友達もすぐに来たんだよ
そしたら友達がなんか変な人いたんだけどって言うわけだ
俺ん家は国道から脇道に入った住宅街で街灯はあるけど人通りは夜になると少ないんだよ
俺は酔っ払いじゃないか?って言ったんだけど友達いわくあれは酒じゃなくて薬っぽいって
詳しく聞いたら腕をぐちゃぐちゃにブンブン振り回しながら奇声発してドブにぶちこけながら同じところをずっと走ってたと

俺も今の家に5年近く住んでるがそんなやつ見たことなくて普段なら酔っ払って歌歌ってるじいさんがいるくらいなんだよ
で結構でかいドブがあるからそこに落ちてたら危ないぞ見に行くかってなってそいつを目撃した路地まで車で行ったんだよ

車でゆっくりそいつがいたとこ行ったけど誰もいなくてさ
友達に幽霊でも見たんじゃないか?って冗談で言っててちょっとドブ見てみようぜって車降りてiPhoneのライトで照らしながら捜索したんだよ

したらドブにデカイ丸太みたいなのが転がってて二人ともうわぁっ!つってビビってさ
笑いながら車戻って別の路地入ってみたんだがやっぱり誰もいねえの
だからまあ明日も仕事あるし帰るかってなって空き地で車まわしたんだわ

でゆっくり徐行しながら来た道戻ってたら友達が来た来た来た来た!後ろ後ろ!つってアクセル踏み込んだから助手席からサイドミラー見たら後ろから男が全速力でなんか言葉なのかなんなのかわからないの叫びながら腕振り回して全速力で追いかけてきてんの

でうわぁぁああああああ!つって友達と二人であれなんだよ!って国道に出ようとしたんだが信号が赤で止まらざるを得なくて道それてまた近くの空き地に入ってエンジン消して息ころして隠れたんだよ
したらさっきの男がハアハア言いながらなにか探してんの

もうそのなにか探してる様見たらあああれは酔っ払いじゃないなって
薬なのかハーブなのかとりあえず頭がイッてるやつだと
でちょうど信号が青になったのが空き地から見えたからエンジンかけて国道沿いのTSUTAYAに逃げ込んだんだ

友達と二人で、とりあえず息整えてあれはヤバイなとか、俺の家の近所なんだが歩いて帰りたくないからこのまま車で送ってくれよつって、コンビニで飲み物買ってちょっと時間置いてまた国道から脇道に入ったんだよ
したらまあさっきのやつはいなくて
ただいつ路地から飛び出してくるかわからないから気をつけろよと

んで俺の住んでるアパートの前で降ろしてもらおうとしたらまた前から走ってきてんだよそいつが
なんか家バレたらヤバイと思って友達にバックしてとりあえずまた空き地入れ!つってUターンでまた別の空き地に入って隠れたんだ
もう二人ともやべーやべーって笑けてきてさ
ただ内心は心臓バックバクでビビり倒してんだわ

したらさすがに車覚えられてたのかもう完全にバレバレで走ってこっちに一直線で向かってきてるの
ただもうなんか二人とも気が動転してたのか隠れるのに必死で息ころしてじっとしてるしかできなくてそいつが車の後ろに立ってなんかしてるの見てるしかなかった

まあなんかしてるっつうか完全に立ちションしてんだわ なんかゴニョゴニョ言いながら
友達も俺もあまりの出来事にえ?え?ってなって固まってた
でそいつションベン終えると友達の車の後ろの窓に何か書いて運転席の友達ジーっと見てまどにベッタリくっついてハアハア言って走ってどっか行ったんだ

走り去って行ってからも俺ら二人は5分くらい固まってて何だよあれ何書いてたんだよってなってとりあえず車降りて確認したんだよ したら友達の車のナンバー書いて漢字一文字「覚」って書いてんの
ただションベンは車の近くにしただけでかけられてはなかったみたいだった
もうその覚って漢字に鳥肌たってさ
なんか二人ともどっと疲れてその後は家に送ってもらって気をつけろよ!つって解散した

もう今日から家のチェーンロックもするし涼しいから窓も開けて寝てたんだけど閉めるようにして夜はあまり出歩かないでおこうと誓った
5年住んでて初めてあんなやつ見たんだがまあ確かに俺ん家の周りは右寄りの人とか引退した組長さんとか多いらしいから薬関係が濃厚じゃないかと思う

みんなも涼しくなったからってあんまり深夜徘徊したらホントに危ないやつに出くわすかもしれないから気をつけろよ!
今回車だったからいいけど歩きだったらと思うと…
ちなみに高知な

 

7.壁と話す男

7
この前エレベーター乗ろうとしたらさ、男がいたのよ。後ろ向きで。

エレベーターに人がいても驚かないけど、後ろ向きで乗ってる人ははじめて見たからちょっと驚いた。
一瞬戸惑って乗ろうか迷ったんだけど、掲示物見てるとかだったら失礼だし、みたいなつまらない気をつかって乗ったの。
なんかブツブツ言ってるから背中向けたくねえと思って壁を背にして横にポジションキープ。
となりちらっと見たら、直立姿勢のまま壁まで10cmくらいまで顔近づけてて憤怒の形相。
鬼のような顔ってのはあのことだね。
南無三!と唱えて早く一階に着くことを祈った。
八階だから下まで結構時間かかる。

「だーかーらー、貴様が言うか!ボケェ!」

「お、お、お俺のせいか!?あ!?」

ブツブツっていうかもう怒鳴ってるよね。
まだ6階かよー…と一階一階嫌な汗かきながら数えてた。
ようやく一階についてそそくさと逃げたんだが、離れてからエレベーター見ると男はおりていない様子だった。

翌月くらいかな、またそいつに会った。今度は地下通路で壁と話してた。
それから頻繁にそいつを見るようになって、とうとう自分家の近所にまで現れた。
やばい、キチに狙われてる?と膝ガクガク。
たまたま友人と歩いてたときにそいつがいたから、「またいるよ、あいつ」と言ったところ友人が「誰?」と
そこで壁と話してるやつだよ、と言っても誰もいないじゃないか、と。
そこで初めてこの世のモノじゃねえ!と気づいた。
そういえば会社のエレベーターで見たときも残業で一時すぎてたしな、となんだか納得。
幽霊なら刺されることもないだろうと逆に安心した。そしたら、とうとう家のドアの前に現れた。
ドアと話してるからドア開けられないし、一旦逃げようとコンビニへ。戻ったらいなかった。次の日は家の中に現れた。冷蔵庫と話してた。
家には出ないと思ってたから、流石に怖くて、キッチンの塩ふってみたけど効果無し。
諦めて寝ようとしても怒鳴り声が煩くて眠れない。すっかり寝不足。

ムカついたから「うるせえんだよてめえ!消えろ!」と怒鳴りつけた。
次の日寝てたら顔のまん前に現れてブツブツブツブツ。
精神的にかなり参ってたと思う。
「なんなんだよてめえ!俺がなにかしたのか?ふざけんなよ!」
とそいつが現れる度に怒鳴り合ってた。んでね、ある日それを友人に見られまして

「お前壁と話してたよ…」
と。ああ、なんか合点がいった。そういうことか、と。直ぐ様病院へ行きました。精神病だと思ったんだよ。結果は脳の血管がふさがってなんちゃらかんちゃらで、バイパスが出来て助かったけど危なかったと言われました。
あれが幽霊なのか幻覚なのかは分からず仕舞いです。

 

8.タクシー運転手の会話がおかしい

8
これはまだ僕が京都で大学生だった時の話です。

当時バンドを組んでいた僕は、週末の夜になるとバンドメンバーとスタジオに入り練習をしていました。
その日練習が終わったのは夜の一時。季節は夏で、京都特有のけだるい、のしかかるような蒸し暑い夜でした。
そのスタジオは家から遠く、いつもはバスで帰るのですが、時間的にもうバスも走っていなかったので仕方なくタクシーを拾いました。
背中に背負ったギターケースをおろし、あー、無駄な出費だなぁ、次のライブのノルマもきついのになあ、なんて思いながらタクシーに乗り込みました。
50代くらいのどこにでもいそうなおじさんが運転手でした。ガンガンに冷房の効いた車内が汗をかいた体にありがたかったのを覚えています。
「○○通りまで」と、行き先を告げると運転手さんが話しかけてきました。
「○○通り(行き先)に住んでるってことは○大の学生さん?」
「はい、そうです」
「あの近く、ボーリング場があるでしょう?私ボーリングがすきでねぇ、社のボーリング大会でも結構いいとこまで行ったんですよ」
「へえ、そうなんですか」
正直そのときは練習のあとで疲れていたので話したくはなかったのですが、気さくに笑った目元がミラー越しに見えたので、話し好きのいい運転手さんなんだなと思い、しばらく相槌を打っていました。
そうして話し込んでいると、妙な違和感を感じはじめました。

こちらの返答とまったく関係のない話が急に出てきたり、なんとなく話の前後が合っていないのです。
まぁ、そういう話し方をする人はたまにいるよなぁ、と気にも留めていませんでした。
が、しばらくすると、
「・・・ところで○○通りに住んでるってことはもしかして○大の学生さん?」
「あ、はい」
「あの近く、ボーリング場ありますよね?私好きなんですよ。こう見えてうまいんですよ」
「・・・」
「○大の学生さんっておっしゃいましたよねぇ?」
「あ、はい」
「ボーリング場の近くですよね?いいなぁ。実は私ボーリングが趣味でして」
「あの・・・」
「○○通りの近くはいいですよねえ、あ!○大の学生さんでしょう?」
「あの近く、ボーリング場があるでしょう?私ボーリングがすきでねぇ、社のボーリング大会でも結構いいとこまで行ったんですよ」
「○大の学生さんっておっしゃいましたよねぇえ?」
こんな感じで、会話がずっと同じ内容でループし始めたのです。
ものわすれがひどい年齢には見えませんし、そういった類のものとは違う、なにか得体のしれない不気味さを感じました。
僕のうつろな返答にかまわず、運転手は延々同じ話題を繰り返しています。
密閉された真夜中の車内は、暗く重く、いやな汗が背中から吹き出し、効かせすぎた冷房に冷やされて寒気さえ感じていました。
ミラー越しにはさきほどと同じ笑った目元が張り付いたままでした。

突然、会話がふっと途切れました。この奇妙な会話から解放されたのか?と思った瞬間、
ドンッ!!という衝撃音が車内に響きました。
ビクッ!と身体を硬直させながら見ると、運転手が左足を、まるで何かを踏み殺すかの勢いで床に打ち付けているのでした。
それも一回ではなく何度も何度も。ドン!ドン!ドン!と。
「ああああああああああああああああ。あああああああ!!!」
さらにはこんな唸り声まで上げ始めました。
運転手は足を、今度は貧乏ゆすりのようにゆらしているのですが、力いっぱい足を上下しているので車がグラグラ揺れるほどでした。
なぜ?前の車が遅かったのが気に障ったんだろうか?それとも僕が何か怒らせることを言ったんだろうか!?ていうかこの人ちょっとおかしいんじゃないか!?
僕は完全に混乱してうろたえていると、
「お客さぁん、○○通りに住んでるってことはもしかして○大の生徒さん?」
・・・と、また同じことを僕に聞いてきたのです。
グラグラと貧乏ゆすりをしながら。目元にはあの笑顔を張り付けたまま。
この時僕は、もはや違和感や不気味さなどではなく、はっきりとした恐怖心を抱いていました。
自分の命を、明らかに異常な男の操縦に預けている。
これを意識した時の恐怖は今でもはっきりと思い出せます。
しかも運転は明らかに荒くなっており、曲がるたびに右へ左へ体がふられ、前を走る車にはクラクションを鳴らして強引に前に割り込んでいくのです。
京都のタクシーが運転が荒いのは知っていましたが、乗客に死の恐怖を感じさせるほどではありません。
このときは、本当に死ぬかもしれないと思いました。

おろしてくれ!と叫びたかったですが、情けないことに、人間本当に怖いと声が出てこなくなるようです。
なにより、運転手に下手な刺激を与えたくなかったので、僕はただただじっと石像のように固まっていたのでした。
・・・そして、恐ろしいことに車は○○通りへはあきらかに行けない方向へ進路を変えだしたのです。
もう限界でした。ぼくはやっとのことで
「・・・あ、お、おろしてください!ここで、ここで大丈夫ですから!」
となんとか声を出しました。
・・・すると、意外にも運転手は「あれ、そうかい?ここじゃ遠くないかい?」とごくごく普通なトーンでしゃべりながら車を脇に寄せました。
話相手にしちゃってごめんね~などと言いながら、さきほどと比べると不自然なほど自然な対応で運転手は僕に金額を告げました。
僕は、さっきまでの恐怖心は、自分の思い過ごしだったのか?僕が神経質に感じ取りすぎていたのか?と、いったい何が現実だったのかわからなくなるような、白昼夢を見ていたような気分でした。
解放されたということで少し放心状態でもありました。
・・・とにかく、外に出よう!そう思い急いで金額を渡し、運転手の「ありがとうございました!」という声を愛想笑いで受けながら、
ギターケースをひっつかんで外へ足を踏み出そうとすると、運転手が、あの張り付いたような笑顔で、こう言いました。
「・・・お客さぁん、もしかして○大の学生さん?」

以上が僕の体験した怖い話です。そのあと近くの友達の家に駆けこんでこの体験を話したんですが、うまく伝わりませんでした。
体験した僕以外は怖くないのかもしれません。
ですが、あの異常な運転手は今でも京都の夜を走っているかもしれないと考えると、得体のしれない恐怖がよみがえってきます。
京都の方はくれぐれもお気を付けください。ちなみにそのときは四条大宮で乗りました。
途中で規制でとぎれてすいません。長文駄文失礼いたしました。

 

9.近所に住んでる人

9
GW中に、家族みんなで実家に帰ってたんです。
帰省してすぐ、庭で洗車してると、むかしから近所に住んでる人(A)を見かけました。
当時からあぶない雰囲気の人で気味が悪かったのですが、
年を重ねた分(40位)よりいっそうあぶない感じで明らかに普通じゃなくなってました。
子供の頃、苛められた記憶もあり、かかわらない様にとその時は車の陰に隠れてやりすごしました。
後で母親に聞くと、Aは中学出てずっと仕事もせずに家にいるらしい。

近所なのでたまに見かけるが、そこの家庭とは廻りの皆も交流がなく詳しくは知らない、との事でした。
それからしばらくして近所の自販機で煙草を買ってるとタイミング悪くAと鉢合わせしてしまいました。
先に譲ろうと思い、「どうぞ」といったのですが
「うーぅー!」と唸り声をあげながら睨みつけてくるだけで煙草を買おうとはしません。
こりゃー付き合いきれんな、と先に買ったのですが、その間中Aは唸りながら睨みつけてきてました。
この時、頭に来て「なんやこら!」と反応してしまったのが失敗でした。

その時はそれ以上は、何もなく帰宅したのですが、しばらくして子供を庭で遊ばせようと思い、
外に出てみると、なんとAが自宅の庭に立っているのです!
子供や親もおり、これ以上奴を興奮させてはまずいと思った私は
「すいません。私が悪かったですから。さっきはすいませんでした。」
と謝ってみたのですが、その場所から微動だにせず、じっと私を睨んでいます。
2才の子供も異様な雰囲気を察知し、泣き始めました。
私はAと目を合わせない様にしながら、子供を抱きかかえあやそうとするといきなり!
私と子供の顔の前に顔を押し当て「ヴェーー」と大声で奇声を発しながら睨みつけてきました!
この世の者では無い形相でした。

「ギャー!」
Aは私の慌てふためいた姿を確認すると、
悠々と勝ち誇ったかの様に口の端を歪に捻じ曲げた笑顔を見せながら去っていきました。
それからは帰省中の間、幸い何事も無く、
また家族の皆にも不安や恐怖を与えてはいけないと思い、
だれにも言わずに実家から帰ってきたのですが、
先日母親から電話があり「Aが庭や前の道路から家の中を覗いてる」と怯えて電話してきました。
今は雨戸を閉めて寝る様にさせているのですが、
このままではいつ両親が何らかの被害にあうのではないかと心配で夜も寝られません。

 

10.ドアを鬼の形相で蹴ってくる包丁男

10
私が住むマンションは、1Kという事もあって単身者(特にお年寄り・障害者)の方が多く住んでいます。

ある日の深夜2時頃、ベッドに寝そべって本を読んでいました。
すると
「ドン!ドン!ドン!ガンガン!!」
と、もの凄い音と衝撃が玄関から聞こえました。

明らかにドアを蹴られてるような音。
一瞬苦情かと思ったけど、本を読み始めて2時間。TVも音楽もつけてません。

恐る恐るドアの覗き窓から見ると、50代位の小柄な男が部屋のドアを鬼の形相で蹴っていました。
見覚えは全くない。それに住人とのトラブルも今までありません。
話を聞こうと、チェーン(ステック状の)を掛けたままドアを開けると、その隙間から包丁が乱舞!
ドアノブの引っ張り合いになったけど、私より力は弱くドアは何とか閉まり、慌ててロックしました。
その間、包丁は突っ込んできたけど、こちらの顔は相手は見てません。
私は
「一体何なんですか!?」
と問いかけると、蹴るのを止め考え込むような時間の後、エレベーターで立ち去りました。
何かしらの喧嘩・苦情を言う部屋を間違えたのかと納得し(包丁沙汰は驚いたが)、その日は寝ました。

そして、その二日後の深夜三時半にまたあの包丁男がやって来ました。
寝ていた私は恐怖よりも怒りが強く、ダッシュで玄関まで行くと
「お前何時や思とんねん!人違いですまされんぞ、コラ!!」
と怒鳴り返しました。
すると意味不明な言葉を発し、向こうもいきり立っていきました。

怒り限界の私は、棚を作るのに置いていた角材を片手に殴ってやろうか、我慢して警察に通報するかしばし悩みました。
そして、やはり通報を選んだ私は人相を良くもう一度見ておこうと、覗き窓から相手の顔を見ました。
いつも蹴っている状態なので、ドアから少し離れて俯き加減だったので、この時がちゃんと正面から見た最初でした。

男は、覗き窓に顔をピッタリくっつけてました。
そして、その目は白目だったのです(白内障か?興奮しすぎて白目だったのかは謎)。
イカレテル…携帯を片手に警察に通報し、5~6人位の警察に来て貰いました。
もちろん、男はもういません。

ただ、その時期まだ寒く上着も着ないで包丁もそのまま持って来ていたので、このマンションの住人には間違いありません。
ただ、8階建ての大きなマンションなので出入りも激しく犯人を特定は出来ませんでした。
しかし、犯人も警察が来た物々しい雰囲気を感じたのか、もう二度と来る事はなくなりました。

しかし、一週間前にまたあの音が…
ドアを開けて確認しなかったけど、どうやら階下の住人の部屋に現れたようです。
私は、いつかこの男が本当の殺人をして終わるのではないかと不安に思っています。
心霊の話じゃないけど、人間の話も過去に出ていたので書かせて貰いました。

11.ストーカー

私が中学3年生だった時のことです。

隣町の大型スーパーに家族で出かけました。
はじめ私はひとりで文具売り場に行き、陳列棚の間で商品を見ていました。
すると、左手の方から人がやって来るのが視界に入ったので、後ろを通りやすいように商品側に寄りました。

しばらくして、背中になにかぶつかりました。
振り返ると、さっきの人が通り過ぎただけでしたが、私にぶつからないで通れる充分な幅があったのに、おかしいなあと思いました。
次に私は、CD売り場に行きました。
CDを手にとって、曲目をチェックしては戻す、ということを何度かしているうちに、私の向かい側に人が立っていることに気づきました。
陳列棚は両側にCDを並べてあるので、向こう側のCDを見ているんだな、と思いました。

しかし、しばらくたってもその人はその場から動かないので、なんとなく私は顔を上げてその人を見ました。
すると、その人は私を見ていたのです。
私と目が合っても、一向にそらそうとしません。
それどころか瞬きもしていません。
たまらず私のほうが目をそらしました。
心臓がドキドキいっています。
この人は一体なんなんだろう???…

びっくりして私は移動しました。
さりげなく別のCDを探しているふりをしました。
やはりしばらくして、その男は私の向かい側にやって来ました。
しかし今度はさっきとは違います。
陳列棚の向こう側は、CD売り場の外で、ただの通路です。
ポスターこそ貼ってあれ、CDは置いてません。
私が顔を上げると、やっぱり彼は私をじっと見ています。

この瞬間、私は思いました。
文具売り場で背中にぶつかったのは、こいつだったのか!!
あの時は後姿しか見なかったが、服の色がなんとなくこんな感じだった。
…ということは、あの時から私の後をつけてる?!

キモイ!!!というより、怖い!!!
私は家族のところへ行こうと思いました。
しかし、ダッシュで逃げたら相手もダッシュで追いかけてきそうな気がして怖かったので、なるべく平静を装ってCD売り場を出ました。

しばらく歩いて、後ろを降り返ると、ヤツはいませんでした。
へっ??…拍子抜けしたと同時にほっとしました。
私の勘違いだったのかな?
とにかく家族を探そうと、エスカレーターで階を移動していると、ちょうど上りと下りが交差する辺りで、奴と目が合ってしまったのです。

ヤバっと思った瞬間、なんと奴はエスカレーターを逆走し始めました!!
やっぱり勘違いじゃない!!!
再び恐怖が湧きあがってきます。
私も走りました。
一刻も早く家族に会いたい!!、その願いが通じたのか、エスカレーターを降りたところで、家族と合流しました。

なぜか私は男に追われていることを話せずに、
「はやく帰ろう」
そう言うのがやっとでした。

買い物は終わっていたらしく、
「じゃあ帰ろうか」
と言われ、駐車場に向かいました。

私はまだドキドキしていました。
エスカレーターを逆走した奴は、同じ階、いや、もうこの近くにいるはずです。

後ろから声がしました。

「ひとりじゃないのか」

 

12.配達先で家の中に無理矢理連れ込まれたお姉さん

12
Aさんが大学生の時、お中元の配達のバイトをしました。

自分の車を持ち込んで家などを回る仕事です。
たくさん回ると時給以外に報奨金も出るため、その日も暗くなる時間まで配達に回っていて、やっと最後の1件になりました。
大きめの家の前で玄関から見える位置に車を停め、呼び鈴をならすと中から感じのいい中年の奥さんが出てきました。
荷物を渡すと、奥さんは玄関の横の部屋に印鑑を取りに行きました。

奥さんは、はんこを持って出てきましたが、なんか様子が変でした。
急にAさんに向かって
「荷物の中身がおかしい。一度開けて詰め直したでしょ?あなたがやったの?」
とまくしたて始めたのです。

身に覚えのないAさんが唖然としていると、その奥さんは
「分かっているから正直に言いなさい!今営業所に電話するから上がって!」
とAさんを無理矢理な形で家の中に連れ込んでドアをぴしゃりと閉め、カギまでかけました。
「そんなことしてません!」
と言ったものの、奥さんは何も耳に入らない様子で、泣きそうなAさんを前に電話をかけ始めました。

電話がつながって奥さんが話し始めると、Aさんはさらにびっくりしました。
「もしもし、警察ですか?今うちに配達の人が来てるんですけど、ハンコを取りに隣の部屋に行ってふと窓から外を見たら、その人の車に刃物を持った男が乗り込んで後部座席に隠れたのが見えたんです」

電話が終わると奥さんはAさんに向かって
「ごめんね、怪しまれると逃げられると思って」
と演技だったことを打ち明けました。

5分もしないうちに警察が来て車を取り囲み、男は逮捕されました。
近くの精神病院から抜け出してきて、家に帰るために車を奪おうとしていたらしいです。
頭のおかしい人だったので、新聞には載りませんでした。

 

13.誰も近寄りたがらない同級生

13
自分が高校の頃の話です。

自分は美術部に入っていて、自分で言うのもなんですが、その部の中では1番絵が上手いみたいな感じで、絵が仕上がる度に結構みんなからチヤホヤされてたんです。
しかも、美術部に男は少なく、ほとんどが女子だったので、数人の男子からは
「絵が上手いとモテモテでいいよなー」
とか羨ましがられてました。

自分は、少し複雑だったのですが。
しかし、自分と同じぐらい、いや、むしろ自分より上手い人が部の中にいたんです。髪の長い、女の子。
しかし、その人は何か陰湿な感じで、その人がどんな上手い絵を書いても、誰も見てくれはしませんでした。
先生も、自分の方をえこひいきして、自分はその人が可哀想に見えてなりませんでした。
そして、ある日のこと。自分はその人に声をかけたんです。

「○○さん、絵かなり上手いよね?絶対俺よりも上手いし!」
自分はその時、心の中でセリフが決まっていたもんだから、その人が書いてる絵に目をやっていませんでした。
するとその女の人は、今までの陰湿なイメージを吹き飛ばすような微笑みを見せました。
何だ、この人、実は明るいんじゃん!

自分は、その人との話題を作るために、その人が書いてる絵に目をやりました。
鮮やかな赤い絵の具が光る、綺麗な色彩画。
と思いきや、俺の死体。

皆がこの人に近付かない理由がよく分かりました。
ちなみに、後の友達の話によると、その女の人は、好きな人の死体を書くのが趣味らしい。
異常ですよね。

 

14.追いかけてくる男

14
この話はちょっと心霊現象とは違うかもしれませんが、異常に恐ろしい経験だったので書き込みます。
皆さんはどのように感じるでしょうか。

大学時代の飲み会の帰りの出来事です。
最寄の駅での飲み会だったので、駅まで自転車で行き、帰りも自転車で家へ向かっていました。
夏の夜風が酔い覚ましにちょうど良かったのを覚えています。

気分よく自転車を走らせていると、前方の街灯の下に何か黒い影が見えました。
特に何も感じなかったので普通に近づいていって解ったのですが、それはうずくまった男性でした。
どうやら気分が悪いらしく、肩が大きく揺れるほどの深呼吸をしており、うめき声もあげていました。

(なんだ、酔っ払いかよ…)
そう思いつつ一回は通り過ぎたのですが、ほって置くのもなんだよな?と思い、引き返して男性に声を掛けました。

「大丈夫ですかぁ?」
するとその男性は
「ええ。」
と返事をしながら、ゆっくりと顔を上げました。
「ひっ!!」

私は思わず悲鳴を上げてしまいました。
その男性の顔は、火傷でもしたかのように酷くただれていて、元もとの顔がどんなだったかが想像出来ないほどだったのです。

私のそんな態度に気分を害したようで、その男は
「俺の顔に何か付いているのか!」
と少し怒ったような口調で言いました。

私は恐ろしくなって、その言葉が終わるか終わらないかの内に自転車に飛び乗り、一目散に逃げ出しました。
しかし、後ろから追いかけられているような気配があり、不利婿ことも出来ずに必至で自転車を走らせました。

気づいたら薄暗い公園に着いたのですが、<コツ…コツ…>と後ろから不気味な足音が近づいてきて、私はパニックに陥ってしまいました。
また自転車を走らせ、もっと明るい場所に行けば良かったのですが、人間パニックになると本当に考えが回らなくなるモノです。
その時公園内で目に付いた一番明るい場所、トイレに逃げ込んでしまったのです。
一番奥の個室に入り、鍵を掛けてじっと息を潜めていました。

<コツ…コツ…コツ…コツ…>足音がトイレに入って来ました。

<ギィー…>トイレに入ってすぐの個室が開けられる音がしました。

<…バタン…>ドアが閉まります。

<コツ…コツ…コツ…>狭いトイレの中に足音が響きました。

<ギィー…………バタン…>順番に開けては閉めていました。

(あぁ、次はこのドアだ…)

私は恐ろしくなって、必至でドアノブを押さえ、ただただ顔を伏せているだけでした。
息を殺しているのですが、早くなった心臓の鼓動は非常に大きく聞こえて、あの男に聞こえてしまうのではないか?と思うとまったく生きた心地がしませんでした。

<コツ…コツ…コツ…コツ…>

(…ん?)

不思議な事に、その足音は私の入っているドアではなく、出口の方へと消えて行ったのです。
(まだ油断は出来ない。)
そう思った私は、そのままの姿勢を崩さず、じっと息を殺していました。

どのくらい経ったでしょうか。
そとも薄っすらと明るくなってきましたので、(いくらなんでも、もういい加減に大丈夫だろう。朝にもなったし、そろそろ人が出てくる時間だし。)私は意を決してドアの鍵を開け、そーっと隙間からトイレの中を確認しました。

当たり前ですがあの男の姿はありませんでした。
ドアの上下の隙間があまり開いていなかった為に気がつきませんでしたが、外はだいぶ明るくなっており、昨日の深夜の出来事が嘘のようでした。

ずーッと同じ体勢で力を入れていたので、全身にだるさがありましたし、晴れ晴れとした気分だったのでウーンと背伸びをしました。
「ヒッ!!」

次の瞬間、私は凍りつきました。
背伸びをしたときに何気なく目をやった個室外側の小窓から、あの男が覗いていたのです。

(あいつ、一晩中こっちを見ていたのか!!)

私は人の姿を求めて、一目散にその場から逃げ出しました

 
スポンサーリンク


 

15.誰のこと?

15
26年生きていて1番恐かった体験を書きます。
僕は4年前に入社して以来、2年間社員寮で暮らしていました。
そこは社員寮とは言っても、70年代風の普通の一軒家で、同僚のYが一緒に住んでいる以外は寮長もいない住まいでした。

仕事は24時間、3交代ですが、新人の半年間は夜勤をやらせてもらえません。
話は、半年後に初めて夜勤をやったときのことです。
その日、僕は身体がくたくたになり寮で泥のように眠りました。

目が覚めたとき、昼前だったと思いますが、やけに耳障りな音で目が覚めました。
頭がはっきりしてくると、それは声であることがわかります。

ブッ殺すぞ!

ブッ殺すぞ!

ブッ殺すぞ!

殺してやる!

ブッ殺すぞ!

絶叫する声。隣の家からです。
子供の声とも老婆の声ともつきませんでしたが、とにかくすごい剣幕なのです。
壁などを手当たりしだい叩きまくる音もします。
キチガイじみた人が隣に住んでるんだと思い、憂鬱になりました。

次の日、会社でこの話をしたところ、有名らしく、以前この寮に住んでいた先輩も
「ああ、隣に住んでる人ね、ちょっとおかしいんだよ。そのうち慣れるから」
といっていました。

確かにそれから数ヶ月は気にせずに過ごせたのですが…

ある夜、昼間の勤務を終えて寝ようとしていたとことに例の
「ブッ殺すぞ!」
という声が聞こえてきました。

こんな夜遅くにまで!さすがに腹が立ちそうになったのですが、ちょっとおかしい。
声が寮のすぐ外から聞こえる気がする。
そもそも、ブッ殺すって、誰を。
そう考えると背筋が寒くなるのがわかりましたが「自分のはずがない」と言い聞かせ、その日は寝てしまいました。

それから数日間、隣の家は静かでした。
その日も僕は仕事から帰り、寮の鍵を開けて、玄関に入りました。
すぐに服を着替え、風呂に入る。疲れが体から抜けていきます。
風呂から上がって、2階の自分の部屋に戻ろうと階段をのぼった、そのときでした。

視界の端に、後ろから階段をのぼってくる人影が見えたのです。

ああ、Yか。
しかし、それは違うことにすぐに気がつきました。

Yはそのとき夜勤で、今は会社にいるはずだからです。
背筋に冷たいものが走ります。
じゃあ、誰なんだ?
僕が振り向くか振り向かないかの次の瞬間

ブッ殺すぞ!!!!!!

そこには、いつも隣の家で叫んでるあいつがいたのです。
僕は前身の毛が逆立ったのを憶えています。
子供とも老婆ともつかない声のそいつは容姿も子供のような老婆のようで、目は見開き、鼻はつぶれ、口は曲がり、とてもこの世のものと思えませんでした。
だいたい、いつから、どうやってここに入ってきのか。混乱している僕に向かってそいつは突進してきました。
手には得体の知れないものを持ってます。

僕は必死の思いで
「誰だてめーは!!」
と叫ぶと、そいつは急に驚いたように玄関から逃げていきました。
そしてそいつの去ったあとにはうんこのような臭いのする足跡が残されていました。

その後警察を呼び2度とこういうことはありませんでしたが、本当に最悪な出来事でした。
今はその寮も後輩が使っていますが、いまだに階段をのぼるとき誰かが後ろから追いかけてくる気がして恐くなります。

 

 

16.『お得な』アパート

16
おととしまで住んでたアパートの話。

引越しをしようと決め、物件探しをしてるとき
「ちょっとした縁で安くできるから」
と、そのアパートを不動産会社から紹介された。

部屋は1K、ロフトつき、日当たりも良し。
大き目の収納もあり、交通の便もよく、ほとんど文句ない物件だったのでちょっと奮発してそこに速攻で決めた。

当時ネコを一匹飼ってた(前に住んでた部屋はペットOKのボロアパート)んだが、そのことの許可をもらうのを忘れてしまい、
「ま、あとでうまくごまかせばいいか~」
てなぐらいの気持ちでネコもつれてきた。
(トイレ、鳴き癖は完全にしつけてある、という安心感もあったし)
アパートの住人たちへのあいさつも済ませ、近所のスーパーとかを見てまわり、引越し当日は終了。
荷物も整理してない部屋で寝ようとしたとき、ネコの異変に気がついた。

玄関のドアのほうを見て、微動だにせず、ずーーーっと低い声でうなっていた。普段はそんなことしないのに。
そのときは
「ノラネコでもいるのかな?」
としか思わなかったので、そのうち慣れるだろ、と思い早々に寝てしまった。

が、次の日もその次の日も、毎日毎日、夕方ごろになるとその行動をするようになり、これはおかしいぞ、と思い、うなり続けているネコの近くに行った。
すると、なんか玄関の外で、人の気配がする。

お化けとかそういう雰囲気ではなく、明らかに人間の気配。
思い切ってドアを開けたかったが、怖くてできない。つか、そんな根性、もとからないし;;
結局、物音を当てないようにネコをかかえて部屋に戻り、ふすまを閉め寝ることしかできなかった。
それでもネコはふすま越しに玄関のほうを見てうなっていたけど。

結局、そんな毎日が続いたため、満足に寝ることができず3ヶ月で部屋を引き払うことにした。
体重も10キロおち、医者にも
「相当ストレスたまってるね」
と言われたので元のアパートに出戻りする形になった。

またアパートの住人に挨拶してくことにしたんだがこっちが
「短い間でしたがお世話になりました」
と挨拶すると、決まって全員、ネコの話をするんだ。

「このアパート、ネコとか禁止でしょ?なんで飼ってるの?」

「大家さんの許可もらわないとダメだよ」

「大家さん、ネコのことで怒ってるわよ」
とか。

一度も部屋から出してないのに。
去勢したから、大声で鳴いたことも一度もなかったのに。

最後の一人にさりげなく聞いてみた。
「なんでネコ飼ってたの知ってるんですか?」
って。

そしたら
「『アパートのみんな』で交代で見張ってたから」
と言われた…
どうやら、毎日毎日交代で(なんと、大家の指示らしかった…)オレが帰るとすぐにその日の『当番』が、ドアの前でずーーーーっと、見張りをしてたそうだ。
ドアポストからの『監視』もしてたらしく、それでネコを見つけられたみたいだった。
ネコのことで許可をもらわずに飼ってたオレも確かに悪かったが、それならそうと一言言ってくれればいいのにと反論したら、
「大家さんの指示だから…」
と言う。

その後の話を聞いてみたらどうも、郵便物も「大家さんの指示」でチェックされてたらしい…
さすがに封筒破って、まではしなかったらしいが誰から来た郵便で、てのは逐一チェックしてたそうだ。
それを聞いて、もう一日とここにいたくない、と思い一週間後だった引越し予定日を無理矢理繰り上げ、翌日引越しをした。

今ではもう、笑い話でしかないが、当時はホントにシャレにならんくらい怖かった話。
なんで「大家さん」がチェックしてたのか、不動産屋がどういう縁で安くできたのかはわからずじまいです。
つか、怖くて調べたくもなかった…

今では何事もなく、ストーキングされることもなく平穏無事な毎日。
やっぱ、値段とかに見合わない『お得な』アパートって危険ですよ…

 

 

17.バレンタイン

17
霊とかオカルトとは全然違うんですが、私にとってはとても忘れられそうにない話です。
姉は今、妊娠中なのですが、結婚前まで勤めていた職場に、とても仲のいい友達がいました。
その人はYさんといって、明るくてきれいで、誰にでも好かれるタイプの女性でした。

ある年の2月、姉とYさんは一緒にバレンタインのチョコレートを買いに行きました。
姉には当時彼(今のご主人)がいて、その人のための本命チョコと、職場で配るための義理チョコをいくつか買いました。
そしてYさんの買ったチョコを見ると、義理チョコの中に一つだけ、高価なチョコが混ざっていました。

Yさんは普段彼氏がいないと言っていたので、姉は
「Yちゃん、それ本命チョコ?」
と聞きました。
するとYさんは頷き、まだつきあってはいないけど、好きな人がいる。
この機会に告白するつもりだと答えました。
姉は
「そうなの!頑張ってね!」
と心から応援し、Yさんも嬉しそうでした。

そして2月14日。
姉は彼氏にチョコを渡し、同僚にも義理チョコを配りました。
姉の職場では、女の子同士でも、お世話になっている人や仲のいい友達の間でチョコのやりとりがあって、姉はYさんにもチョコをあげました。
するとYさんも姉にチョコをくれたのですが、そこで大笑い。
一緒にチョコを買いに行ったので、二人とも全く同じチョコを差し出していたのです。
でも、気持ちだから、と二人は同じチョコを交換しました。

そして仕事に戻り、しばらく後、姉はキャビネットの整理中、Yさんの机にうっかり足をぶつけてしまいました。
それで運悪く、Yさんが机の上に置きっぱなしにしていたチョコの箱が転がって、その下にあった水の入った掃除用バケツに落ちてしまったのです。
姉は(あ、しまった)と思いましたが、すぐに自分も同じチョコを持っていることを思い出し、代わりに自分のチョコをYさんの机の上に置きました。
もともと姉は甘いものがあまり好きではないので、チョコレートに目がないYさんに食べてもらったほうがいいと思ったのだそうです。

それで翌日、姉が職場へ行くと、Yさんが
「あれ、M(姉の名前)ちゃん、チョコ食べなかったの?」
と聞いてきたそうです。
姉はおかしなことを聞くな、と思いました。
自分がチョコを取り替えたことを、もしかして知っているのかな、と。
でも探りを入れてみると、そういうことでもなかったようで。
今さら
「実はチョコを落としてしまったから自分のと取り替えた」
というのもなんなので、姉は
「うん、昨夜は帰ってすぐ寝たから食べなかった。今日食べることにするよ」
と言ったそうです。

翌日、姉はいつも通りに出勤しました。
姉はそこで、先に出勤してきた同僚に
「昨夜Yさんが亡くなったよ」
と聞かされました。
自宅で亡くなっていて、お母さんに発見されたそうです。
最初はとても信じられませんでした。
つい昨日まで全く元気で普通に話していたのに、と思うと、悲しくなるより先に呆然としてしまいました。
でもそれよりも衝撃的だったのは、Yさんはどうやら自殺だったらしい、ということ。
遺書も何も無かったのですが、服毒死だったそうです。

姉の悲しみようは、妹の私から見ても辛いほどでした。自分には何もしてあげられなかった。
そこまで思いつめていたのなら、どうして言ってくれなかったのか、と言ってひどく落ち込んでいました。

それから1年後、姉は結婚し、妊娠もし、親友を失った悲しみも和らいでいるようでした。
ところが最近になって、姉がまた、あの当時の憂鬱な青ざめた顔つきをしていることが増えたのです。
それどころか、心なしかあの当時以上に陰鬱な雰囲気になっているようで…。
私は心配になって姉を問いただしました。
姉はようやく重い口を開き、語ってくれました。

Yさんが亡くなってから一年後のバレンタイン。
姉がご主人にチョコレートをあげようとすると、彼が辛そうに言ったそうです。
Yさんが亡くなる直前、彼女に告白されたのだと。
親友の彼だと思ってずっと我慢していたけれど、辛くて、辛くて、もうだめ。
このままじゃ、自殺するか、Mを殺すか、どちらかしてしまいそう。
・・・だと。

彼は驚きましたが、Yさんとつき合うつもりはないし、姉とは結婚するつもりでいることを話し、Yさんを納得させようとしたそうなのですが……。
Yさんの自殺の原因、それは姉とご主人にあったのか。
私もショックを受けましたが、姉はどれほど苦しんだことでしょう。
慰めの言葉もない私に、姉が言いました。
「自殺だったら、まだいいんだけど」
と。

どうしてか、思い出してしまう。
「チョコ食べなかったの?」
というYさんの言葉。
自殺にしては遺書も無い、あまりにも突然の死。
あの日、取り替えたチョコレートの箱。

『自殺するか、Mを殺すか、してしまいそう……』
考え過ぎだよ、と私は姉に言いました。
もう終わったことなんだし、今は妊娠中で気が昂ぶっているから色々なことに過敏になっているんだよ、と。
本当のところは、私にもわかりません。
ただ、もしこの不安が当たっていたら…と思うと、姉が、あまりにも可哀想で。

 

 

18.黄色いパーカー

18
ある日、商店街の裏にある友人のアパートに行きました。
アパートは、一階に共同トイレがあり友人の部屋は一階の一番奥でした。
その後、友人の部屋で朝まで飲んでいたらトイレに行きたくなり、気味の悪いトイレに行きました。

トイレで用をたしてるとキョロキョロしながら黄色いパーカーを着た青年が大きな声で
「オハヨウゴザイマス!!」
と言ってきたので
「おはようございます。」
と言って何も気にせず部屋に帰りました。

その数分後、一人の友人がトイレに行き帰って来ると「青年が挨拶してきた。」と言って挨拶を返したと言ってきました。
その後、眠っていると一人の友人が「おい!これ見ろ!いいから見ろ!」と言ってきてテレビを見るとニュース番組で「白昼堂々!通り魔」というタイトルでやっていました。

目撃したおばあさんの証言は黄色いパーカーを着た青年だったそうです。
そして逮捕された青年の動機は
「挨拶をしたのに返さなかったから刺した。」

 

 

19.古いアパートに開いていた小さな覗き穴

19
大学生の男は古いアパートで一人暮らしをしていた。
男の部屋の壁には、小さな穴が開いており、そこから隣の部屋の様子がのぞき見ることができた。
隣の入居者は若い女性。
女性はのぞき穴の存在に気付いていないらしく、男はこれ幸いとばかりにのぞき行為を続けていた。

そして、ある日の事。
夜中の3時をまわった頃、男はドスドスという物音で目を覚ました。
何事かと思えば、隣の部屋から聞こえてくる物音だった。
もしかして男でも連れ込んだか?と思い、喜び勇んでのぞき穴を覗く。
隣の部屋も電気を消しており、詳しい様子をうかがい知る事はできなかったが、人影が二体あることは確認できた。
これは間違いない、と男は興奮したが、すぐに様子がおかしいことに気付いた。

男と思われる大きな人影が動くばかりで、女性のほうは全く身動きしていないのだ。
暗がりに目が慣れてくると、男が女性を殴りつけているということが分かった。
女性は猿ぐつわを噛まされているらしく、微かに
「うっ」
という声を漏らすだけで悲鳴をあげられなかった。
終には呻き声も聞こえなくなった。
すると男の人影は隣の部屋から出て行った。

強盗だ!
男は警察に通報しようと思い、電話の受話器に手を掛けたところで動きを止めた。
もし通報すれば自分がのぞきをしていたことがばれてしまう。
自分の保身のために、男は通報を思いとどまった。

一週間としないうちにアパートに警察が押しかけてきた。
やはり隣の女性は殺されていたらしい。
当然、警察はのぞき穴の存在を発見し、何か見なかったかと男に聞いた。
男は
「壁の穴なんて気付かなかった。その日もなにがあったか気付かなかった」
と言った。

他にもいくつか質問されたが、警察は男のことを疑っている様子は無かった。
殺人の瞬間を目撃したことは忘れられなかったが、通報しなかった事への罪悪感はすぐに薄れていった。
事件から二週間たっても、犯人は依然として捕まらなかった。

そして、ある日の事。
夜中の3時をまわった頃、男は再びドスドスという物音で目を覚ました。
しかし、隣の部屋は事件以降、新たな入居者は入っていないはずだった。
それでも、その物音は間違いなく隣の部屋から聞こえてくる。
恐る恐るのぞき穴をのぞいて見たが、動くものの気配は無い。
気のせいか、と思い穴から離れようとした瞬間、

狭い穴の視界を埋め尽くすように、かっと見開かれた血走った目が現れた。
男はがっちりと目を合わせたまま、驚きのあまり身動きが取れなかった。

そして、かすれた女の声で一言、

「見てたでしょ」

 

 

20.衝撃の結末を迎えたストーカー事件

20
日本でも、ストーカー事件は急増している。
過去3年間で報告されている殺人及び未遂事件は17件、傷害・暴行・脅迫などを含めると1000件に及ぶストーカー事件が起きているのだ。
そんな中でも、衝撃の結末を迎えたストーカー事件を紹介しよう。

この事件を担当した(株)ジャパン・プライベート・サービスの樋渡氏に話を聞いた。
1998年1月、都内に住む山本さん(仮名)が会社から帰宅すると、彼のアパートの部屋の前に一人の女性が立っていた。

彼女は山本さんが以前に少しだけつきあったことのある慶子(仮名)という女性で、半年前に山本さんから別れをきりだし、もう会うことはないはずだった。
ところが女性の方は山本さんを忘れることができず、毎日のようにアパートを訪れるようになっていた。
あまりにしつこく毎日のように姿を見せる女性を気味悪く思った山本さんは、樋渡さんの会社に相談に訪れた。
最初は樋渡さんも、悪質なものではないだろうということで、様子を見るようにと山本さんにアドバイスをしたという。

ところが1ヶ月後、山本さんが家に戻ると部屋の前には彼女の姿がなかった。
安心してドアを開けて部屋に入った山本さんだったが、彼はそこで息をのむ。
彼女は部屋の中で待っていたのだった。
管理人にドアを開けてもらったという彼女に山本さんは、自分にはもう彼女ができたので、いい加減彼女面をするなと思わず怒鳴ってしまった。

すると彼女は突然立ち上がり、片手に持っていた剃刀をゆっくりと持ち上げ、何故か微笑みながら自分の手首におろした。
驚いた山本さんは彼女を病院に運び、一命を取り留めた慶子はそのまま入院することになった。
彼女のこの異常な行為が恐ろしくなった山本さんは、彼女が入院している間に東京での仕事を辞めて実家のある長野県に引っ越した。
ところが引っ越してから3ヶ月後、彼は想像を絶する恐怖に襲われることになる。
仕事から戻って家族のくつろぐ居間に行くと、なんとそこにはストーカーの彼女が楽しげに家族と話していたのだ。
驚きのあまり声の出ない山本さんに、母親は

「あなたのお姉さんになるのよ」
と言った。
慶子は立ち上がり、

「はじめまして。慶子です。よろしくね、弘さん」
と言った。
彼女は、山本さんの兄と結婚することになっていたのだ。
ストーカーが自分の兄と結婚するという、信じられないような結末。

彼女はその後、本当に結婚して子供までもうけたという。
これで2人は一生付き合い続けなけらばならないのだ。
これが、彼女の望んだ形だったのだろうか。

 

 

21.シンメトリー

21
小学生の頃、ひまわり学級という障がいを抱えた子供が通うクラスがあった。
そこに、ずんぐりした軽度の知的障害を抱えた男子が通っていた。
そいつを仮にAと呼ぶことにする。というか名前知らないし。

ひまわり学級は普通、一般学級とは異なるタイムスケジュールで進んでいるため、その学級の生徒を見る事は稀なことだった。
それ故に一般生徒は、ひまわり学級についてほとんど知らないのが普通だったのだが、このAの知名度はかなりすば抜けており、一種の学校の名物君になっていた。
その理由としては、Aは気になる物は全て左右対称じゃないと気が済まないと言う、極めて重度の強迫性障害を持っていたからだ。
Aは異常なほどシンメトリーに拘り、左右非対称の物に関しては、自らが納得するまで弄って、何とかシンメトリーにしようとしていた。

これは現場を最初から見た訳ではないから何とも言えないが、一度、授業中にAの金切り声を聞いたことがある。
その後、窓際にいた友人に話を聞いてみると、どうやらAが中庭の細木の枝を只管折っていて、それを先生に止められたらしい。
しかし先生に腕を引っ張られながらも、金切り声をあげながら、何とか残りの枝もへし折ろうと執着してた……とのことだった。
数日後、中庭の細木が見事一本の棒のようになっていたんだから、どれだけAの執念が凄まじいかよく分かると思う。

とは言っても、全ての物に対して執着する訳ではなく、あくまで己の琴線に触れた物のシンメトリーだけに執着するらしい。
事実、他の細木には通常どおりだったし、人体模型や建築物などのシンメトリーもガン無視だったらしい。

ここで場面は変わるが、同じクラスの女子にHっていう子がいたんだが、その子が交通事故に合った。
幸い、命に別条はなかったものの、右足の脛から下あたりまでを失ってしまった。
一応、数ヵ月後には学校に顔を出す様になったが、リハビリかなんかで、ちょくちょく遅れて登校したり、早退したりも多くなった。
そんな感じの生活が続いていたある日、事件は起こった。
Hがリハビリの為に早退することになり、別の女子に連れ添われながら教室を出て行った。
それからほんの少し間が空いて突然、廊下の方から女子の悲鳴が聞こえた。
その時は、自分も当事者だったので良く覚えている。

俺は廊下側の席に座っていたので、何事だろうと、そっと廊下を覗いてみたところ、AがHを押し倒し、左足を掴んでグイグイと引きずっていたのだ。
慌ててクラスの男子と一緒に飛び出して、Aを無理やりHから引き剥がした。
先生も飛び出してきて、何とか事態は収拾したのだが、Hの方は、引きずられながら左足を引っ掻かれたらしく、所々に血が滲んでいた。
連れ添った女子の方も、顔を殴られたらしく泣いていた。相当怖かったんだろうと思う。
一方Aの方は、取り押さえられながらも、奇声をあげて、無茶苦茶に暴れまくっていた。
その時、初めて執着しているAを間近で見たが、目を剥き出しにし、涎を垂らしながら唸る姿は、本当に鬼気迫る様な感じがした。

それから3人とも先生に連れていかれて、授業は一時中断。
その後、戻ってきた先生に自習を言い渡され、その日は昼間で授業が開かれることはなかった。
Aはその後もHに執着し続けたらしく、自分の学年の廊下をウロウロ巡回したり、教室を覗いてくるのをたびたび目撃した。
これは後から聞いた話なのだが、その時にはすでにAは、学校側から自宅謹慎するように言われていたらしい。
それでも親の目を盗んでは学校に無断で侵入し、廊下や教室を監視していたらしいのだ。
そう言う事もあってか、Hが再び学校に来たのは、Aが転校か何かで来なくなってから暫くしてのことだった。
それからは何事も無く過ごし、Hは別の普通学校に進学していった。

それから月日は流れて成人式。
小学校の同窓会に出席し、久しぶりに会う友人達との再会を喜んだ。
それからは集まった友人たちと乾杯し、様々な思い出や、近況について語り合った。
そんな感じの話をしていて、ふと。上記のAについてのエピソードを思い出した。
今思えば、笑い話にするには不謹慎すぎる話題だったが、酒が入っていたせいか、再会に浮かれていたせいか、何気なく話題にだしてしまった。
するとヘラヘラ笑ってた友人達のうち数人がピタリと押し黙り、お前聞いてないのか? と神妙そうな顔で訊ねてきた。
一瞬ふざけてるのかと思ったが、あまりに真面目な感じだったので、一体何のことなのか、詳細を聞いてみた。

友人曰く、Hは中学二年くらいの時期に、通り魔に襲われて亡くなったらしいのだ。
当時、地元の新聞にデカデカと出てたらしく、どうやらHは、左足を切り取られ、出血多量で亡くなったらしい。
左足は路傍に捨てられており、何故か右足の義足の方も、取り外されて捨てられていたらしい。
人通りの少ない道での犯行で、目撃情報は無く、犯人も未だに捕まっていない。

ただ、事件発生数か月前、現場付近で奇声をあげながらうろつく、謎の人物が目撃されているとのことだった。
Aの行方は、未だ知らない。

 

 

22.クローゼット

22
私が大学3年になり、一人暮らしを始めてからしばらく経った時のこと。
独立してから半年も経つと、生活に慣れてきてしまい、悪い面を言うと私は無用心になった。
というのも、出かけるときは鍵をかけないで外出してしまうのだ。
部屋には盗られるものもなく、貴重品も金品も置いてない。
さらにいくと、鍵を部屋に置いたまま外出することが日常になってしまった。

しかし、ある日のこと。外出から帰ってくると部屋に鍵がかかっていた。
かなり焦ったがとりあえず隣に一軒家を構える大家さんのところへ行った。
この大家さん、年齢がかなり行っていて良い人なのだが頼りない。
鍵がかかっていることを伝えてマスターキーを出してと頼んだところどうやら無くしてしまったらしい。

私の部屋を開けられる鍵は全部で3つ。
私が持っている鍵と、大家さんのマスターキー、そして私の実家で預かっている鍵。
しかたがないので1時間かけて実家に帰り、鍵を借りて、ようやく帰宅することができた。
ここで謎が残るのだが、誰が鍵を閉めたのか、という点。
可能性として一番高いのは、私なのだが、帰宅すると部屋に鍵は落ちていた。
つまり、鍵がかかっている間、ずっと私の鍵は部屋の中にあったのだ。
大家さんに問いただすと、誓って鍵をかけてないと言う。

そうなると、ある可能性が浮上してくる。考えたくもない恐ろしいこと。
部屋の中に私以外の誰かがいる。
私の部屋はとても狭く、人が隠れる場所は風呂場とクローゼットぐらい。
不気味な気配を発するクローゼットを恐る恐る開けてみた。

・・・・いた。まさかいるとは思わなかったが本当にいた。
「ああああっ」と声を上げ、情けないぐらい驚いた。
同い年ぐらいの女だった。
しばらくお互い沈黙を続け、私はだんだん冷静になり、距離をおきながら状況を把握した。
この女、知っている。半年前に告白をしてきた女だ。
顔も名前も知らない女だったので、不気味に思い丁重に断ったのだが、それでも女が何度も告白してきたのを覚えている。とにかく顔が嫌いだったので次第に無視するようになったが、それ以来会うこともなく諦めたのだと思っていた。

女はずっと黙って、笑いもせずうつむいていたので、かわいそうとは思ったが、事が事なので、私は警察を呼んだ。
女は私を見ることもなく警察に連れて行かれた。
深夜だったので今日のところは休んでくださいと警察言われ私はようやく部屋の中で一人になれた。眠れない夜であった。

翌日から、私は必ず鍵をかけて外出するようにし、この事件には関わりたくないので、警察に任せることにした。
その女が2度と会いにこないことを条件にして。

しかし、その事件の翌日の夜も、部屋の中で人の気配を感じた。
私の神経は敏感になっていたので幻聴が聞こえているのだろうと思った。
何かがうっすらと聞こえてくる。部屋にテレビはない。
音を発するスピーカーの類もない。
隣の部屋から聞こえてきているのだろうと思い始めたが、壁に耳を当てても、どうも違う。
部屋の中から聞こえてくるのだ。次第にそれは、人の声であることがわかる。
あの女の声だ。1時間以上も聞こえるのでもはや幻聴ではないと確信していた。
確かに、あの女の声でボソボソと何か言っているのが聞こえるのだ。また、あの恐怖が戻ってきた。今度はもう冷静にはなれない。クローゼットを開ける勇気もなかった。

部屋を飛び出し、近くに住む友達に電話をかける。
訳を話すと、友達はすぐに私のもとへ来てくれた。
友達は一緒にクローゼットを開けてくれるという。
刃物を持っているかもしれないからくれぐれも気を付けよう、と。
その言葉だけで頼もしかった。友達と部屋に入ると、まだ女の声がかすかに聞こえる。友達もそれを認識した。
友達は声を荒らげてクローゼットに向かって啖呵をきった。「オラァァァ!!出てこい!!」
反応がない。しかし、まだ、ボソ・・・ボソ・・・と女が声を発しているのが聞き取れた。

「開けるぞぉ!!」興奮した友達がクローゼットを開けた。私は一歩下がってしまった。
・・・・今度は誰もいなかった。声がするのに誰もいない。
私と友達は顔を見合わせ、互いに青ざめた。あいかわらず、声は聞こえる。声は少し聞き取れるように大きくなっていた。
近くにいる。しかし、クローゼットには闇が広がったままだ。

そして、友達はクローゼットの下、衣服と衣服の間に、あるものを見つけた。
ICレコーダーだった。声の発信源はこれだった。
幽霊でなく、本人でもなくて何よりだったが、私は耐え難い気持ち悪さを感じた。
ICレコーダーに耳を当ててみた。女の声がようやく聞き取れる。私は嘔吐してしまった。
「○○(私の名前)好き。 ○○、帰ってきた。見つけて。 ○○と一緒がいい。 ○○、○○・・・」
と繰り返し再生されていたのだった。

 

 

23.トイレ貸して

23
友達から聞いた話。
駅前でやたら髪の長い男に「トイレ貸してください。」って声かけられたんです。怖かったから無視して早歩きして家に向かいました。振り返るとその男はいませんでした。
部屋に戻ると二人暮しの妹はまだ帰ってきてませんでした。駅前の男の事がまだ気味悪かったので、妹に【駅前に気味の悪い長髪の男がいたから気をつけてね】ってメールしたんです。
わたしはすぐにお風呂に入りました。ユニットバスなのでシャワーカーテンを閉めて湯舟に浸かりました。
間もなく妹が帰宅したようでした。
わたしは湯舟から「大丈夫だった?変な男いたでしょう。」と呼び掛けましたが返事はなく、ユニットに入ってきました。
わたし達は片方がお風呂、片方が便座に座って、シャワーカーテン越しにその日の出来事をよく話すので、わたしは駅前の気味の悪い男の出来事を話し始めました。
するとシャワーカーテンの向こうから

ジョボジョボジョボジョボ…

「トイレありがとう」

24.下の階の男

untitled

妹の体験談。

とあるアパートの2階で一人暮らしを始めてしばらくした頃、1人の男が部屋にやってきた。
話を聞くとその男は下の住人で、ウチの騒音に迷惑して抗議に来たとか。
出るところにでも出る覚悟だが、話し合いをしたいので部屋に上げてくれと。
「え?」と瞬間的に抵抗を感じたが、どうも迷惑を掛けているみたいだし、なにより部屋に彼氏が来ていたのでまぁ安心かなと、部屋にあげるつもりでドアを開けた。
すると、部屋の中に人の気配を感じた男は、やっぱり日を改めると帰っていった。

その日の晩、妹はとりあえず不動産屋にこんなトラブルがあったのだけどと電話で相談をした。
すると不動産屋の返事はこうだった。
「今お調べしたのですが○○さんの下の部屋は現在空室ですよ」

それから程なく妹は引越をした。それまでの期間はずっと彼氏に家で寝泊まりしてもらっていたとか。

 

 

25.望遠鏡

25
漏れにはちょっと変な趣味があった。
その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出てそこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。
いつもとは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい。

遠くに見えるおおきな給水タンクとか、
酔っ払いを乗せて坂道を登っていくタクシーとか、
ぽつんと佇むまぶしい自動販売機なんかを見ていると妙にワクワクしてくる。
漏れの家の西側には長い坂道があって、それがまっすぐ漏れの家の方に向って下ってくる。

だから屋上から西側に目をやれば、その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。
その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら「あ、大きな蛾が飛んでるな~」なんて思っていたら、坂道の一番上のほうから物凄い勢いで下ってくる奴がいた。

「なんだ?」と思って双眼鏡で見てみたら全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。
奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、漏れと目も合いっぱなし。
ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、なんだか凄くヤバイことになりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ。

ドアを閉めて、鍵をかけて「うわーどうしようどうしよう、なんだよあれ!!」って怯えていたら、ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。明らかに漏れを探してる。
「凄いやばいことになっちゃったよ、どうしよう、まじで、なんだよあれ」って心の中でつぶやきながら、声を潜めて物音を立てないように、リビングの真中でアイロン(武器)を両手で握って構えてた。

しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。
もう、バカになりそうなくらいガタガタ震えていたら、ドアをダンダンダンダンダンダン!!って叩いて、チャイムをピンポンピンポン!ピポポン!ピポン!!と鳴らしてくる。

「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」って感じで、奴のうめき声も聴こえる。

心臓が一瞬とまって、物凄い勢い脈打ち始めた。
さらにガクガク震えながら息を潜めていると、数十秒くらいでノックもチャイムもうめき声止んで、元の静かな状態に……。
それでも当然、緊張が解けるわけがなく、日が昇るまでアイロンを構えて硬直していた。

あいつはいったい何者だったんだ。
もう二度と夜中に双眼鏡なんか覗かない。

スポンサーリンク



オカルト

Posted by uti