見たことないのも!南極にいる動物たち(一覧)

2018年2月18日

今回の記事では、南極大陸や南極海にいる動物たちについてご紹介したいと思います。有名なものから、かなり珍しいものまでそろえました。魚類や鳥類などそれぞれの大きな類ごとにまとめています。

最初に、南極の動物について簡単に解説します。

南極にいる動物の種類は、驚くほどに少ない

(via wikimedia)

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地球上には20万種以上の海洋生物がいますが、南極大陸周辺にいる種は、現在確認されているものだけで、たった268種類です。

ここまで種類が少ないのは、極めて厳しい寒さのためです。海の表面温度は1~1.8℃ほどしかなく、ほとんどの海洋生物は生存できない環境にあるのです。

ちなみに地球上の平均海表面温度は17℃で、最も暑い場所では最高36℃近く(ペルシャ湾)に達します。

は虫類、両生類などは一匹もいない

(via ThingLink)

南極大陸とその近隣の島には、陸上のみに暮らしている動物はほとんどいません。完全な陸生ほ乳類は0です。

陸上で見かける動物のほとんどは、ペンギンやアザラシのように陸と海を行き来しています。

魚類

1.コオリウオ

(via opencae)

南極に住む魚としては最も一般的で、現在のところコオリウオ科は、全部で16種類います。コオリウオは、南極にいる大量のオキアミや他の魚を主な食料としています。

血液が透明

(via Wikipedia)

コオリウオの血液は、酸素を運搬するヘモグロビンが含まれていないため、無色透明です。セキツイ動物としては、ヘモグロビンを持たない唯一の生物です。

ヘモグロビンが無いので、酸素が血液に直接溶けて体中をめぐります。酸素の運搬能力は、ヘモグロビンを持つ種と比べて1/10以下にしかなりません。

このため、一般的な魚よりも動きがかなり鈍く、代謝量も低くなっています。

コオリウオは、この欠点をある程度克服するために、血管は太く、心臓は大きく、血液量が一般の魚類の4倍以上、心拍数は5倍以上となっています。

2.ライギョダマシ

(via carnivoraforum)

全長1.7m以上、体重は135kgに達する肉食の大型魚です。名前通りライギョに似ています。

南極周辺でこれほど大きな魚は珍しく、そのため南極海ではあらゆる魚をむさぼり食う、魚類界の王者として君臨しています。

寿命がかなり長い

最も長く生きた個体は、48歳とかなり長寿命です。それゆえ成長も遅く、成熟するのはオスが13歳、メスは17歳になります。

3.マジェランアイナメ

(via Carnivora Forum)

水深45~3800mに住む大型の深海魚です。南極海の他、大西洋、太平洋などの冷たい海(1~4℃)に分布しています。
最大体長は2.3m、重量は100kg以上まで成長します。

銀ダラの代用魚
(↓マジェランアイナメの味噌焼き)

(via flavorexplosions)

マジェランアイナメの漁獲量は、毎年数万トンにおよびます。そのうち90%は、日本とアメリカで消費されています。

日本では1980年代から銀ダラの代わりとして使われており、「メロ」という名前で出回っています。照り焼き、味噌焼き、焼き魚などとして食べることが多いです。

4.アンタークティカ・シルバーフィッシュ

(via lastocean)

最大でも25cmほどの中型魚で、南極海全域に生息しています。生息数が多いため、南極に住むアデリーペンギンやウェッデルアザラシの重要な食料源となっています。

また、凍りつく海で暮らす他の生物と同様に、体内に不凍タンパク質を作り出せるので、氷点下でも細胞が凍結するのを防げます。

ほ乳類

南極にいるほ乳類は全23種類で、アザラシ系とクジラとイルカしかいません。また陸のみに暮らすほ乳類は一種類もいません。

5.ミナミゾウアザラシ

(via wikipedia)

南極にいるアザラシの中で最も大きいのが、本種であり、オスの体長は最大6m、体重は4000kgに達します。

オスにはゾウのような大きな鼻があり、これで大きな鳴き声を出して、メスに求愛します。またメスとオスの体格差は激しく、体重がおおよそ3倍ほど異なります。

(↓メスのミナミゾウアザラシ、体と鼻が小さい)

(via wikipedia)

6.ナンキョクオットセイ

(via wikimedia)

南極周辺にいる海生哺乳類の中で最も小さいのが、ナンキョクオットセイです。体重は90kg、体長は2m前後。

現在200万~400万頭おり、それらの個体はオキアミ、魚、イカ、ペンギンなどを捕食しています。またその生息数の95%が、南大西洋のサウスジョージア島に集まり繁殖を行います。

7.カニクイアザラシ

(via wikimedia)

南極に住むアザラシの中では最も生息数が多く、その数は1500万~7500万頭になります。基本的に流氷か海の中におり、オキアミや魚類を食べて暮らしています。その名前によらず、カニを食べることはありません。

8.ウェッデルアザラシ

(via Flickr/oliver.dodd)

南極の海岸でよく見られる大型のアザラシで、現在80万頭ほどいます。全長は2.5~3.5mほどで、体重は400~600kgあります。

本種は南極大陸にいる動物の中でも生息域がかなり広く、大陸の最南端に生息するほ乳類と言われています。

9.ヒョウアザラシ

(via wikimedia)

南極海全域の流氷の上で暮らすアザラシです。全長2.4~3.5m、体重は200~600kgとアザラシの中でも重量級です。

南極では、シャチに次いで第2位の捕食者

(via padi)

南極海においては、シャチの次に上位の捕食者で、魚やイカだけでなく、ほとんどのペンギンを捕食可能です。また類縁のアザラシやオットセイも、2.5cmにもなる巨大な犬歯で襲いかかり、捕食することがあります。

かなり好奇心が強く、どう猛で人間を襲うこともある

(via imgur)

ヒョウアザラシは知的で好奇心が強いため、食べるわけでもないのに、「遊び・トレーニング目的」でペンギンを追いかけて捕まえ、水に叩きつけて殺したりすることがあります。

人間もその好奇心の対象となり、ダイバー等が襲われることもあります。

実際に、2003年にはダイバーが水深61mまで引きずられて溺死しています。この他にも、死には至らないものの、複数の襲撃事故が発生しています。

◆クジラ・イルカ

南極にいるクジラとイルカは全部で10種類です。そのほとんどが移住性で、南極だけにとどまっていることは少ないです。

10.シロナガスクジラ

(via wikipedia)

シロナガスクジラは全長30m、重量170トン以上になる地球上で最も大きな動物です。全世界の海域に分布していますが、特にオキアミが豊富な南極海によくやってきます。エサを求めて、数万km移動することも珍しくありません。

食べる量がすさまじい:1日4000万匹

(via Flickr/KoiQuestion)

シロナガスクジラが食べるエサは、見かけによらず全長数cm足らずの小さなオキアミで、1日に4000万匹(3.6トン)を摂取することがあります。また、1日に最低限必要なエネルギー量は400万キロカロリーほどで、人間の1300倍以上です。

しかし本種は食いだめが可能で、必要カロリーの90倍もの量を一度に食べることができます。その食べたものは脂肪としてたくわえられるため、長期間何も食べなくても死ぬことはありません。

ちなみに本種の子供も食べる量がきわめて多く、生後7ヶ月頃まで毎日380リットルもの母乳を飲みます。

臓器の大きさがすさまじい

(via factslides)

その巨体ゆえ、あらゆる器官が大きく、例えば舌の重量は3.2トン、心臓は最大450kg、血管の大きさも子どもが入れるくらいのサイズがあり、血量は10トンにもなります。

11.ダンダラカマイルカ

(via otlibrary)

白と黒の模様が特徴的なイルカで、南極および亜南極の冷たい海に生息しています。白色の模様が砂時計に見えることから、英語ではアワーグラス・ドルフィン(砂時計イルカ)という名前です。

全長1.8mほど、体重は90~120kgで、イカや小魚を食べています。かなり珍しい種と思われていますが、実際には14万頭とイルカの中でも比較的多いことが分かっています。

12.シャチ

(via Wikimedia)

シャチは最大で全長10m、体重10トンを超えます。食物連鎖の頂点に君臨し、海洋生物には外敵が存在しません。

シャチには様々なタイプがいて、魚だけを食べるタイプやアザラシ、クジラ、イルカなどの海生哺乳類のみを食すタイプなどがあり、偏食する傾向が強いです。

生息地も基本的に冷たい海を好みますが、熱帯の海に定住するグループもいます。農林水産省の推計によれば、日本近海にも2321頭がいるとされています。また世界には少なくとも5万頭以上、南極海には2万5千頭がいると推測されています。

寿命が長い
(↓105歳まで生きたとされるグラニー)

(via wikipedia)

メスの個体では最長で105歳、オスでは90歳まで生きています。平均寿命はおおよそ50歳前後ですが、ある程度大きくなるとこれよりも長生きする確率が高まります。一方で幼獣の死亡率は極めて高く、37~50%となっています。

南極海には、その他にもミナミセミクジラ、ザトウクジラ、イロワケイルカなどがいます。
(↓左上:イロワケイルカ、右上:ミナミセミクジラ、下:ザトウクジラ)

(via Opencage/wikimeda)

鳥類

南極周辺で見られる鳥類は、現在のところ全45種類で、そのうち22種類がペンギンです。毎年春になると、約1億匹の野鳥が南極大陸と周辺の島々に訪れます。ここで巣を作るのは、アホウドリ、ミズナギドリ、カモメなどです。

13.ワタリアホウドリ

南極最大の鳥

(via wikimedia)

南極に訪れる鳥として最も大きいのが、ワタリアホウドリです。翼を広げた時の大きさは3.5m以上で、5m近くになる個体も観察されています。

エサや繁殖時以外は、ほぼ一日中飛び続けており、2日間で6000km以上移動することがあります。

14.トウゾクカモメ

(via wikimedia)

アホウドリと同様の渡り鳥で、春頃に南極大陸の海岸で見られる種です。大きさは平均で翼開長1m前後であり、中型の鳥といえます。

食事の95%は、他の動物から盗んだもの

トウゾクという名前が示すように、トウゾクカモメは他の動物が捕獲したエサを盗み、それを主食にしています。

例えば、カモメやアジサシが魚を捕まえて水中から出てきた時に、攻撃をしかけて追いかけ回し、エサをクチバシから落としたときに奪いとってしまいます。

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動物

Posted by uti