大型ネコ科動物の知られざる生態と興味深い雑学

2017年9月15日

全部で8種のネコ科動物に関連した生態や雑学をご紹介します。

1.ボブキャット

(via Wikipedia)

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大きさ:ネコの2倍くらいで体長66~100cm、体重5~13kg
生息地:カナダとアメリカ

ボブキャットという名前は、そのしっぽから名付けられた

(via nbrr)

ボブという単語は、ヘアスタイルの「ボブカット」で知られているように、「短く切る」という意味があります。ボブキャットのしっぽは他のネコ科動物と比べても短く、15cmほどしかありません。

一般的なネコのしっぽが、だいたい30cmほどであることを考えるとかなり短いといえます。このようにしっぽがとても短く、切り取ったようであることから、ボブキャットと名づけられたのです。

夕方と夜明け頃に動き出す

(via The Wildlife Society)

ボブキャットは、周りが薄暗い時に獲物をもとめて活発に動くようになります。日が落ちる3時間前くらいに起きだして活動し、夜中の12時ころには眠りにつきます。

そして朝が開ける頃に再度起きて、太陽が昇ってから3時間後くらいまで活動します。このような生活を送っているのは、ボブキャットの格好のエサとなるワタオウサギが、この時間帯に活動するためです。

しかし秋から冬の寒い時期になると、エサが少なくなるため、真っ昼間にもエサを求めて活動するようになります。

木に登るのが得意

(via buckmanager)

ボブキャットにも天敵がいます。ピューマやタイリクオオカミは、成体のボブキャットでも襲って食べてしまいます。彼らから逃げるには木の上に登るのが一番安全なのです。

また木登りは、ボブキャットが獲物を捕まえるのにも役立っています。枝に巣を作っている鳥を襲ったり、木の上で待ち伏せして、獲物の背後に飛びついたりします。

獲物をよく埋める

(via Robert Potts)

ボブキャットは、一回の食事で獲物を全部食べきることがそれほどありません。残った獲物の肉は、土や雪、葉っぱの中に埋めてしまい、お腹がすいた時のために貯蔵しておきます。

しかしながらこのたくわえは、ボブキャット以外の肉食動物が見つけて食べてしまうことがあります。

ボブキャットは町の中でも目撃されている

(via wikimedia)

アメリカではボブキャットが車道で寝ていたり、ゴルフコースで獲物を狩っていたりするところが目撃されています。

ボブキャットは基本的に森林・草原・砂漠地帯に生息していますが、ロサンゼルスやラスベガスなど大都市の郊外で見かけることもあります。ただし警戒心が強い動物なので、目撃される場所は基本的に人が少ない所でかつ、ネズミなどのエサが豊富にいて、ねぐらも確保できる農業地域などです。

2.オセロット

(via wikimedia)

大きさ:ネコの2倍くらい。体長は68~100cm、体重は8~20kg
生息地:メキシコ、ブラジルなどの中央・南アメリカ

泳ぐのが得意

(via ThingLink)

一般的なイエネコは水に濡れると、被毛が濡れて体温が奪われるため、水の中に入るのを嫌いますが、オセロットは別のようです。

オセロットは熱帯雨林に住んでおり、そこにはアマゾン川の支流が張り巡らされています。水がたくさんある環境に適応した結果、水に入るのを嫌がらず、上手に泳げるようになったと考えられています。

オセロットにとって川は移動するためだけでなく、魚やカニを獲るための場所にもなっています。

一時期は絶滅の危険性が高かったが、現在個体数は持ち直している

(via wikimedia)

オセロットの毛皮はなめらかで、美しい見た目であったことから、1970年代以降、密猟するものが後を絶ちませんでした。その毛皮には美的価値があり、市場に出回った毛皮には高値が付けられていたのです。

そのため、1972年から1996年までは絶滅の危険性が高い「危急種」としてレッドリストに登録されていました。しかし、毛皮の取引が制限され、取引量が激減したことで、1997年以降は絶滅する可能性が低くなったとして登録から外されました。

現在、オセロットに対して一番の脅威となっているのは、生息地の破壊です。熱帯雨林が伐採されることで、彼らが住める場所がなくなります。また森林が破壊されることで、獲物を求めて遠い場所まで遠征しなければならなくなり、繁殖の機会が奪われることになります。

現在のオセロットの個体数は、80万~150万匹と見積もられています。

ペットとして飼育している人もいる
【↓サルバドール・ダリとオセロット】

(via wikimedia)

非常に入手することは困難であるものの、オセロットをペットとして飼っている人はいます。世界的な画家であるサルバドール・ダリもオセロットをペットにして、豪華な遠洋船に乗って世界中を旅していたとされます。

しかしペットとしての飼育はとても大変です。普通のネコよりも独立心がずっと強く、まず人の命令を聞きません。また生後8週目を過ぎると、ひどい悪臭のするスプレーで臭いをまきちらします。

3.カラカル

(via wallpapersdig)

大きさ:ネコの2倍くらい。体長73~78cm、体重約12kg
生息域:中東、中央アジア、アフリカ

カラカルは、トルコ語で「黒い耳」を意味する

(via Andrew Halliday/flickr)

カラカルという名前は、トルコ語を語源としており、「Karakulak」と書きます。その単語は、カラカルの一番の特徴である「黒い耳」を意味しています。また大きな耳の先端には飾り毛があるのも本種の特徴のひとつです。

この耳はとても目立つので、ハンティングの際は、耳を平らにして獲物に気づかれないようにします。

ネコ科最大のジャンプ力をほこる

(via Pictures of Cats)

カラカルは長い後脚と発達した筋肉のおかげで、垂直方向に最大3.4mも跳び上がることができます。これは、自分の体長の5倍にもなります。これほど跳べるネコ科動物はおらず、なんとか渡り合えるのはサーバルキャットくらいです。

このジャンプ力を使って、鳥を空中で捕まえることもできます。また獲物の動きに合わせてジャンプ中に方向転換することもできます。

昔、カラカルは狩猟に使われていた

(via Wide Open Spaces)

カラカルは機敏さとジャンプ力を持ち合わせているため、鳥を捕まえるのが得意です。そのためインドやイランではカラカルを飼い慣らして狩猟をさせていたことがあります。

また、ハトをたくさん押し込んだ闘技場にカラカルを入れて、どれくらいのハトを仕留めることができるか、という賭けが行われていたこともあります。カラカルはその狩りで、平均で10~12匹のハトを仕留めることができたといいます。

カラカルは古代エジプトで神聖な存在だった
【↓カラカルの壁画】

(via cowofgold)

古代エジプトにおいて、カラカルは宗教上重要な存在だったとされています。カラカルを描いた絵画や銅像が発見されており、その像はファラオの墓を守るために創られたとされています。

また、エジプトのピラミッド内にはカラカルのミイラも発見されています。

4.ジャガー

(via Wikimedia)

大きさ:ネコの3倍以上。体長110~190cm、体重56~96kg
生息域:メキシコからアルゼンチンの中央・南アメリカ

ネコ科最強の咬合力がある

(via wikimedia)

ジャガーはライオンやトラよりもスリムで体重も軽いですが、最も強いアゴ力を有しています。その咬合力は人間の9倍以上とされています。

その強さのため、カメのコウラに穴を開けることができるほどです。

あらゆる動物を食べる

(via Animal Channel/youtube)

ジャガーは生息地にいる動物なら何でも食べます。ある調査によれば、その種類は少なくとも87種類におよびます。ジャガーが一番好きなのはシカなどの有蹄類(ゆうているい)ですが、そういうエサはあまりとれないため、選り好みはしません。

ジャガーが捕食するのは例えば大型動物では、成体のカイマン(ワニ)やカピバラ、バク、ペッカリー、イヌ、そしてアナコンダさえもです。小型動物ではカエルやネズミ、鳥、魚、ナマケモノやサル、カメ、アルマジロなどを捕食します。

これほど多様な獲物が狙えるのは、先ほど説明したように極めて力強いアゴがあるからです。ワニの場合は、背中に乗っかって、頚椎の部分を噛んで骨をくだき、マヒ状態にします。カピバラなどのほ乳類は、頭蓋骨に直接かみつき、牙を脳まで突き刺し、絶命させます。

またアメリカにいる極少数のジャガーは、アメリカグマを捕食することが分かっています。

泳ぐのがかなり上手い

(via telegraph)

あらゆるネコ科動物は泳げますが、ほとんどは自ら進んで泳ごうとしません。それに反してジャガーは、自発的に水の中に入ります。魚やカイマンを水中で追跡し、それらをとらえます。

そして暑い日には、体を冷ますために水につかることさえあるのです。時には川を渡るために1㎞程度の距離を泳ぐジャガーもいます。

およそ6%の確率で黒いジャガーが産まれる

(via wikimedia)

ジャガーの体毛が黒くなるのは、メラニン色素が過剰に分泌され、体毛や皮ふが黒くなる「メラニズム」と呼ばれる現象です。ジャガーは一定確率で黒化した個体が生まれます。

黒化個体の体表をよく見てみると、ジャガー特有のまだら模様はうっすらと残っていることがわかります。これに対して、真っ白になるアルビノ個体も存在します。ただし、アルビノ個体が産まれる確率は、黒化個体に比べて非常に低くなっています。

5.トラ

(via wikimedia)

大きさ:ネコの6~9倍ほど、体長250~390cm(オス)、体重90~310kg(オス)
生息域:ユーラシア大陸西部(インドやタイ、ミャンマー、インドネシア、中国、ロシアなど)

トラはネコ科最大の動物
【↓体重300kgのアムールトラ】

(via Daily mail)

トラの中でも最も大きいとされるのがアムールトラで、ロシアの雪が降る寒い場所に住んでいます。その大きさは最大個体で体重425kg、体長は3.3m以上になります。

アムールトラは密猟などにより絶滅危惧種に指定されており、2015年の調査では562匹しか野生で存在していません。

トラは水浴びが好き

(via wikimedia)

ネコ科動物で喜んで水に入るのは、ジャガーとトラくらいです。他のネコ科動物は泳げますが、あまり水が好きではありません。
その水好きは、暑くなると池や湖などで水浴びするほどです。

1回の川渡りで最大7㎞も泳ぐことがあり、1日で最高29㎞泳いだトラもいます。またトラは水の中でエサをとるのも上手です。

トラのうなり声は約3㎞先まで聞こえる

(via Pixabay)

トラのうなり声を数m離れた場所で測定したところ、114デシベルという結果が得られました。これは一般的な芝刈り機の25倍のうるささです。あるいは、飛行機のエンジンのすぐ側にいるレベルで、ずっと聴いていたら耳がおかしくなります。

トラは重量級のわりに、かなり早く走れる

(via Charles Barilleaux/flickr)

トラは非常に巨体にも関わらず、最高時速は65㎞に達します。ですがこれは一瞬だけで、すぐにスピードが落ちます。

そのため、襲う前に相手に気づかれてしまった場合は、その獲物をあきらめてしまうことがほとんどです。真正面から攻撃を仕掛けることは少なく、たいてい相手の隙を狙って襲いかかります。

狩りの際、トラは10m近く横方向に跳ぶ

(via Tom Simpson/flickr)

トラは獲物に気づかれないように近づいたところで、一気に仕留めにかかります。その時トラは、最大10mも水平方向にジャンプすることがあります。ただし跳躍距離の平均は、5mほどだそうです。

トラの縄張りは、東京ドーム2000個分以上の広さになる
【↓縄張りをとられないよう、木にスプレーするトラ】

(via Tripod)

トラの縄張りは、エサの豊富さや周りにいる交尾相手の数などによって決まります。一般的なオスの縄張りは、60~100㎞2で、東京ドーム2100個分以上の広さとなります。

オスは縄張りを主張するために、自分のおしっこをかけて他のトラが自分の縄張りに入らないようにしています。

6.ライオン

(via wikimedia)

大きさ:ネコの3~7倍。オスが体長1.7~2.5m、体重190kg、メスが体長1.4~1.8m、体重130kg
生息域:アフリカ

ネコ科動物で唯一群れを作る

(via Pixabay)

ライオン以外のネコ科動物は、基本的に繁殖時を除いて単独で行動します。しかしライオンは、10~15匹の群れを作って生活しています。

その群れはオスは1~2頭、メスが5~6頭とその子どもたちで、合計10~15匹になります。オスは縄張りを守り、メスはもっぱら狩りを行います。
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動物

Posted by uti