白いシカなど鹿の興味深い豆知識・生態(シカ科)

2017年6月19日

シカ科動物の興味深い雑学をいろいろご紹介します。全部で10種類あります。

1.とても珍しい、白いシカの群れが住み着いている場所がある

(via Los Angeles Times)

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ニューヨーク州の元セネカ陸軍補給処には、アルビノではない、全身が真っ白なシカたちがいます。

元補給処は、東京ドーム約900個分の敷地があり、周囲39㎞のフェンスで囲まれています。その敷地の中には、700頭のシカが暮らしており、そのうち300頭は白いシカです。

これほど白色のシカが多いのは、おそらく突然変異によって白色に産まれた個体が、閉鎖された環境で近親交配を頻繁に繰り返したため、白色の遺伝情報がDNAに組み込まれたのが原因とされています。

【↓敷地内で目撃される白いシカたち】

(via BrianAdler)

2.鋭いキバの生えたシカがいる

(via wikimedia)

キバノロと呼ばれるシカで、中国と韓国に生息しています。かつては中国全土で見られたシカでしたが、現在では南部と西部で絶滅しています。生息数が減少していることから、絶滅の危険性が高い種に分類されています。

キバノロには、最大で長さ8cmに達するキバが生えています。メスよりもオスのほうがキバは長く、このキバは、主にオス同士のケンカで武器として使われます。

捕食するために使われることはなく、逆に食べるときには邪魔になるので、キバを少し後方に移動させます。オス同士の戦いになると、キバを向き合わせて戦うことがあるため、オスの体には傷跡が数多く残っていることがあります。

【↓キバノロ(イギリス・ホィップスネイド野生動物園にて)】

(via wikimedia)

また本種は、キバがある代わりにシカ科で唯一、ツノを持ちません。

3.フィンランドでは、トナカイと自動車との衝突事故を減らすため、ツノに反射塗料が塗られている

(via Gajitz)

フィンランドのラッピ県は、野生のトナカイが多く、森の中の道路をトナカイがうろうろしています。電灯が無い場所で道路に飛び出してきたトナカイは、暗闇にまぎれるため、ドライバーが気付けずに衝突をおこすことがあります。

実際にフィンランドでは、毎年4000頭近くのトナカイが交通事故で亡くなっているといいます。そのため一部の地域では、ツノに光を当てるとキラキラと光る反射塗料が塗られ、交通事故の予防が行われています。

【↓反射塗料を塗る様子】

(via atlasobscura)

4.シカは鳥を食べることがある

(via G Goss)

【↓実際に食べている動画】

シカに限らず、草食動物であるウシなどもこのように鳥を食べる姿が、しばしば目撃されています。特にヒナがいる鳥の巣に寄ってきて、無抵抗なヒナをむしゃむしゃと食べることが多いようです。

シカがどうして鳥肉を食べるのかは、いくつかの説があり、ツノの成長を助けるための栄養摂取や、不足分の栄養補給など、様々な理由が挙げられています。

5.キージカは、フロリダキーズだけに生息し、泳ぐのを得意としている珍しいシカ

【↓海の中を泳ぐキージカ】

(via keydeer)

フロリダ半島南東部の沖合にある列島、フロリダキーズに生息しているオジロジカの亜種です。生息地はこの列島だけで、全部あわせても700~800頭前後しかいません。そのため絶滅危惧種に指定されています。

【↓フロリダキーズ列島の一部】

(via steadfastliving)

フロリダーキーズはたくさんの小さな島で構成されているため、シカ達はエサを探すために、泳いで島の間を移動します。

6.アメリカで最も危険な動物は、シカである

(via buffalonews)

アメリカには恐ろしいワニやクマなどの凶暴・凶悪な動物がいますが、それらの動物による死亡事故は年間平均1件ほどです。

これに対して、恐ろしくもなく凶暴さも感じられないシカが、年間平均120件もの死亡事故を起こしています。

シカによる死亡事故件数は、アメリカのあらゆる動物の中でトップであり、2位にはハチ、3位には犬が続きます。シカによる死亡事故のほとんどは、車との衝突事故です。

シカは夜行性で、暗くなってから活発に移動を開始するため、その移動中に道路へ飛び出しきて、車とぶつかり、ドライバーが致命傷を負って死亡することがあるのです。

7.シカのツノは、地球上で最も成長が速い組織である

【↓ヘラジカのツノ】

(via wikimedia)

シカのツノは1日に3cmほど伸びることが分かっています。これはシカの種類や、栄養状態、個体間によって多少異なりますが、成長速度はいづれもかなり早いです。

特にヘラジカはツノの重さが20kg近くに達し、1日でツノの重量が400g近く増加することもあるそうです。

8.ツノは毎年、きれいに根元から抜け落ち、生え変わる

(via Wikimedia)

ツノの成長速度が早いのは、毎年抜け替わることが影響しています。シカは春ごろに、柔らかい表皮におおわれたツノが生え始めます。

【↓表皮に覆われた生え始めの柔らかいツノ】

(via MSU Deer Lab)

ツノは伸びて固くなり続け、秋頃には表皮がはがれて立派な白いツノができあがります。このツノは繁殖のためにあるので、繁殖が終わる頃には成長が止まり、冬を迎えるまでには抜け落ちます。

【↓表皮がはがれ始めたツノ。毎年の恒例行事】

(via Reddit)

【↓抜け落ちたばかり。血がにじんでいる】

(via CTHuntingNShooting)

9.世界最小のシカ科は、ノーザンプードゥ

(via Zoo burns)

体高がたった30cm前後と、定規並みの大きさしかないシカです。チリとアルゼンチンの標高2000~4000mに住んでいます。

これほど小さいですが、ツノはちゃんとあります。ただし長さは6cmほどで、ヤギと同様に枝分かれせず、後方へと伸びています。

【↓ノーザンプードゥのツノ】

(via Verge Campus)

10.史上最大級のシカ科は、ギガンテウスオオツノジカ

【↓ギガンテウスオオツノジカの骨格標本】

(via wikimedia)

ギガンテウスオオツノジカは体高2.3m、体長3.1m、最大体重700kgほどあり、ツノの大きさは50kg以上となる史上最大級のシカです。きわめて大きなツノが特徴であり、その差し渡しは3.6mに達します。

【↓人(170cm前後)との大きさ比較】

(via Fae Forensics)

残念ながら既に絶滅しましたが、約200万年前~7700年前ごろまで生存していたことが確認されています。

ユーラシア大陸北部に生息し、特にアイルランドで多数の化石が発掘されていることから、アイルランドのヘラジカ(Irish elk)という呼び名があります。

※ちなみに現在最も大きいシカ科はヘラジカで、最大体高2.1m、体重700kgほどになります。

【↓現生最大のシカ科:ヘラジカ】

(via huntdrop)

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動物

Posted by uti