珍生物!イッカクの知られざる事実15選

2020年2月3日

(via paulnicklen)

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人の目に触れることがめったにない、イッカクという変わった生物。かつては、ユニコーンとクジラが合体した生き物だと信じる人もいた。現在でもあまりに馴染みがないので、実在の生物であると知らない人さえいる。

そこで今回はとても珍しいイッカクの生態など、イッカクに関するさまざまな雑学をご紹介していこう。

1.イッカクのツノは、かつてユニコーンのツノとして売られていた。しかも、金の数倍の価格で

(via seacreaturefacts)

ユニコーンは存在しない伝説の生物だ。だが、中世ヨーロッパではユニコーンが存在すると信じていた人は多かった。

一方でイッカクは、北極海のあまりにも寒いところに住んでいるので、知っている人はほとんどいなかった。

当時唯一イッカクの存在を知っていたのは、ヴァイキング(海賊)と船に乗って世界各地を移動していた商人ぐらいだった。彼らはイッカクのツノをユニコーンのものだとして、金の数倍の価格で売りつけることさえあった。

ユニコーンのツノは当時、毒を中和したり、うつを治癒したりする「魔法の力」を持つと信じられていたから、どんな高値でふっかけられても買う人は後を絶たなかった。

2.飼育下のイッカクは一匹もいない。(水族館には0)

【捕獲され標識タグを付けられたイッカク】

(via wikimedia)

イッカクを水族館で飼育しようとした試みは、これまでに何回かあるが、いずれも失敗に終わっている。水そうに入れて数ヶ月以内にすべて死んでしまうのだ。

最後に行われた飼育の試みは、1970年のこと。カナダで捕獲したイッカクをニューヨーク水族館に空輸したのだが、タンクに入れてから1ヶ月で亡くなった。

基本的にイッカクは50年以上生き、最大で100年近く生きるとされる。だが、小さな水そうの中では長生きできないのだ。

3.ツノの長さは、最大で3m近くに達する

(via Dolphin Communication Project)

本体の大きさもオスで最大5.5m、体重1.6トンに達する巨体だが、ツノもかなりでかくなる。その長さは1.5~3.1mで、自分の体長の半分くらいになる。

ツノの中身は空洞だが、重さは10kg前後あり、死ぬまで伸び続ける。

4.ツノを持たないイッカクもいる

【ツノを持たないメスのイッカク】

(via Doll Diaries)

イッカクという名前だから、どの個体もツノを持っていると思うかもしれないが、メスはツノが基本的に生えてこない。ただし、メスの場合でも約3%の割合で、1mくらいの小さなツノが育つことがある。

また、オスは基本的に長大なツノを持つが、まれに見られない種もいる。

5.二本のツノを持つイッカクがいる

(via wikimedia)

ほとんどのイッカクは、1本しかツノを持たない。そして実はこのツノ、左切歯が口から飛び出して成長したものだ。

右側の切歯はどうなっているかというと、頭蓋骨の中に埋まっている。だが、500匹に1匹の割合で、右切歯が伸びてくる個体がいる。右切歯と左切歯の成長した個体こそが、2本のツノを持つイッカクとなるのだ。

これはオスの場合で、メスに関してはツノを2本持つ個体が見つかることは珍しく、いまだに一匹しか確認されていない。

6.ツノの大きさは、睾丸の大きさに関連がある

【イッカクの内部構造】

(via Narwhal Whale Resource)

ツノの大きさがどうやって決定されるかについては多くの議論がなされてきた。同じ群れの中でも大きさは異なるし、オスであってもツノを持たないことがまれにあるからだ。

ツノについては不明な点がたくさんあるが、一つ明らかになったことがある。それはオスの場合、睾丸が大きければ大きいほど、ツノも大きくなるということである。

これはイッカクのツノが、メスへのアピールに使われていることに関連しているようだ。

7.ツノは獲物を突き刺すためにあるわけではない

(via Jeslettt/flickr)

そのあまりにも長いツノは、私達に様々な用途をイメージさせるが、これで氷を割ったり、獲物を突いたり、海底を掘ったり、戦いに使ったりする姿は、一度も目撃されていない。

未だにその役目についてはわかっていないことが多いものの、おそらく感覚器官としての役割があると考えられている。

イッカクのツノは1千万個の神経末端を備えており、非常に敏感である。イッカクはツノを海面から出して、気圧や温度の小さな変化を気象観測所のように感知しているのだ。

またその他にも集団における優劣を決定するのに使われている。さらに、シカのツノやライオンのたてがみと同様に、メスを惹きつけるためのアピールポイントとして役立っているようだ。

8.イッカクには、食べ物を噛める歯が無い

【イッカクの口の中】

(via insider)

写真で見たとおり、イッカクの歯は無いに等しい。唯一見えるのは、切歯が成長した巨大なツノだけだ。

歯が無いので、エサは丸飲みせざる得ない。イッカクは獲物に限りなく接近し、海水ごと口の中に獲物を放り込むとされている。この行動は、近縁種の歯が無いアカボウクジラでも見られる。

9.イッカクの脂身は、ヘーゼルナッツのような味がする

(via Wikipedia)

今日でも、カナダの先住民・イヌイットにとって、イッカクは重要な栄養源である。連れている犬のエサにもなるし、冬に貯蔵しておく食料としても活躍する。

イヌイットは、基本的にイッカクを生で食べる。イッカクは寒いところに住むので、脂身がたっぷりだ。その味はヘーゼルナッツのようで、美味だという。

10.イッカクのツノは、たいてい寄生虫に感染している

(via Travis S./flickr)

巨大なツノは人間にとって近づきがたいものだが、寄生虫にとっては住み心地の良い場所となっている。イッカクのツノに寄生する種としてよく知られているのが、クジラジラミである。

シラミという名前だが、クジラジラミはエビに近い種である。このシラミは特に、ツノの根元に好んで寄生する。イッカクを釣り上げた漁師の多くが、ツノの根元にクジラジラミを見つけている。

【クジラジラミ:大きさ0.5~2.5cmほど】

(via wikipedia)

11.イッカクの皮ふには、ビタミンCがたっぷり

(via Public Domain Pictures)

イヌイットにとって、イッカクが必需品であった理由は、その美味しさだけではない。イッカクの肉には、ビタミンとミネラルが豊富に含まれているのだ。

およそ30g分のイッカクを食べれば、オレンジ1個分のビタミンCが摂取できてしまう。これらのことが、イヌイットが冬に大量のイッカク肉をためこみ、エネルギーを大量に必要とする犬たちに、この肉をあげている理由となっている。

12.イッカクのツノは、必ず左巻きになる

(via Travis S./flickr)

例外なく、イッカクのツノはすべてが左ねじ方向にらせん状のミゾを作る。たとえ2本のツノを持っていたとしても、全部左巻きになることが知られている。

13.イッカクは、ほとんどの時間を逆さまになって泳いでいる

(via KnitChick1979/flickr)

驚くべきことに、イッカクは海底にいる間、およそ80%の時間を逆さまになって泳いでいる。

この理由についてはっきりと分かっていないが、おそらくツノが海底にぶつかって折れてしまうのを防ぐためではないかと考えられている。(イッカクのツノは下向きについている)

14.イッカクは、年をとるごとに白くなっていく

(via ViraLuck)

人の髪の毛が年齢を重ねるごとに黒から白に変わるのと同じことが、イッカクにも起こる。

生まれたばかりの頃は、青がかった灰色で、成体になる頃には青白い地に茶色の斑点模様となる。

老齢の個体になるとほぼ真っ白になり、ツノが無い個体はシロイルカと間違えられることさえある。

15.イッカクの泳ぐ速度は、人間の歩くスピードと同じくらい

(via pixabay)

マナティーはそのゆっくりとした動作から、海のナマケモノと呼ばれることもあるが、イッカクもそれに負けず劣らず動きが遅い。イッカクの平均遊泳速度は時速6kmほどで、人間とそれほど変わらない。

ただしスタミナがあって潜水時間は25分に達し、水深1500mまでもぐることができる。捕食者のシャチに襲われた場合は、たいてい長い潜水時間を使って深みにもぐりやり過ごす。

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Posted by uti