ゾンビのような症状をもたらすウイルス・寄生虫・細菌

現在のところ、人や動物を映画に出てくるようなゾンビにするウイルス・細菌は存在しません。しかし、ゾンビと似たような症状を示し、ゾンビ映画のモデルとなっている感染症は存在しています。

たとえば、自発的な意思が喪失しゾンビのように動き回ったりする感染症や、凶暴化・精神錯乱により奇妙な行動を繰り返したりする感染症などです。

今回はこれらの恐ろしい感染症を4種類ご紹介します。

1.狂犬病

【狂犬病の患者】

(via SlidePlayer)

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狂犬病は、ゾンビ映画が生まれるゆえんとなった感染症です。この感染症は患者を攻撃的にし、会話を不能にし、体にマヒを起こさせます。そして、他人を噛みたいという欲求さえ生じさせることがあるのです。

狂犬病の恐ろしい症状
動画:狂犬病患者の行動
Rabies Infected People

Rabies Infected People

狂犬病の症状は2タイプあります。ひとつは、発症後すぐに体がマヒし、そのまま死亡するケースです。この症状を示す患者は全体の30%で、この場合には、症状が類似した他の感染症と見分けることは困難です。

しかし残りの患者の大部分は、上の動画で見られるような凶暴性狂犬病と呼ばれる、狂犬病特有の症状を示します。

凶暴性狂犬病の患者は、初期段階で熱や感染箇所の違和感、かゆみなどが現れだします。症状が進むと、そわそわして落ち着かなくなり、じっとしていられず体を常に動かし続けるようになります。

その後、意味不明なこと口走ったり、つじつまの合わないことをしゃべったりなどで精神錯乱におちいり、攻撃性が増し、暴れまわるようになります。そのため上の動画のように、ベッドに拘束せざるえない状況となります。

またこのときに、狂犬病特有の水を極度に恐れる症状が現れます。

動画:水を恐れる恐水症が現れだした患者
Hydrophobia in Rabies

Hydrophobia in Rabies

恐水症になるのは、水を飲むことで喉の筋肉が激しく痛むためです。上の動画は狂犬病治療中の患者で、のどが渇いていても水が飲めず、しかも意識がはっきりしているため、非常に苦しい状況に直面しています。

患者が恐怖するのは水だけではありません。光や風も恐怖の対象となるのです。そのため患者は、暗くて狭い場所に隠れようとします。

また自分の声も、空気を振動させて風を生み出すことになるので、極度に会話を恐れ、しゃべることさえできなくなります。

そして患者らは、何かを噛まなければならないという強迫観念めいた欲求に迫られることがあります。

これはおそらく、狂犬病ウイルスが新しい宿主を求めて、患者をこのような行動に駆り立てているのだと考えられています。

発症したら致死率100%

【狂犬病の患者】

(via Wikimedia )

狂犬病が発症したら、助かる見込はほぼ0です。これまでに発症後に回復したのは、たった数十例です。それも毎年5万人近くが亡くなっている中での生存数なので、発症後の治療にはほとんど効果が無いとされています。

感染は、狂犬病ウイルスを保有した犬が原因

【狂犬病に感染した犬】

(via Wikimedia )

日本では、犬の狂犬病予防接種が義務化されているため、既に根絶された病気ですが、インドや中国では狂犬病ウイルスを保有した野犬が当たり前のようにいます。

狂犬病は、このウイルスを保有する犬に噛まれることで感染します。犬のだえきを通じて、ウイルスが人の傷口に入り込み、感染症が引き起こされるのです。

驚くべきことに、中国やインドでは飼い犬であっても、予防接種が行われのはごくわずかで、町に大量にうろついている野犬は言うまでもありません。

そのため狂犬病で亡くなる人は2015年時点で、インドで2万人以上、中国でも5千人以上に上ります。全世界では5万人以上に達しています。

2.アフリカ睡眠病

(via Wikimedia)

アフリカ睡眠病は、健康な男女をゾンビのような姿に変えてしまう感染症です。アフリカだけで流行しているほとんど知られていない病気ですが、2015年時点で感染者数は1万人以上、死亡者数は年間3500人で、極めて大きな被害をもたらしています。

この数は、病院で診断を受けた人だけなので、実際にはこれよりもずっと多いとされます。感染の危険にさらされている人は、アフリカ36ヶ国で7,000万人に上っているのです。

生きているのに、死んでいるかのような状態

(via USO Cleveland)

アフリカ睡眠病は、徐々に人を人でない状態にしていきます。

感染初期は頭痛、筋肉痛、発熱が見られ、病状の進行とともに、リンパ節が腫れだします。ここで治療を行えば助かる可能性は高いですが、次のステージに入ったときには手遅れになっている場合が多いです。

次のステージでは、感染症の原因である寄生虫が脳に侵入し、体に明確な異常が現れだします。感染者は、集中することが難しく感じるようになり、だんだんと怒りっぽくなっていきます。ろれつが回らなくなり、食事を拒否しだします。

また睡眠リズムが狂い始め、夜に寝られなくなり、昼間起きていることが困難になります。これが毎日のように続くことで、感染者の体力は消耗し、最終的には直線を描いたりする単純なことさえ出来なくなります。

この段階にまで進むと、自らの意識は消え、何の感情も示さず、常にもうろうとした状態であり、その状態はまるでゾンビのようだと言われることがあります。

ここまで行くと病気の進行を止めることは難しく、最終的には外部の刺激に一切反応を示さなくなり、意識不明の状態から死へと向かいます。

感染源はハエの一種

(via Wellcome Library)

ハエでありながら血を吸い、致命的な寄生虫をまきちらすことで悪名高いのが、ツェツェバエです。

ツェツェバエは、アフリカの限られた地域だけに住んでおり、トリパノソーマというアフリカ睡眠病をもたらす寄生虫を体内に飼っています。

ツェツェバエがもたらす災厄はこれだけではありません。動物にもナガナ病などの致死的な感染症を移すのです。かつてツェツェバエの大繁殖した地域では、短期間で500万頭以上の家畜が死に絶え、多くの人が飢えで命を落としました。

現在でもツェツェバエによる被害は、年間4500億円にも達しており、トリパノソーマ感染症により年間300万頭近くのウシが死んでいます。

3.ハンセン病

(via Biggies Boxers)

ハンセン病は4000年以上前から知られていた感染症です。患者の見た目と感染に対する恐怖から、非常に多くの差別を産んできました。

ある地域においては、ハンセン病にかかった患者は法的に死亡したことと同意とされ、配偶者の離婚などが許可されていました。

患者は断絶した島や僻地に送り流され、社会から強制的に排除されました。患者は一生涯、そこで暮らすことを余儀なくされたのです。

ハンセン病の症状

(via Wikimedia )

ハンセン病患者は、ゾンビのように皮ふが腐って溶け、はがれ落ちていくと言われることがあります。

しかし実際のところ、皮ふが腐敗しているわけではありません。菌の増殖によって、皮ふの発疹や盛り上がりができているだけです。

また、症状が進行すると手足の感覚が失われることが多く、気づかないうちにケガをして四肢の一部を失うことがあります。

そのような状態が、ゾンビのよう、バケモノのようだと差別されることの原因になったと考えられています。

現在は完治可能な感染症

現在の日本ではほぼ根絶された感染症であり、早期の治療で一切の障がいを残すことなく完治できる病気となりました。世界でも1960年代に1,000万人以上いた患者は、2015年には18万人まで減少しています。

感染源は、ハンセン病患者の鼻水の飛散によるものとされています。成人の95%がハンセン病の菌に対して耐性があるため、大人から大人へと感染することはめったにありません。しかし免疫力の低い子供は感染する可能性があります。

現在の新規患者の多くは、インドなど発展途上国で不衛生な環境に住み、栄養状態が非常に悪いこどもたちです。

このような地域の衛生状態が向上し、適切な治療が行き届くようになれば、ハンセン病の根絶は成し遂げられることになるでしょう。

4.タイワンアリタケ

(via Wikimedia )

ゾンビ菌ともよばれているアリに寄生するキノコの一種です。人間には感染しません。

この菌に感染すると、アリのふるまいは一変します。菌によって完全に洗脳された状態になり、自らの意志とは関係なく自分の巣を離れ、菌の生育に最適な温度・湿度を求めて、ゾンビのように森の中をさまよい歩くようになるのです。

最適な場所を見つけると、自分の体を葉っぱや枝に固定させます。菌がある程度まで成長すると、アリの体は突き破られ、ここでアリは自らの死とともに洗脳から開放されます。アリの体を突き破った菌は、胞子を空気中にばらまき、次のアリへと感染を広げていきます。

タイワンアリタケの感染力は極めて強く、この感染で数千匹のコロニーが全滅することがあります。アリにとっては非常に驚異的な菌といえます。

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