夜も寝られなくなる本当に怖い話(厳選30個)

2016年9月7日

21.エレベーター

 

建築法だか何だかで5階(6階かも)以上の建物にはエレベーターを設置しないといかんらしい。だから俺が前住んでいた高速沿いのマンションにも、当然ながらエレベーターが一つあった。
六階に住んでいた俺が階段を使うことは全くといっていいほどなかった。まあ、多分誰もがそうだろう。
来る日も来る日もエレベーターのお世話になった。階段は下りるならともかく昇るのはなかなかにツライ。
だが、ツライのは分かっていても、今の俺は専ら階段しか使わない。

大学の講義がない平日の昼頃、俺はコンビニでメシを買ってこようと部屋を出た。
1階に下りるのには当然エレベーターを使う。エレベーターは最上階の8階に止まっていて、今まさに誰かが乗るか降りるかしているところのようだった。

俺は階下のボタンを押し、エレベーターが下りてくるのを待った。
開いたエレベーターのドアの向こうには中年のおばさんが一人いた。
ちょくちょく見かける人だったから、多分8階の住人だったんだろう。
軽く会釈してエレベーターに乗り込む。1階のボタンは既に押されている。
4階で一度エレベーターが止まり、運送屋の兄ちゃんが乗ってきた。
3人とも仲良く目的の階は1階だ。

だが。
エレベーターは唐突に3階と2階の間で止まってしまう。
一瞬軽いGが体を押さえつけてきた。俺を含めた室内の3人は3人とも顔を見合わせた。
何だ。故障だろうか。停電、ではないようだ。エレベーター内の明かりには異常がない。
「どう……したんすかね」
俺がぼそりと呟く。おばさんも運送屋も首を傾げる。
暫く待っても動く気配がない。と、運送屋が真っ先に行動した。彼は内線ボタンを押した。
応答がない。嘆息する運送屋。
「一体どうなってんでしょう」
運送屋の疑問は俺の疑問でもあった。

多分数字にしてみれば大した時間じゃなかった筈だ。沈黙は3分にも満たないくらいだったろう。
それでも漠然とした不安と焦りを掻き立てるには十分な時間だった。
何となくみんなそわそわし始めた頃、エレベーターが急に稼動を再開した。
おばさんが短くわっと声を上げる。俺も突然なんでちょっと驚いた。
しかし、だ。押しているのは1階のボタンだけだというのに、どういうわけか下には向かわない。

エレベーターは上に進行していた。
すぅっと4階を抜け、5階、6階……
7階で止まり、がらッとドアが開いた。
俺は訝しげに開いたドアを見る。全く、何なんだ。一体なんだっていうんだこれは。

「なんか不安定みたいだから」

おばさんがエレベーターを降りながら言った。

「なんか不安定みたいだから、階段で降りる方がいいと思いますよ。また何が起こるか分からないし」

「そりゃそうですね」

と、運送屋もエレベーターを降りた。
当然だ。全く持っておばさんの言うとおりだ。
今は運良く外へ出られる状態だが、次は缶詰にされるかもしれない。
下手をすれば動作不良が原因で怪我をする可能性もある。そんなのはごめんだ。
俺もこの信用できないエレベーターを使う気などはなく、二人と一緒に降りようと思っていた。
いや、待て。
何かがおかしい気がする。
エレベーターの向こうに見える風景は、確かにマンションの七階のそれである。

だが……やけに暗い。電気が一つも点いていない。明かりがないのだ。
通路の奥が視認できるかできないかというくらい暗い。
やはり停電か?
そう思って振り返ってみると、エレベーターの中だけは場違いなように明かりが灯っている。
そうだ。動作に異常があるとはいえ、エレベーターは一応は稼動している。停電なわけはない。
どうも、何か変だ。
違和感を抱きつつ、俺はふと七階から覗ける外の光景に目をやってみた。

なんだこれは。
空が赤い。
朝焼けか、夕焼けか? だが今はそんな時刻ではない。
太陽も雲も何もない空だった。なんだかぞくりとするくらい鮮烈な赤。
今度は視線を地に下ろしてみる。
真っ暗、いや、真っ黒だった。
高速やビルの輪郭を示すシルエット。
それだけしか見えない。マンションと同じく一切明かりがない。

しかも。普段は嫌というほど耳にする高速を通る車の走行音が全くしない。
無音だ。何も聞こえない。それに動くものが見当たらない。
上手くいえないが、「生きている」匂いが眼前の風景から全くしなかった。
ただ空だけがやけに赤い。赤と黒の世界。

今一度振り返る。そんな中、やはりエレベーターだけは相変わらず明るく灯っていた。

わずかな時間考え込んでいたら、エレベーターのドアが閉まりそうになった。
待て。どうする。
降りるべきか。
それとも、留まるべきか。
今度は特に不審な動作もなく、エレベーターは大人しく1階まで直行した。
開いたドアの向こうは、いつもの1階だった。
人が歩き、車が走る。生活の音。外は昼間。見慣れた日常。
安堵した。もう大丈夫だ。俺は直感的にそう思ってエレベーターを降りた。

気持ちを落ち着けた後、あの二人のことが気になった。俺は階段の前で二人が降りてくるのを待った。
しかし、待てども待てども誰も降りてこない。
15分ほど経っても誰も降りてこなかった。階段を下りる程度でここまで時間が掛かるのはおかしい。

俺はめちゃくちゃに怖くなった。
外へ出た。
何となくその場にいたくなかった。

その日以来、俺はエレベーターに乗りたくても乗れない体質になった。
今は別のマンションに引越し、昇降には何処に行っても階段を使っている。
階段なら「地続き」だからあっちの世界に行ってしまう心配はない。
だが、エレベーターは違う。
あれは異界への扉なんだ。少なくとも俺はそう思っている。
もうエレベーターなんかには絶対に乗りたくない。
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22.田辺からのメール

10年前の話。
当時付き合ってた彼女(Y子)と別れて一週間後くらいに知らないアドレスからメールが来たのが始まりだった。
かいつまむと

「突然のメール申し訳ございません。僕はY子さんとバイト先(某コンビニ)が一緒の田辺と申します。実はY子さんのことが好きになってしまいました。彼氏だったオレさん(実名書かれてた)に相談したくてメールしました」

まずお前誰だと。いきなり知らない人にメール?
しかもオレがY子の元彼ってなぜ知ってんのかと。
知ってんのはまだしも、なんでオレのメアド知ってんのかと。
ふつうに気味悪さに寒気がした。

とにかくメールは長文で田辺がY子をどんだけ好きなのかがびっしり書いてある。
で、最後に「Y子さんをどうやったら振り向かせられるか教えてください」と。

しらねえし、お前こええよwww
で、シカトしようかとも思ったんだけど、
逆恨みされるのもイヤだから、返信。

「今はY子と別れて連絡もとっていません←実際連絡とってない
そんなに好きならしっかり想いを伝えてしまえばいいと思いますよ。頑張ってください」

それから数時間後、返信が。

「ありがとうございます。全力で頑張ろうと思います。オレさんに相談して勇気が湧きました。よかったです」

さすがにキモかったので返信せず。

それからほぼ毎日田辺からメールが来る。

「今日は一度Y子さんと話せました」

「今日はY子さんと一緒に発注についてやりとりできました」

「今日は出勤時間が一緒で偶然会え、バイト先までいろいろ話せました」

こんな感じの報告メールが一日一回のペースでくる。
キモいし関わりたくなかったので一切返信しなかった。
それでも毎日こんな感じのメールがきた。
1週間ほどしてからメールの内容が変わってくる。

「なんでY子さんは僕の気持ちに気づいてくれないんでしょうか」

「Y子さんはいろんな男に愛想がよすぎる。男に話しかけられると皆に笑顔です。 八方美人は嫌いです」

「僕のことをY子さんは馬鹿にしているんでしょうか」

明らかに報告からY子への嫉妬むき出しの内容に変わった。

それでも無視を続けていたら、とうとうすごいメールが届いた。
件名は「良い事を思いつきました」

「今日、Y子さんの夕勤帰りに僕の友達を使って襲わせます。 そこに僕がたまたま通りかかったことにして助ければY子さんも好きになってくれるはずです」

さすがにやばいと思ったオレはそのとき初めてY子にメールをする。
Y子と同じバイト先の田辺ってやつがヤバイ、今日襲うとかいってるから帰りは皆で一緒に明るい道で帰れ、と。
Y子からメールが来る。

・田辺なんてバイト先にいない。ってか男自体がオーナー以外今は勤務先にいない。
・確かに今日は夕勤で23時あがり。
・友達と帰るから大丈夫。やばけりゃ交番近くにあるから大丈夫。

こんな内容だった。
田辺が実際にいない人物と分かって鳥肌がたったのを覚えてる。
気味悪かったがY子にも連絡できたことで少しだけ安心する。
同時に田辺へ返信。

「Y子に伝えました。変なことはしないほうがいいですよ」

田辺から返信はなかった。
夜になり、オレはやることもなく家でゴロゴロしてた。
23時過ぎても田辺からの返信はなく、Y子からも特に連絡なし。
ホッとしてるといきなり着信音がなる。Y子からだった。
電話に出ると半べそでパニック状態のY子の声がした。

Y「どうしよう、○○駅(最寄り駅)ついてから変な人がずっとついてくる」

オ「!?どんなやつだ!?」

Y「怖くて見れない。けどずっとついてきてる」

オ「とりあえず交番いけ!」

いきなり家のチャイムがなる。
心臓が止まりそうになる。

おそるおそるドアを覗くと…Y子だった。
オレの家とY子の家はすぐ近所。
一人暮らしのY子はあまりの怖さでうちに来てしまったらしい。
開けるとY子はものすごい真っ青な顔で泣きまくってる。
すぐに家にいれて鍵をしめる。

オ「オレの部屋に入るのは見られたか!?」

Y「わかんない。でも近くまでずっと付けられてたのは確か」

勇気を出してベランダから外を見るも人の気配はない。
正直オレ自身もものすごいパニックになっていて、田辺にメールをする。

「警察に今連絡をしました。今までのメールも全て残してあるので証拠になります。 もうすぐ警察が来ますのでこれ以上のことはしないほうがいいですよ」

ちなみに今考えれば警察に本当に連絡すればよかったものの、なぜか連絡しなかった。
ガキだったこともあって警察に巻き込まれるのがなんとなく嫌だったんだと思う。
どう考えても警察にいっていい内容だったと思うが。

Y子にはバイトを次の日休ませ、なにかあったら本当に警察に行こうという話をした。
チャイムが鳴るんじゃないかと相当びびりながらすごしたが、
結局その日は何も起こらなかった。
翌日、田辺からオレにメールが来た。
最初のメールのときのように敬語で長文。
内容としてはこんな感じだった。

・どうかしてました。本当にごめんなさい
・実は僕は田辺という名前ではありませんし、Y子さんと同じバイト先というのも嘘
・Y子さんのバイト先にたまたま買い物をし、一目ぼれをしてしまった
・ある日、近くの居酒屋で飲んでいるときに偶然Y子が何人かと飲みにきて横のテーブルにきた
・Y子達はオレと別れたドンマイ飲み会できていたらしく、ベロベロに酔っ払ってオレの名前をいっていた
・友人にY子がトイレへつれてかれる。テーブルに誰もいなくなったとこで
Y子の携帯を見てオレのアドレスをメモ。その後オレにメールした
・もうしません。本当にすみませんでした

それからオレにもY子にも何も起こらなかったこともあり、結局犯人が誰だったのかはいまだにわかっていない。
長文失礼しました。
オチになんのインパクトもないけど、人生で自分的に一番怖い体験でした。

23.マンションの隣人

俺が大学生の時一人暮らししていたマンションの話です。
自分には霊感とかまったくないんですが、夜部屋にいると
「シャッ・・・シャッ」という変な音が聞こえてきて、へたれな俺は
なんの音だこれ・・・?と怯えてましたw

そしてその音が聞こえだして、たしか1週間後の夜9時過ぎ頃
ベランダから音がしたんでいつもの音と違うな?と思ってそっちを見ると
カーテン越しに人影が!
変な音がしていたこともあって幽霊がでた!?と直感しました。
あまりの恐怖にベッドから動けずにいると
「ドン!ドン!ドン!」と窓ガラスを激しく叩く音が・・・
しかもカーテンに映る影には刃物らしきシルエットが見えたのです。
殺される!?と思った俺はベッドから飛び起きて裸足で逃亡。
必死の思いで玄関を飛び出して管理人室に逃げ込みました。
大家さんにパニくりながら部屋で起きたことを説明すると
当時もう必死だったのでなんて言ったか覚えてないんですが、
大家さんはすぐ警官を呼んでくれました。(よく信用してくれたな・・・

そして10分くらいで警官が2人やってきたので大家さんと4人で俺の部屋にいくことになりました。
そして扉をそっと警官があけようとしたんですが、なぜか鍵がかかっていました。
もちろん部屋の鍵なんて持ち出してないし、そもそも必死で逃げてたので 鍵をかけるわけがない

警官に「あなた本当に見たんですか?鍵がかかってるようですが」

俺はもちろん見ました!と必死に訴えましたが警官はあまり信用してないご様子OTL
とりあえず大家さんの鍵で部屋に入ることに
そして扉を開けたら・・・・・
いたんですよ!包丁を持った女が!しかもよく見ると隣に住んでる人!それに加えて

「入ってこないで!私を殺す気でしょう!あqwせdrftgyふじこlp;」

もう何を言ってるか最初しか聞き取れないほど電波ゆんゆん・・・
その女を警官がなだめようとしたその時!女がベランダにダッシュ
となりの部屋にいこうと柵を乗り越えました。逃げたと思ったその瞬間
女が消えた・・・・・そう落ちたんです・・・・(部屋は2F)
ドサァッと鈍い音がしたので、急いでベランダに行き下を見ると太ももに包丁がつきささって血まみれになった女がばたばた暴れていました。
俺が唯一体験した洒落にならない怖い話です。
あそこで逃げてなかったらと思うとガクブル
後日大家さんから詳しい話を聞いたんですが、俺が聞いてたシャッ!という音は
壁を包丁で切りつけていた音だったんじゃないか?とのこと
部屋の壁がぼろぼろになってたそうです。
俺の記憶では3ヶ月前くらい前からそういえばほとんど会わなくなったなぁと
でも3ヶ月前は普通の人だったんですけどね・・・・
皆様も隣人には気をつけてください。あなたの隣人は正常ですか?

24.五億年で百万円

記憶が曖昧ですが、自分が小学生くらいの頃にジャンプの特別版?か何かで読んだ漫画です。
タイトルは確か「ボタン」だったと思います…。
まとめるのが下手なんでかなり長くなりますが、良かったら読んで下さい。

主人公は、俗に言うなんちゃってヤンキーみたいな奴で、ちょっと悪ぶってるけど実はかなり小心者の高校生。
いつも、強面だけど主人公より更に馬鹿(勉強が出来ないという意味だけでなく人間的にも)なクラスメイトの腰巾着と、頭脳明晰で語尾に必ず「にょ」を付ける、顔は犬で体は人間という謎の同級生の二人を連れて街中をぶらぶらとしていた(本作中でも「人間なのか何なのかも分からない」と説明されていました;)。

ある時、主人公と腰巾着が、「どこかに美味しい金稼ぎの話はないかなあ~」と高校生らしい話題に花を咲かせていると、その謎の同級生が「ボタンを押すだけで百万円手に入る方法があるにょ」と、いかにも怪しげな話を持ちかける。
二人はその話に興味津々で、謎の同級生に詳しい話を請うと、その謎の同級生はボタンのついた金属製の箱を取り出し「これを押せばこの箱の引き出しから百万円が出てくるにょ」と言う。
「ただし…」謎の同級生はこう続ける。

①ボタンを押すと、宇宙の果てのそのまた果てのどこか訳の分からない所に精神だけが飛ばされる。
②そこで5億年間、死ぬことも眠ることも出来ないまま(つまりずっと意識がある状態で)過ごす。
③5億年経つと元の場所、元の時間に精神が戻ってくる。
④戻った瞬間に5億年間の記憶は全て抹消され、百万円が引き出しから出てくる。

つまり、実際にはボタンを押した後5億年間何もない空間で寝ることも死ぬことも出来ずに過ごさなければならないが、結局記憶は抹消されるうえ、元の時間、元の場所に戻ってくるのでボタンを押すだけで百万円が手に入ったような感覚に陥る、(もちろん、周りから見てもそう見える)というような内容だった。

最初は二人ともその話にうろたえていたが、人間的な馬鹿な強面の腰巾着が、金に目が眩んでボタンを押してしまう。
すると「チャリーン」という軽快な音とともに、引き出しから百万円が出てきた。
腰巾着が「何だ、簡単じゃん!」と喜びながら何度もボタンを押すと、その度に中から百万円が現れて、瞬く間に腰巾着は抱えきれないほどの札束を手にしてしまう。
呆然と見つめる主人公に、同級生は「本当は5億年体験してきてるんだにょ。記憶がないだけで」と言う。

最初こそ戸惑っていた主人公だが、腰巾着が簡単に札束を手に入れている様を見てついにボタンを押してしまう。

微弱な電流が体を貫通していくのを感じた次の瞬間、主人公は真っ暗な暗闇の中にいた。
何が起こったのか理解できずに助けを求めて走り回るが、次第に空しくなってその場に倒れこんでしまう。
そしてようやく自分が犯してしまったことの重大さに気付き、途方に暮れる。
それから百年近く、悩み苦しみながら苦悩の日々を送る。
独りジャンケンや独りしりとりなどで気を紛らわそうとするが、そんなものは一瞬の気休めでしかない。
そうして二百年近く経った頃、主人公がはたとある疑問が浮かぶ。
それは、「自分とは一体何者なのか」ということである。
地球というちっぽけで、訳の分からない星のこれまたちっぽけな東京の片田舎に生まれ、ちょっと生きてすぐに死んでいく。
何十億通りの人生が渦巻く不条理世界の中に、自分と言う存在は一体何の意味があるのだろうか。
だいたい地球って何なんだ、宇宙って何なんだ、自分ていうのは一体何で存在しているんだ、もしかしたらこの暗闇の世界にいる自分が世界の創造主で、地球で平凡に暮らしていた自分は、本当の自分が作り出した夢の登場人物に過ぎないのかもしれない。
主人公の頭の中はそんなとりとめもないことで満たされていく。

そうした疑問に対して、主人公は自分なりの答えを出すために自分の歯を抜いて、地面に答えを導き出す式を延々と書き綴っていく。
何百年、何千年と書き綴り続ける。
幸い、キャンパス代わりの地面は果てしなく広がっている。

そうして、主人公は三億年あまり書き綴り続けた。
そしてある時、彼は「何か」を悟ったらしい。
その後残り約二億年は空間と調和し、一切の邪念を捨て払った。
そしてちょうど五億年目、主人公は地球へと戻る。
無論、今までの記憶は全て抹消されてしまう。

地球に戻った主人公の前には、百万円があった。
もちろん今までの記憶がないので、主人公は大喜び。
札束に埋もれる腰巾着を目の当たりにし、何も知らずに勢いで思いっきりボタンを連打してしまう。

…とまあだいたいこんな感じの話です。
自分的には小学校の頃に読んだのでその時はただただ不思議というか面白いなあとう感想しかなかったのですが、今よくよく考えてみると物凄く後味の悪い話だと思いました。

25.トイレ貸して

友達から聞いた話。
駅前でやたら髪の長い男に「トイレ貸してください。」って声かけられたんです。怖かったから無視して早歩きして家に向かいました。振り返るとその男はいませんでした。
部屋に戻ると二人暮しの妹はまだ帰ってきてませんでした。駅前の男の事がまだ気味悪かったので、妹に【駅前に気味の悪い長髪の男がいたから気をつけてね】ってメールしたんです。
わたしはすぐにお風呂に入りました。ユニットバスなのでシャワーカーテンを閉めて湯舟に浸かりました。

間もなく妹が帰宅したようでした。
わたしは湯舟から「大丈夫だった?変な男いたでしょう。」と呼び掛けましたが返事はなく、ユニットに入ってきました。
わたし達は片方がお風呂、片方が便座に座って、シャワーカーテン越しにその日の出来事をよく話すので、わたしは駅前の気味の悪い男の出来事を話し始めました。
するとシャワーカーテンの向こうから

ジョボジョボジョボジョボ…

「トイレありがとう」

26.父の作った物置

私の家の廊下の突き当りが袋小路になっていたのを定年になったばかりでヒマを持て余している父が「スペースがもったいないので物置にする。」と言い出して一人で工事しはじめました。

何かに取りつかれたように父は作業をしわずか一日で上下二段で扉つきの物入れが出来ました。
翌日家に帰るといるはずの父が見当たらなく、また物入れの作業中かと思い廊下へ出てみると物入れの扉には新たに南京錠が取りつけてありました。
結局その日父は帰ってこず翌日の晩になりました。不安になった母に物入れのカギを壊して中を見てくれとせがまれ私も父がカギをつけてまでしまいこんだ物が気になり丁寧に南京錠の掛っている金具ごと取りはずしました。
中には薄ら笑いでうつろな目をしている父が体育座りでこちらを向いてました。

なぜ外から鍵が掛っていたのかなぜ父が中にいたのか?残念ながらその日以来ボケてしまった父から答を聞くことが出来てません。
今日も父は物入れの下段に入りこんで楽しそうに宙を見ながら笑っています。

27.「道を教えてください」

夕方の路地でそう話し掛けてきたのは背の高い女だった。
足が異様に細くバランスが取れないのかぷるぷると震えている。
同じように手も木の枝のように細く、真っ赤なハンドバッグをぶら下げている。
はあはぁと何度もため息なのか呼吸なのか分からない息を吐き、僕に聞いているはずなのに視線はまったく違う方向を向いている。

「あ…あの。どちらへ…?」

やばい人っぽい。

僕は早く答えて立ち去ろうと思った。

「春日谷町1-19-4-201」

「………」

そこは僕のアパートの住所だった。
部屋番号までぴったりと合っていた。

「し、知りません」

僕は関わり合いたくないと本気で思い、そう答えた。
すると女はゴキッと腰が折れ曲がるほどにおじぎをして、またふらふらと路地の奥へと消えていった。

「超こぇえ…」

僕はわざわざ遠回りをしてアパートに戻ってきた。
部屋のカギが掛かっているのを確認し、さっさと開ける。

「道を教えてください」

真っ暗な部屋の中から声がした。

28.双眼鏡

漏れにはちょっと変な趣味があった。
その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出てそこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。
いつもとは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい。
遠くに見えるおおきな給水タンクとか、酔っ払いを乗せて坂道を登っていくタクシーとか、
ぽつんと佇むまぶしい自動販売機なんかを見ていると妙にワクワクしてくる。

漏れの家の西側には長い坂道があって、それがまっすぐ漏れの家の方に向って下ってくる。
だから屋上から西側に目をやれば、その坂道の全体を正面から視界に納めることができるようになってるわけね。
その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら「あ、大きな蛾が飛んでるな~」なんて思っていたら、
坂道の一番上のほうから物凄い勢いで下ってくる奴がいた。
「なんだ?」と思って双眼鏡で見てみたら全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、
満面の笑みを浮かべながらこっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。
奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、漏れと目も合いっぱなし。
ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、 なんだか凄くヤバイことになりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ。

ドアを閉めて、鍵をかけて「うわーどうしようどうしよう、なんだよあれ!!」って怯えていたら、

ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。明らかに漏れを探してる。
「凄いやばいことになっちゃったよ、どうしよう、まじで、なんだよあれ」って心の中でつぶやきながら、

声を潜めて物音を立てないように、リビングの真中でアイロン(武器)を両手で握って構えてた。
しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。
もう、バカになりそうなくらいガタガタ震えていたら、ドアをダンダンダンダンダンダン!!って叩いて、チャイムをピンポンピンポン!ピポポン!ピポン!!と鳴らしてくる。
「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」って感じで、奴のうめき声も聴こえる。
心臓が一瞬とまって、物凄い勢い脈打ち始めた。
さらにガクガク震えながら息を潜めていると、
数十秒くらいでノックもチャイムもうめき声止んで、元の静かな状態に……。
それでも当然、緊張が解けるわけがなく、日が昇るまでアイロンを構えて硬直していた。

あいつはいったい何者だったんだ。
もう二度と夜中に双眼鏡なんか覗かない。

29.コンビニの深夜バイト

後輩は、某ソンの深夜バイトをしていた。
そのコンビニは、深夜になるとかなり暇になるらしい。
後輩はいっしょにバイトしている先輩と、いつもバックルームでのんびり漫画など
読んで過ごしていた。

ある日のこと。
いつもと同じようにバックルームでお菓子を食べながら、
後輩は先輩と駄弁っていた。
仕事と言えばたまにモニターをチェックするくらいである。
モニターは画面が4分割されていて、レジ2箇所、食料品棚、本棚を映しているのだが、
ふと見ると、本棚のところに女の人が立っているのを後輩は見つけた。
腰まである異様に長い髪をした女の人だ。

「おかしいな、チャイム鳴らなかったぞ」

と先輩はいぶかしむが、たまに鳴らない事もあるので、さして深く考えず二人はまたしゃべり始めた。

しかし、である。
いつまで経っても女の人は動く気配を見せない。
本を読んでいるのかと思えば、何も手にしていない。
ひたすらじっと本棚を見つめているだけである。

「おい、こいつ万引きするつもりなんじゃないか」

先輩が言った。どことなくおかしな雰囲気のする女の人である。
後輩もその考えが浮かんだところだったので、頷いた。
二人で挟み撃ちすることにして、バックルームを出る。
先輩はレジ側から、後輩はバックルームへの出入り口から本棚へ向かう。

いざ本棚へ到着してみて、二人は首をかしげた。
そこには誰もいなかったのだ。
おかしい。絶対挟み撃ちにしたのに…。

すると、トイレのほうから水を流す音が聞こえてきた。

何だ、トイレに入っていたのか。

おかしな人だな、と思いつつ、二人はすぐバックルームへと戻った。

しかしモニターを見て、二人は初めてぞっとした。
さっきと全く変わらない立ち位置で、女の人が本棚を見つめていたのだ。

早い。早すぎる。

トイレからそこへ向かうのと、バックルームへ戻るのとでは、
明らかにこっちの方が早いはずなのだ。

しかも、なんで同じ格好で本棚に向かってるんだ?

もしかして、モニターの故障では。
顔を見合わせ、頷きあって二人はもう一度、バックルームから挟み撃ちの隊形で
本棚へと向かった。

すると、また女の人はいない。

冷や汗がにじむのを感じながら、今度は何も言わずに二人はバックルームへと戻った。

無言で、しかし真っ先にモニターを確認する。

「あ、いなくなってるぞ…」

先輩が呟いた通り、モニターからは女の人の姿は消えていた。
後輩の心中にほっとしたものが広がる。
よく確認しようと、先輩の横に顔を乗り出した。その時。

「待て、動くな」

先輩が突如、押し殺した声を出した。
は?と思ったが反射的に従う。
二人、モニターを覗き込んだ格好のまま固まっている。

「いいか、絶対に今振り向くなよ」

やはり先輩が押し殺した声で言った。

何でだろう、と思った後輩だが、モニターをじっと見てそれを理解した。

画面の反射で、自分の顔と先輩の顔が映っている。

しかし、その真ん中。

もう一つ、女の人の顔が覗き込んでいたのだ。

悲鳴をこらえ、後輩はまさしく硬直した。

じっと耐えること数分、その女は

「…………」

と何事か呟くと、すっと離れた。

そしてさらに1分。

もういいぞ、と言われて後輩はやっと息をついた。
恐る恐る振り向いても、誰もいない。

どくどく脈打つ心臓を押さえ、後輩はモニターから離れた。

「ここって、なんかでるんやなぁ~」

先輩は感慨深げに呟き、後輩のほうに同意を求めた。

「そうですね」

と、先輩を振り向いて、後輩は再び硬直した。
その視線をたどったか、先輩もモニターのほうへ向き直る。
そこには、さっきの女の人が。しかも今度は、

カメラの方を向いて大口を開けて笑っている!!

もう二人は何も言わなかった。
何も言わず、某ソンを裏口から飛び出したと言う…

30.真夜中の訪問者

 

私は父親が生まれた時からいなくて、ずっと母親と二人暮しでした。(現在は結婚して、家は出ていますが) 私がまだ母と暮らしていた、17歳の頃の事です。

夜中の3時ぐらいに、ピーーと玄関のチャイムが鳴りました。
丁度その日は母と夜中までおしゃべりをしていて、二人とも起きていました。

「こんな遅くに誰だろね」なんて話しつつ、私が「はい」とインターフォンをとりました。
そうすると女性の声で、「あの…あの…突然すみません…。今晩、あの…泊めて頂けませんか」と。
声の感じでは40代ぐらい。
その妙におどおどしていた感じが気になって、
「え?泊めてくださいって母の知り合いの方ですか?」と聞き返しました。
すると相手は、

「いえ…全然違うんです…あの…私近所のマンションに住んでまして、あの…私会社をクビになって…あの…もう住む所がなくて…だから泊めて頂きたいと…」

話がよく理解できなかった私は、

「母の知り合いではないんですね?でも泊めるのは…」と、おろおろしてしまいました。

そこで見かねた母が「私が変わるから」といって、インターフォンで話はじめました。

私は一体なんなんなんだろ?と思って、玄関の窓越しに相手を見に行きました。

私が玄関の窓越しにみたその女性は、明らかに変な人でした。
まず、顔はもうどうみても50代なのに金髪の長髪。
白い帽子をかぶっていて、明るい緑のブラウスに、赤地に白の水玉のふわっとしたスカート。
右手には、たくさんの物が入った紙袋を持っていました。
その様子をみて、「これは変な人だ!!」と察知した私は、まだインターフォンで話している母に、
「ちょっとママ!玄関に来てる人、絶対変!怖いからもうやめよう!
相手にしないで『駄目です』っていって断ろう!」と、まくし立てました。

そしたら母は、「ははははは」と笑って、

「なんかこの雨の中、傘もなく歩いてきたんだって。怖いなら、傘だけでも貸して帰ってもらおう」

と言うじゃありませんか。
その日は、確かに雨がざんざん振りでした。
私はもう、その人の外見をみてるので泣きたくなって、こういう事にだけは度胸がある母をうらみました。

私は怖くなったので、玄関から離れた奥のリビングで、玄関の様子を伺っていました。
母が玄関を開けて話している声が聞こえてきて、しばらくすると、

「家には入れられません!帰ってください!」と、母の怒鳴り声が聞こえました。

私は普段、母の怒鳴り声なんか聞いたこともなかったので、
それだけでかなりビビッてしまい、その時点で涙目になっていました。
玄関ではガチャガチャガチャガチャ!!と、
チェーンの付いた扉を無理やり開けようとする女性と、閉めようとする母が出す音が大きく響き渡り、
17歳の私を泣かせるだけの迫力がありました。
でも、その押し問答の最中も聞こえてくるのは母の声だけ。相手の声はしません。

やっとバタン!と玄関が閉まる音がして、母がふぅふぅ言いながら部屋に帰ってきました。

「あの人、やっぱり○○(私の事)の言うとおりだね。頭おかしいみたい。怖かったでしょう、ごめんね」

と母が言うので、
「なんかされたの?大丈夫??」と聞き返しました。

すると母はまた笑って、
「いやいや、全然大丈夫。今日はもう寝なさい」と。

しかし、この話をしている最中に、また玄関のチャイムがピーーピーーピーーピーーと物凄い勢いで鳴り始め、
今度は玄関のドアが、ドンドンドンドン!!と叩かれました。
私のビビり具合はMAXに達して、
「警察に電話しようよ!」と泣き始めました。

母は「あとしばらく続くようなら警察を呼ぼう。あなたはもう寝なさいって。大丈夫だから」

と言い、寝る準備を始めました。
私は怖くてなかなか寝付けず、しばらく玄関の音に耳をすませていました。

玄関の音は30分ぐらいで止みましたが、それ以来しばらくは、夜中のお客さんは怖くて怖くて仕方ありませんでした。

その夜の出来事から5年後、私は一人暮らしを始める事になりました。
明日から新しい部屋で暮らす事になった晩に、母と話をしていて、

「そういえば、あんな事があったね~。私怖くて怖くて、めっちゃ泣いた記憶がある(笑」と言いました。

すると母が、「う~ん、あれだけで怖がってるようじゃ大丈夫かしらね、一人暮らし」と言うので、

「あれだけで?」と聞いたら、母はこう言いました。

「私ね、あの時あなたが、物凄く怖がってたから言わなかったけど…
まずあの人ね、雨が降ってる中歩いてきたって言ったのに、全然雨に濡れてなかったのよ。
で、左手にバットを持ってたの。
しかも、あの人、男の人だったよ」

私が腰を抜かしたのは言うまでもありません。
警察呼んでよママ…。

「なんで警察呼ばないの~!!!」と言ったら、

「なんだか逆恨みされそうじゃない、家はもう知られてるし」と。

その次の日から一人暮らしをする事になった私ですが、怖くてしばらくは実家に帰っていました。

以上です。長々とすみませんでした。
みなさんも、夜中の来客にはお気をつけください。

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Posted by uti