人間の常識をくつがえす水生動物の能力9種
驚くような能力を持ち合わせた水生生物をご紹介します。全9種類。
1.最大20リットルもの粘液で、敵を窒息状態にするヌタウナギ
(via .Justin/flickr)
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約3億5千年前から姿を変えていない古代魚のヌタウナギ。目は見えないし、アゴもないし、背骨もないし、ウナギでもない不思議な生物である。
これほど長い年月を生き長らえることができたのは、強力な粘液を武器に持っていたことが一つの要因である。
(via .theatlantic)
ヌタウナギは、横腹に粘液腺が複数あり、そこからゼラチン状に固まる粘液を大量に分泌する。ティースプーン一杯分の粘液は海水と混ざり合って、ビーカーに溢れんばかりに膨れ上がる。
このスライム状物質は、たった1匹で20リットル近く産み出される。外敵はこれをくらうと、エラをふさがれて息ができなくなる。そのため、窒息死から逃れるにはヌタウナギから離れる以外に無い。
2.外敵から身を守るため、肛門から臓物を吐き出すナマコ
(via .wikimedia)
ナマコは動きが遅く、外敵に襲われても逃げることは出来ない。その代わり、キュビエ器官と呼ばれる直腸が変化した武器で敵に立ち向かうことができる。
魚やカニに襲われると、ナマコは筋肉を一瞬で緊張させ、肛門からこの糸を吐き出す。糸は最大で自分の体長の20倍まで伸び、そして粘つくので外敵はこの糸に絡め取られ、身動きができなくなる。
外敵が動けなくなっている間に、ナマコはこの糸を自分の体から切り離して逃げていく。この糸を失っても数週間で再生するので、再び襲われた場合でも身を守れる。
ちなみに一部の種では、この粘液の中にサポニンという毒を持つものがいる。
3.泡の壁を作って獲物を閉じ込めるザトウクジラ
(via TwistedSifter)
最大14mに達する巨大なザトウクジラは、集団で小魚たちを追い詰める「バブルネットフィーディング」という手法で狩りをすることが知られている。
この方法は最初に、クジラたちが魚群の周囲を回り、逃げられないようにする。次に一頭のクジラが魚群のいる真下で、耳をつんざくような鳴き声をあげ、小魚たちを驚かせ水面に追いやる。
(via .inca1)
このとき水面に上がっていく魚群に対して、リーダーとなるクジラは噴気孔から泡をらせん状に放出し、小魚を泡の外に逃げ出さないように水面まで導く。
最後に全てのクジラが、逃げられなくなった魚群の真下に潜りこみ、大きな口を開けた状態で水面に浮上し、一斉に丸呑みにする。
4.分裂能力を持ち、体外に胃を出すこともできるヒトデ
(via .lizwason)
ヒトデは見かけによらず、ほとんどが肉食であり、主食はカキなどのニ枚貝である。貝の匂いにひかれて近づいたヒトデは、吸盤のような腕で貝殻を抱き込み、そこで持久戦へと持ち込む。
ヒトデは、数時間から長ければ数日かけて貝を引っ張り続ける。疲れ果てて力を失った貝は、最後には貝殻を開けて体内への侵入を許してしまう。
その後ヒトデは、裏返した胃を体内から飛び出させて貝肉を包み、消化液でスープ状にして取り込んでしまう。
(via .wikimedia)
またヒトデは再生能力がとてつもなく高い。種によっては腕をつかむと自分で切って逃げるが、しばらくすると再生する。また真っ二つになったり、一本の腕からも再生することがあり、それらは最終的に複数匹のヒトデとなる。
5.セラミック製の目が無数にあるヒザラガイ
(via .Cédric VAN ROMPAY/flickr)
ヒザラガイは、アワビのように岩に張り付いて暮らしている軟体動物。平べったい8枚の殻が軟弱な本体を保護している。
この殻の部分には、数mmに満たないとても小さな目が複数ある。
(via .sci-news)
この目はアラレ石という鉱物から出来ている。アラレ石の化学組成は、炭酸カルシウム(CaCO3)で、成分は貝殻と同じ。セラミックの一種とも言える。
この目がどこまで物を認識できるのかは分かっていない。しかし、MITによる研究では光の明暗だけでなく、空間の認識もできる可能性が高いとしている。
6.水深約3000mまで潜り、2時間以上息を止められるアカボウクジラ
(via .Whalefish)
アカボウクジラの潜水能力はホ乳類の中で最も高いとされ、水深2992mまで到達し、潜水時間は137.5分を記録している。
同じホ乳類であるヒトの最長息止め記録は22分であり、潜水の深さは214mであることを考えると、いかにこの記録がすごいかが分かる。
また水深3000mでの気圧は、地上の気圧の250倍に達する。もしヒトが同じ水深まで行くことができたとしても、そこでは内臓が破壊されてしまうだろう。
7. 4700℃の気泡銃を撃つテッポウエビ
(via .Wikimedia)
テッポウエビは3~5cmほどしかない小さなエビだが、「世界一大きな音を出す海の生物」である。
二つあるハサミのうち、大きなハサミをかち合わせることで、超高速の気泡を生み出し、気泡がはじけるときに最大で218dbに達する音を出す。
近くで聞けば、確実に鼓膜が破裂するレベルである。気泡銃の速度は時速100km以上に達し、温度は4700℃に達する。
太陽の表面温度が5500℃であるから、この温度がいかに高いか分かると思う。またそのエネルギーの高さゆえ、わずかに発光する。気泡銃はきわめて威力が高いため、まともに食らうと小魚なら死に至る。
テッポウエビはこの気泡銃で、巣穴の侵入者を追い払ったり、同種同士の威かくに使ったりする。
8.自分より数倍大きい魚を食べる深海魚、オニボウズギス
(via .Recreo Viral)
オニボウズギスは、ふくらんで巨大化する胃袋を持っている。その巨大さゆえ、自分よりも数倍も大きな獲物を丸呑みにできるほどだ。
この巨大な胃は、オニボウズギスが深海で適応するために手に入れたものである。深海はエサが少なく、エサを選り好みすることができないため、大きな獲物でも食べないと生きていけない。
(via .PIXIMUS)
ただし一番上の写真のように獲物があまりに大きすぎると、胃が破裂して死ぬ。この写真は、2007年にグランドケイマン沖に浮かんでいた死体で、個体の大きさが全長19cmに対して、獲物は86cmもあった。
極端に獲物が大きいと、腐敗が起こる前に消化できず、腐敗ガスが発生して胃が爆発する。そうなると、ガスの放出によって個体は海面に浮き上がってくる。
9.水鉄砲を放つ射撃の名手、テッポウウオ
(via .dailymail)
テッポウウオはきわめて精度の高い射撃の名手である。幼魚の命中率はいまいちだが、学習が進むと、だいたい1発で水面上にいる獲物を仕留めるようになる。この命中率の高さは、視力が非常に優れているためである。
射程距離は最大3mほどになり、口から噴き出した水で昆虫などを水面に落とし捕食する。ただし獲物がかなり近くにいる場合は、水鉄砲を使わずにそのままジャンプして捕らえる。
(via .dailymail)
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