遺伝子組換えで生まれたビックリな動物・7種
1.光る犬
(via Byeong Chun Lee)
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2009年、遺伝子組換えされた犬が世界で初めて公開された。ルピーと名付けられたこの子犬は、きょうだいが4匹いて、いずれも紫外線を当てることで赤く光る蛍光タンパク質を体内に保有している。
光る犬を作り出すことに成功したのは韓国ソウル大、リー氏らのチーム。彼らはイソギンチャクが保有する赤色蛍光遺伝子を、犬の遺伝子と組み替えた。
実験では蛍光タンパク質を導入した344個のクローン胚が作られ、20匹の犬の子宮に導入されたが、最終的に生き残ったのは5匹だけだった。
それでもこの実験の成功によって動物への遺伝子導入技術が前進し、最終的に遺伝性のガンや盲目、睡眠発作などの解明につながる可能性があるとして期待されている。
2.ヒトの母乳成分を生み出す。人間の遺伝子が導入されたネズミ
(via pixabay)
全ての母親が、乳児に十分な母乳を与えられるわけではない。そのため粉ミルクのお世話にならざる得ないこともあるが、粉ミルクには乳児の免疫力を高める母乳の成分・ラクトフェリンが欠けている。
粉ミルクの改良をネズミで試したのが、ロシアの科学者チームであった。研究チームはラクトフェリンを含んだ母乳を出すネズミを産ませるため、親ネズミに人間の遺伝子を組み込んだ。
その結果、ラクトフェリンの割合は人間の母乳よりも最大40倍に増加した。だがネズミの母乳量はあまりにも少ないため、世界中の乳児が必要とする粉ミルクの量を大規模に生産することは困難である。
もし商業的利用するならば、ウサギやヤギ、ウシなどより大きな動物へこの技術を応用することが求められるだろう。
3.クモの糸を生み出すヤギ
(via BBC)
クモの糸は、生物が生み出すことのできる最も強靭な物質である。医療や科学分野での応用が期待されているものの、大量生産が難しい。
この問題を解決するために、ワイオミング大学の研究者らはヤギに遺伝子組み換えを行った。ヤギのミルクに、クモ糸の素となるタンパク質が含まれるよう改変したのである。ヤギは1日1回は乳をしぼるので、量産化に向いている。
ヤギ乳から抽出・加工されたクモの糸はバイオスチールと呼ばれており、鋼鉄の7~10倍の強度があり、最大20倍まで強度を失うことなく引き伸ばすことができる。また-20~330℃の幅広い温度で、この優れた性質を保持することが可能である。
4.光るネコ
(via spectre footnotes)
光るイヌに続き、今度はネコにクラゲの蛍光タンパク質(GFP)が導入された。このネコは光るタンパク質だけでなく、ネコエイズを研究するためにアカゲザルの遺伝子も導入されている。
アカゲザルはエイズウイルスに対して免疫があり、この遺伝子操作がうまく行けば、ネコエイズだけでなくヒトのエイズの研究に対しても新たな道を開くことができるという。
実験の結果、この遺伝子操作で生まれたネコは紫外光照射によって光りを放ち、細胞中でエイズウイルスの増殖を抑制することが分かった。
5.おならの少ないウシ
(via Eideard)
温室効果ガスの一つであり、地球温暖化の原因となるメタンガスは、世界に15億頭以上いるウシのフンやげっぷ、おならから大量に放出されている。
1000万頭以上の牛がいるイギリスでは、温室効果ガス排出量の3%、メタンガス排出量の25~30%を占めている。また牧畜が盛んなニュージーランドでは、ヒツジも含め家畜が温室効果ガス排出量の35%を占めるほどだ。
アルバータ大学の研究者らは、この問題を解決する方法として、ガスの排出が少ないウシの作出に取り組んでいる。2009年には、メタンを産出する細菌を特定したことをきっかけに、遺伝子組換えによってガスが25%発生しにくいウシの作出に成功した。
6.成体になる前に死ぬ蚊
(via wikipedia)
蚊は「最も人間を殺している生物」であり、その犠牲者は100万人近くに上る。人が蚊に血を吸われることで、様々な感染症が引き起こされる。
イギリスのバイオ企業であるオキシテックは、オスのネッタイシマカに対して遺伝子操作を行い、急死遺伝子の導入に成功した。この組み換えによって、このオスと交尾して生まれた子孫は成体になる前に死亡し、新たに子孫を残せなくなるのだ。
2018年にはブラジルの特定地域で、この遺伝子操作された蚊が野生へと大量に放たれた。その結果、約3ヶ月で最大80%もの蚊を死滅させることに成功した。
7.ほうれん草ブタ
(via wikimedia)
ほうれん草ブタは、植物の遺伝子をほ乳類に導入した世界初の事例であり、2002年に近畿大などの研究グループによって生み出された。
このブタは、ほうれん草の根から取り出された遺伝子が組み込まれており、通常のブタよりも魚油などで知られる不飽和脂肪酸が20%多く、より健康的だという。
この研究を足がかりとして、他の家畜へこの組み換えが応用できれば、肉好きが脂肪のとりすぎを心配しなくて良くなる日が来るかもしれない。
ディスカッション
コメント一覧
良いことだと理屈では理解できるけど、遺伝子組み替えに対するこの不快感と抵抗感はなんなんだろう…
15億の牛のオナラと75億の人間のオナラ…
人間も遺伝子組み換えされそう