驚くべき手法で行われた銀行強盗3選

1.予防薬と偽って毒薬を飲ませ、大量殺人を実行

【事件発生後の帝国銀行椎名町支店】

(via wikimedia)

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1948年、豊島区の帝国銀行に、東京都防疫班の白腕章を着用した中年男性が、閉店間際に訪れた。

その男は厚生省技官の名刺を差し出して、「近くの家で集団赤痢が発生した。GHQが行内を消毒する前に予防薬を飲んでもらいたい」、「感染者の1人がこの銀行に来ている」などと偽って、合計16人の従業員に薬を飲ませた。

(via wikipedia)

服用からまもなく職員全員が体調不良になり、やがて気を失った。男はその隙をねらって現金16万円と小切手を奪って逃走した。(現在の価値で2000万円ほど)

男が従業員に薬だと偽って飲ませたものは、極めて強い毒性のある青酸化合物であった。服用した16人のうち、12人が青酸中毒により亡くなった。

【事件直後の現場】

(via wikipedia)

犯人はこの強盗殺人が成功するまで、何度も同じ手口で犯行を繰り返していた。だが薬の効き目が弱かったり、不審に思われたりして未遂に終わっていた。

これらの事件で犯人が残していった名刺や遺留品、生き残った従業員による犯人の似顔絵は、犯人逮捕の重要な物証となった。そして警察はこれらの情報から、北海道小樽市に住んでいた画家の平沢貞通を逮捕した。

【逮捕された画家の平沢貞通】

(via wikipedia)

平沢は逮捕当初、一貫して容疑を否認していたが、暴力的な取り調べの末、逮捕から約1ヶ月後に自供を始めた。こうして平沢は強盗殺人と強盗殺人未遂の罪で起訴され、死刑が確定した。

【警察が公開した犯人の似顔絵】

(via wikimedia)

だが死刑確定後、平沢の供述は拷問に近い取り調べと、狂犬病予防接種の副作用である虚言症によるものであり、信ぴょう性に問題があるとされた。そのため多くの著名人が平沢の救援活動を支援した。

こうした動きがあったため、平沢は最後まで死刑に処されることはなかった。平沢は39年の獄中生活の末、95歳で病死した。

2.時限爆弾を装着させられ、銀行強盗を強制される

【爆弾を装着させられたブライアン・ウェルズ】

(via wikipedia)

2003年、ピザの配達人だったブライアン・ウェルズが、注文を電話で受け、いつもとは変わった辺ぴな場所に配達へ行った。そこは、未舗装路の突き当りにあるテレビ塔だった。

【ブライアンがピザを届けた場所】

(via newsweek)

そこには2人の黒人が待っていた。男たちはブライアンに銃を突きつけて脅し、彼の首に時限爆弾を装着した。そして計9ページに渡る手書きの指示書を手渡し、銀行強盗の実行を指示したのである。

【ブライアンに巻きつけられた首輪】

(via wikimedia)

その指示書には、強盗を行う場所や方法、盗んだ金の回収箇所が書かれており、制限時間内にそれぞれのタスクを完了させれば、爆弾の起爆を遅らせ、最終的には解除できるとあった。

だが後の捜査官による調査で、時限爆弾にはそのような仕掛けは存在せず、彼がタスクを終えようが終えまいが、爆発する運命にあったことが分かっている。

【指示書の一部。金の置き場所の道順を示している】

(via pizzabomber)

ブライアンは指示された銀行へ向かい、渡された杖型のショットガンを携行して、銀行の窓口で25万ドル(約2500万円)を要求した。だが銀行には100万円ほどしかなかったため、ブライアンはそれだけを受け取って銀行を出た。

【自作の杖型ショットガン】

(via wikimedia)

【監視カメラがとらえた強盗時のブライアン】

(via allthatsinteresting)

それから約15分後、銀行の外でブライアンは警察に手錠をかけられ逮捕された。彼は警察に事情を話し、爆弾処理班を呼ぶよう懇願したが、警察はすぐには呼ばず、先に現場周辺にいる人の避難を優先した。その結果、爆弾処理班が来る3分前に、首の時限爆弾が爆発。彼の胸に大きな穴が開いて、数分後に彼は絶命した。

【爆発直前の瞬間】

(via abcnews)

現場の映像はテレビで生中継されていた。爆発の瞬間は放送されなかったものの、ネット上には流出し、様々な動画サイトで共有されることになった。

【事件の共謀者】

(via timesonline)

事件から4年後に、首謀者のディール=アームストロングと共犯者のバーンズが起訴され、それぞれ終身刑と懲役45年が言い渡された。彼らは、ブライアンも銀行強盗の共謀者だと主張しており、彼は自分の首に爆弾が取り付けられることを知っていたという。ただし、ブライアンは途中まで爆弾が偽物だと思っていた。

一方でブライアンの親族はこの主張に対して異議を唱えており、ブライアンは実際には面識のない者たちによって銃でおどされ、何も知らないまま強盗計画に巻き込まれたのだと主張している。

3.銀行と直接つながるトンネルを掘ったギャング

(via protechalarm)

ブラジル史上最大の被害額となったこの銀行強盗は、2005年にブラジル中央銀行で起きた。その被害額は約70億円に上っている。

【被害にあったブラジル中央銀行フォルタレザ支店】

(via wikimedia)

この事件に関わった犯罪集団は、3ヶ月前から入念な準備を始めていた。彼らは銀行から2区画離れた物件を借り、そこをリフォームして造園会社の看板を立て、植物や天然・人工芝の販売を始めたのである。

【ギャングが借りていた住宅】

(via bbc)

近所の人たちは、彼らが毎日トラックで大量の土を運んでいく様子を見ていた。しかし造園業の日常的な仕事だと思っていたので、不思議に思うことはなかったそうだ。

だがギャングらは、そこで銀行に直接つながる穴を掘っていたのである。そのトンネルは地下4mにあり、70cm四方の大きさで、長さは78mに達していた。トンネル内は木材で補強され、照明や換気口まで整備されていた。

(via neerdowellblogspot)

計画の最後の週、厚さ1.1mの鉄筋コンクリートを破壊し、銀行の金庫室に押し入った。ギャングはそこで50レアル紙幣を約330万枚(70億円分)盗んでいった。重さにして3.5トンで、運ぶのに相当の時間がかかったと思われる。

事件から10年以上経った現在でも、この強盗に関わったギャングらの一部しか逮捕されていない。容疑者25人のうち、逮捕できたのは8人で、回収できた現金も8億円弱であり、捜査はまだ続いている。

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雑学

Posted by uti