ダウン症を持つ9人。世界を変え、多くの人を勇気づけたケース

2016年3月12日2016年9月7日

1.ノエリア・ガレラ（保育園の先生）

ノエリアはアルゼンチンで初めてのダウン症を持つ保育園の先生である。
彼女は現在30歳で、経済・経営の学位を取得して大学を卒業した。
2007年に教職の就学前プログラムを卒業してから、コロラドにある保育園でずっと働いている。
彼女が保育園で働き始めた時、彼女に対する偏見は誰の目で見ても分かるくらいだったという。
しかし、現在彼女は子供の親や子供に愛されている。
彼女はこの学校でみんなが素晴らしい時間を過ごせていると、今は確信している。

2.ジョウ・ジョウ（指揮者）

ジョウ・ジョウは類まれなる才能を持っていた。
彼は全く楽譜を読めないが、楽曲を聞くだけで一つも間違えること無く、全てのメロディを記憶することが出来たのである。

彼は中国の武漢市でダウン症を持って生まれた。
彼のIQは健常者の30％ほどしかなかった。
彼は自分の歳も分からないし、お金の概念についても理解していないが、交響曲で使われる全ての楽器について、知り尽くしている。

子供の頃、ジョウは武漢市交響曲管弦楽団のチェロ奏者である父と一緒にリハーサルに行った。
ジョウはリハーサルホールで音楽を聴きながら、ずっと静かにじっとしていた。
オーケストラの人たちが休憩に入った時には、ステージに立って指揮者のまねごとをする事もあったようだ。

ある日、カルメンの序曲をリハーサルしていると、オーケストラのリーダーが指揮者の手ぶりをするジョウに気づいた。
彼のアシスタントが冗談半分でジョウに指揮をとってみないかと聞いたところ、彼はとりたいといったので指揮棒を渡した。

誰もが驚くことに、彼はオーケストラを完璧に操り、素晴らしい音楽を作り上げたのである。
彼のあぜんとするような素晴らしいパフォーマンスは、以下の動画を見ればすぐに分かることだろう。

3.アイエレン・バレイロ（ダンサー）

バレイロはダウン症を持つアルゼンチンの若い女性で、ファクというハンサムで社交的なダウン症の男性と婚約している。
2012年、バレイロはアルゼンチンで人気のダンスコンテスト番組（Bailando por Un Sueno）に出演し、一躍スターになった。

ラテンアメリカの歴史において、これまでダウン症の人がダンスコンテストの番組で、競い合うことなどは一度もなかった。
バレイロはそのコンテストで優勝は逃したが、彼女の粘り強さと素晴らしいダンスの腕前が評価され、多くのファンを獲得した。

4.ケイティ・ヒギンス（ズンバ講師、ズンバとはコロンビアのダンサーが作った有名なフィットネスプログラム）

1990年、イングランド、ヨークシャー州でクリスマス・イブにメアリー・ヒギンスは、これから産まれてくる子供がダウン症であると宣告された。
医者は中絶を助言した。
しかし、彼女はそれを拒否した。そして5ヶ月後に小さな少女、ケティが産まれた。

ケティ・ヒギンスは現在23歳。
様々な困難があったが、彼女は今、ズンバの講師になった。
彼女がズンバの才能に目覚めたのは、ケティの兄が癌で亡くなった時に、この絶望と戦うためズンバのダンスクラスを受け始めたことがきっかけだ。
その時の講師アマンダ・レイコックは、ケイティに特別な資質を見い出し、彼女のために特別な授業を用意した。
母親のメリーは踊っている彼女を見た時、「驚きのあまりただ呆然と見ているだけだった。」と思い出す。
それからは彼女を止めるものは何もなく、ただズンバの道を極めることだけだった。

2012年の夏、ケティはズンバ講師の試験に合格した。
現在彼女はヨークシャー州のハリファックス大学とエリム教会で授業を受け持っている。
ダウン症を持つズンバの講師はケイティ以外にもいる。彼女のようなダンスの才能にあふれたダウン症者は少なくないのだ。

5.ティム・ハリス（レストランのオーナー）

彼は多くの人に感動を与えた。
28歳のティム・ハリスは、アメリカで初めてのダウン症のレストランオーナーである。
2010年にティムはレストランを開店するという夢を両親の援助によって叶えた。
ニューメキシコ州のアルバカーキにある「ティムズプレイス」というお店だ。

ハリスはこのレストランを、美味しい朝食、ランチ、そして”ハグ”を提供する「世界一フレンドリーなレストラン」と呼んでいる。
ハリスはオープン以来、3万2000人のお客さんと抱きしめ合ってきた。その中にはアイドルのジョーダン・スパークスやオバマ大統領などの著名人もいる。
彼のフレンドリーさで、お店のファンになる人も多く、レストランとしての評価も高かった。

6.パブロ・ピネダ（俳優）

パプロ・ピネダは、2009年にスペイン最大のサン・セバスティアン国際映画祭で、映画「yo tambien」の演技が評価され、シルバーシェルアワードを受賞したスペイン人の俳優である。
その映画における彼の役回りは、大学を出たダウン症の学生であり、彼の境遇とよく似ていた。

ピネダは、現在スペインのマラガ県に住んでいて、教職の資格と教育心理学の学位を持っている。
彼は、ヨーロッパで初めて学位を取得したダウン症の学生であった。
将来は、俳優ではなく、教職でキャリアを積むことを望んでいる。

ピネダは現在、スペインのアデコ財団法人で労働に関連した講演の仕事を任されており、着実にキャリアを積んでいる。

7.アンジェラ・バチラー（市議会議員）

30歳のバチラーは、2013年に世界で初めてダウン症を持つ市議会議員になった。
彼女がこの役職についたことで、遺伝子疾患を持つ人々に対する差別をなくす大きな一歩になると期待されている。
そして、知的障害を持つ人たちの前向きな一歩になると、多くの人が支持している。
いま彼女はスペインのバリャドリッド市役所に通い、政治のキャリアを積んでいる。
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8.マディソン・テヴリン（シンガー）

カナダの13歳の少女、マディソン・テヴリンは、ダウン症者にとって難しいとされる歌うことに挑戦し、多くの人を勇気づけた。
一般的にダウン症の人は「低くしゃがれた声」になり、声帯の筋肉を使って声を出すには、通常の人の2倍以上のエネルギーを要する。

歌うことが好きな彼女は、YouTubeでジョン・レジェンドの「All of Me」を歌い、700万以上の再生回数を獲得し、多くの人に感動を与えた。

9.マデリン・スチュアート（ファッションモデル）

18歳のモデル、マデリン・スチュアートは間違いなく先駆者として歴史に名を残すことだろう。
彼女はモデルになるという長年の夢をかなえるため、20kgの減量を行った。
そして、母親や友人たちの力を借りてモデルとしてマデリンを起用してくれるエージェントを探し始め、リビングデットレーベルという会社と契約を結ぶことが出来た。
2015年9月、ついに彼女は長年の夢であったニューヨークのファッション・ウィークにモデルとして出演したのである。
その後もグアテマラのファンションブランド、エバーマヤのファッションショーに出演したりと、彼女のモデルとしての活躍は、多くの人に新しい美の基準を考えさせるきっかけとなった。