犬と猫にとって危険な植物12選(有毒種)

2018年12月4日

アメリカの動物中毒事故管理センターでは、ペットの中毒による緊急電話を年間15万件受けている。その中毒事故の1/4が、植物の摂取によって起きたものである。今回は、緊急電話の主な原因となった有毒植物を12種ご紹介していこう。

※ここで紹介するのはアメリカで報告された植物の中毒事故だが、日本にも以下の植物は全て存在している。

1.トウゴマ

(via wikipedia)

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植物の中で最も強力な毒を持つと言われる多年草で、世界中に分布している。公園などの観葉植物として植えられることが多い。全体に毒があるが、特に種子の毒性は強力で、人間なら2粒、犬なら11粒ほど摂取すると致死量に達する。

【種子の摂取による様々な動物の致死量】

(via wikipedia)

【トウゴマの種:大きさはどんぐりより小さいくらい】

(via Wikimedia)

種子には猛毒であるリシンが含まれており、摂取すると呼吸困難、嘔吐、下痢などが起こり、最悪の場合には昏睡状態となり死にいたる。

2.カラジューム

(via wikimedia)

葉がきれいなので、よく観葉植物として栽培されている。だが植物によるペットの中毒事故では2番目に多く、全体の13%に達する。

この植物には全草にシュウ酸カルシウムが含まれており、誤って噛んだりすると、その針状結晶が組織に突き刺さって口内が激しく痛み、浮腫ができて嘔吐や呼吸困難を引き起こすことがある。

3.ユリ

(via Hurricanemaine/flickr)

ユリは猫に対して極めて強い毒物となり、たった1~2枚の葉を誤食してしまうだけで死亡することがある。植物の中で最も中毒事故が多く、全体の20%を占めている。

摂取後18時間以内に治療を行わなければ、致死率は100%と報告されている。症状として下痢や嘔吐が見られ、進行すると急性腎不全を起こし死亡する。

4.ディフェンバキア

(via Wikipedia)

室内の観葉植物として育てられている種で、先に紹介したカラジュームと同じく、全草にシュウ酸カルシウムが含まれている。噛むと毒液で口内に炎症ができ、多量のよだれが出たり、呼吸困難などを起こすことがある。だが症状は軽めで、死亡することはまずない。

5.トウアズキ

(via Wikimedia)

赤く美しいマメが実る東南アジア原産の植物で、ブレスレットなどの装飾に用いられている。

【トウアズキのマメで作ったブレスレット】

(via SilPhiGlass)

このマメは非常に毒性が強く、症状として激しい嘔吐、下痢、熱などがあり、最悪の場合には死に至るケースもある。だが、マメの外皮はかなり硬いため、噛まずに飲み込んだ場合には、そのまま便として排泄されるので症状は軽い。

6.デルフィニウム

(via Wikimedia)

冷涼な地域に分布する多年草。日本では園芸店などで見かけることがある。本種は全ての部位に毒があり、特に若いものほど毒が強い。毒はデルフィニンと呼ばれており、神経筋の阻害による筋肉の硬直や、心毒性のため心臓発作を引き起こすことがある。

7.ジギタリス

(via Wikimedia )

指サックのような形が特徴的な花。花だん用に栽培されることが多い。ジギタリスは全ての部位が猛毒であるが、種が熟すと毒性は徐々に弱くなっていく。人間の場合なら、2グラムの葉っぱを摂取しただけで死にいたることがある。

症状としては嘔吐や下痢、不整脈、心不全などが見られる。

8.イヌサフラン

(via Pixabay)

イヌサフランは日本での死者数がトリカブトよりも多く、2016年には6名が誤食により亡くなっている。葉っぱが山菜の行者ニンニク、根っこの部分はジャガイモやタマネギと似ているため間違えられることがあるのだ。

また犬猫に対する毒性が強く、犬が球根を食べて死亡したケースがある。コルヒチンという毒物が含まれており、下痢や嘔吐などを引き起こす。解毒剤は現在のところ存在しない。

9.ソテツ

(via wikipedia)

九州南端以降に自生する有毒植物。全草に有毒で発癌性物質のアゾキシメタンという物質が含まれており、特に種子の毒性が強い。だがジャガイモのようにでんぷん質があるため、毒抜き処理をしたものはソテツ味噌などとして美味しく食べられる。

ソテツを誤食するペットの数は、過去5年で2倍以上増加しており、致死率は50~75%と極めて高い数値となっている。症状には嘔吐、血便、血性下痢、頻尿などがあり、肝臓の損傷を起こし、最悪の場合には死亡する。

10.ニセアカシア

(via Katja Schulz/wikimedia)

北アメリカ原産の種で、日本やヨーロッパに輸入され、街路樹などに利用されている。白いチョウチョのような形の花が房状になって大量に咲き、強い芳香を放つ。

ニセアカシアは樹皮と新芽に毒が多く、中毒を起こしたペットの死亡率はおよそ10%に上っている。症状には食欲不振、便失禁、不整脈などがあり、腎不全を起こして亡くなることがある。

11.イチイ

(via Pixabay)

北海道や北東北ではオンコと呼ばれ、庭や生け垣などで見られる一般的な樹木。だが果実を除くすべての部位に毒がある。果実は甘いので、その中に入っている種子を誤って飲み込むと、量によっては呼吸困難から死にいたる。

枝を持ってくる遊びを犬とする時にこの枝を使うと、中毒事故の原因となりうる。イチイの致死量は、イヌの体重1kgあたり2.3gほどであり、3kgほどの小型犬なら数十枚の小さな葉っぱを誤飲するだけで死ぬ可能性がある。

12.キョウチクトウ

(via Pixabay)

様々な色合いの美しい花をたくさん咲かせる低木だが、非常に強い毒がある。人の中毒事故が多く、フランスではキョウチクトウの枝を串焼きの串代わりに使って死亡したり、箸代わりにして中毒を起こしたケースがある。

2017年には香川県で小学校の校庭に植えられたキョウチクトウの葉を3~5枚食べた児童が、吐き気や頭痛などの中毒症状で入院している。

犬猫にも強い毒性があり、これまでにキョウチクトウ入りの毒エサクッキーを食べてしまった犬が死亡する事故が起きている。その中毒症状として嘔吐や多量の流涎、目の充血、脱水症状、腹痛、震え、下痢などが見られる。

参照:thebark

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Posted by uti