ナマコのみんなが知らないビックリなこと
(via wikimedia)
1700種以上が確認されているナマコは、ほとんどが海底に住んでいる。海底に転がって身動きをとらないナマコは、とても地味な存在だが、実はいくつか興味深い特徴がある。今回はあまり知られていないナマコの話をご紹介していこう。
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1.自らの臓物を吐き出して身を守る
(via Pierre Pouliquin)
なかなか食欲の起こらない見た目をしているナマコだが、人間を含め、ウミガメや一部の魚が捕食する。このような外敵から身を守るため、一部のナマコは奇妙な防衛能力を持っている。
それは外敵を察知すると、ヌルヌルとしたねばつく腸を肛門から吐き出す能力だ。この腸が外敵を驚かせたり、からみついたりして、外敵を追い払う。またこれを行う種の中には、一緒にホロスリンという毒物を吐き出すものもいる。
(via Dan Kitchens)
一度吐き出された臓物は失われ、しばらくは無防備になってしまうが、数週間経つと体内で完全に再生してまた吐き出せるようになる。
2.お尻で呼吸する
(via budak / Flickr)
冗談のようであるが、ナマコは肛門の括約筋を広げて息をしているのだ。そして直腸に取り込まれた海水中の酸素は、左右一対の樹状に分岐した呼吸樹と呼ばれるところで吸収される。
ただしナマコは肛門だけでなく、皮膚呼吸も行っているので、肛門から呼吸できなくなっても直ちに死ぬことはない。
3.お尻の中に魚を住まわせている
(via wikimedia)
ナマコのお尻には、カクレウオという細長い体の小型魚が住み着きやすい。このカクレウオは、外敵から身を守る隠れ家としてこの穴を使っており、昼間はここで過ごし、夜になると外に出てエサとなる小型甲殻類を捕獲しにいく。
1匹のナマコに15匹のカクレウオが共生していた事例もある。いくらいたとしてもナマコにとって何の利益にもならず、むしろカクレウオの一部はナマコの生殖腺を食い荒らし、害をもたらすことがある。
4.深海には変なナマコがいる
(via CBC)
内臓が透けて見えるこのピンク色のナマコは「ユメナマコ」という種で、水深400~5500mの砂泥地に生息している。全長が最大25cmほどで、消化器官以外はほぼ全てが透明。
一般的に想像するナマコと異なり、海底にいるのはエサを食べるときだけで、普段はゆらゆらと浮遊している。深海生物らしく、外皮には無数の発光器が付いており、刺激を与えると光る。この皮ふは剥がれやすいため、襲われた時にこの剥がれた皮ふが発光し、外敵をまどわせる。
5.さらに変な深海のナマコ
(via wikipedia)
クラゲのような傘を持っている不思議なナマコで、クラゲナマコと言う。こちらもユメナマコと同様、深海のナマコだ。非常に珍しい種で、1893年に発見されてから初めて生きた個体の撮影に成功したのは1989年で、100年近く後のことだった。
(via realmonstrosities)
※12本の口触角が傘を支え、15本の捕食用触手が口元にある
直径が16cmほど、傘の上側が口になっていて、上から落ちてくる有機物をキャッチして食べている。現在知られているナマコの中では、唯一海底に降りることのない漂泳性の種である。
6.さらにさらに変な深海のナマコ
(via watson )
大きく太った見た目から「海のブタ」とも呼ばれるナマコ。和名はセンジュナマコ。水深1200~5000mの海底に生息し、主に海底の泥から得られる有機物を食べている。
7.ナマコは海の掃除屋
(via wikipedia)
ナマコは海洋の生態系に重要な影響を与えている。多くのナマコは海底に積もった有機物を食べ、糞として排出し、それが他の植物の栄養となっている。実際に研究では、ナマコの存在によって海草床の成長が促進されていた。
また炭酸カルシウムが排出物に含まれるため、これがサンゴ礁の成長にも役立っている。またこのカルシウムは海水のアルカリ性を高め、局在的な酸性化をやわらげてくれる。
8.ナマコは1kgあたり30万円以上の高級食材になることも
(via wikimedia)
食欲を全くそそらない見た目だが、昔から日本や中国の一部で親しまれている食材である。コリコリとした独特の食感を楽しむナマコは、中国の富裕層の間で需要が高まっており、特に黒ナマコは「海のダイヤ」と言われ、1kg数十万円もの値が付くこともある。
そのため保護水域での密猟が横行しており、暴力団の資金源になっているという話もある。2018年時点では、北海道における漁獲量の50%相当が密漁品であると推測する者もいるほどだ。
9.ナマコは薬になる
(via wikimedia)
中国では、ナマコの滋養強壮効果から「海の人参」を意味する「海参」と呼ばれる。またナマコが保有するホロツリンという物質は、強い防カビ効果があるため、水虫の治療薬「ホロクリンS」などに実用化されている。
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