地球に落下した驚くべき隕石8つ

宇宙空間から地球に降り注いだ石(いん石)について、興味深いものをご紹介していこう。

1.死をもたらした隕石

(via Heritage Auctions)

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1972年、ベネズエラのエル・ティナジェロ農場で、大きな音とともにまばゆい光を放ちながら落下する物体が目撃された。そして次の日になって発見されたのは、牛の死体と写真の巨大な隕石であった。この巨大な隕石にぶつかった牛は、首と鎖骨が押し砕かれ即死していた。

この隕石の重さは38kgで、この他にも牛の死体の横には8kg、4kgの隕石が見つかっている。これらの隕石は、「これまでに見つかった隕石のなかで、唯一死亡事故を起こしたもの」とされている。

(via meteorite-times)

かなり貴重な隕石であるにも関わらず、オークションにかけられるまでの数十年間、外の玄関のドアストッパーとして使用されていたという。

2.車を破壊したピークスキル隕石

(via wikimedia)

【ピークスキル隕石の落下動画】

1992年に何千人もの人々が落下を見届けたこの隕石は、ニューヨーク州ピークスキル郊外に駐車していた車のボンネットに落下した。

【隕石が衝突した車とその持ち主】

(via findery)

持ち主のミシェルさん(17歳)は、自宅でその音を聞いて、「3台の車が衝突事故を起こしたとき」のような音だったと話している。音の正体を調べるために外に出ると、そこで見つけたのは破壊された車と重さ12.4kgの隕石で、それはまだ温かく、硫黄臭かったという。

(via meteoritecar)

隕石の質量の20%がニッケル鉄合金であった。おそらく地球から2.2億km離れた小惑星群のひとつだったと考えられている。

3人のディーラーがこの隕石を500万円で買取り、今では1gあたり1.25万円で販売されている。また隕石が落下したシボレー・マリブは、ミシェルさんが3万円で祖母から買った自動車だったが、隕石コレクターによって250万円で買い取ってもらえることになった。

3.目撃されたなかでヨーロッパ最古のエンシスハイム隕石

(via wikimedia)

1492年、現フランスの城壁都市エンシスハイム郊外に、127kgの隕石が落下した。空から来襲したこの物体は、神のお告げ、または凶兆の印だとも言われた。それ以降300年に渡って地球圏外からの隕石は目撃されることはなかったという。

隕石の衝突によって、地面には直径1mの穴が形成された。その穴から隕石が回収されるまで、見物人のみやげ物などとして切取られたため、最終的には55.75kgまで小さくなった。現在は博物館に展示されている。

4.神の恵みのシャワー

(via livescience)

1992年8月、ウガンダのムバレで上空に白煙の軌跡をともなって爆発音が炸裂した。3kmx7kmの広範囲に渡って隕石のシャワーが降り注いだのである。その光景を目撃した人の中には、バナナの木に跳ね返った隕石で怪我したという報告もあった。

(via livescience)

当時この地域は、エイズが流行し多くの人が亡くなっていたことから、住民たちはこの隕石雨こそ神のもたらした治療薬だと信じた。そしてこれらの隕石をすりつぶしてペーストにし、食べたり、患部に塗ったりした。

住民によって収集された隕石の数は、全部で426個、重さは108kgになっている。

5.ギベオンのマスク(ギベオン隕石)

(via Heritage Auctions)

約4億5千万年前にナミビアのハルダプ州に降り注いだ隕石雨のひとつである。偶然にも穴が開いたこの隕石は、マスクのように見える。

隕石は大気に突入したときに爆発し、数千の破片が390km x 120kmの範囲に降り注いだ。多くの隕石が100~500kgと重量級で、合計で2.6万kg分が回収されている。これほど重いのは、成分の9割が鉄であるためだ。

【切断したギベオン隕石、美しい結晶構造が見られる】

(via Mass1m01973)

これらの隕石は近代の探検家が発見する前から、先住民によって槍などの武器や様々な道具の材料に使われており、その遺物が数多く発見されている。

6.北アメリカ最大のウィラメット隕石

(via wikimedia)

アメリカのオレゴン州で発見された重さ15.5トン、大きさ3.05m×1.98m×1.3mの北アメリカ最大の隕石だ。質量の91%が鉄、8%がニッケルである。驚くべきことに、この隕石にはイリジウムという希少金属が地球の地殻と比べて5000倍近くの濃度で含まれていた。

おそらくどこかの小惑星が他の物体と衝突し、その破片が地球に落下してきたものだと考えられている。落下場所はカナダであったが、氷河期の終わり頃に起きた氷河の決壊でオレゴン州まで押し流されてきたと思われる。

(via wikimedia)

この特徴的なくぼみは、隕石に含まれていた硫黄成分が雨水と反応して硫酸が発生し、侵食されて形成されたと考えられる。

7.世界最大のホバ隕石

(via gibgod)

現在見つかっているなかで最も大きな隕石は、1920年にナミビアで見つかった重さ60トンのホバ隕石である。また成分の84%が鉄、16%がニッケルであり、「自然由来の最も大きな鉄の物体」ともされる。

【大きさ:2.7m x 2.7m x 0.9m】

(via wikimedia)

この隕石が落下してきたのは、8万年前よりも最近のことだと推定されている。落下中に大気圏上部で水切りのようにはねたため、平たい面をもつ形状になった。そしてかなり減速して地上に落下したことで、衝突クレーターがつくられず、地中に綺麗に埋まった。

何の痕跡も残さず埋まってしまった隕石の発見は、かなりの偶然であり、牛を使って耕していた農園主がたまたま農機具にひっかけて気づいたのが幸いだった。

8.宝石レベルの富康隕石(フーカン隕石)

(via libbykino)

2000年に中国北部フーカンの山で登山者が偶然見つけた46億年前の隕石である。写真はその一部であり、回収されたものは全部で1トンにも達する。

【光をかざすと美しく輝く】

(via kikootwo)

極めて珍しいパラサイトという種類の隕石であり、全ての隕石の1%以下とされる。銀色部分は鉄とニッケルの合金であり、夕焼け色の透明な部分はケイ酸塩からからなるカンラン石である。

カンラン石のなかでも透明度が高く、傷が少ないものはペリドットという宝石になるが、この隕石の中には宝石品質のモノも数多く含まれていたそうだ。

【419.5kgの最も大きなフーカン隕石の欠片】

(via wikimedia)

2008年にはニューヨークのオークションで、最も大きな隕石の欠片(419.5kg)が2億円で出品されていた。残念ながら買い手はつかなかったそうだ。

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