キリンの知られざる事実と驚くべき生態
今回は、キリンに関するあまり知られていない豆知識をご紹介します。
1.世界で最も背の高いほ乳類は、キリン。産まれたての子供さえ、たいていの人間よりも背が高い
(List25)
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キリンの体長は4.3~5.7mで、オスがメスよりも若干背が高くなります。これまでの最高記録の個体は、オスが5.88m、メスが5.17mです。体重も超重量級で、オスは最大で1930kg、メスは1180kgになります。
(Virginia Zoo)
この成体の大きさゆえ、キリンの赤ちゃんも産まれた時からかなり背が高く、その身長は1.7~2.0mほどになります。そして赤ちゃんは、産まれてから30分以内に立ち上がり、10時間以内には家族と連れ立って走り回れるようになります。
2.キリンはアフリカにしかいない。しかもその数は減少傾向にあり、一部の国では絶滅した
(wikimedia)
かつてのアフリカの多くの国に生息していたキリンですが、エリトリアやギニア、モーリタニアなどの一部の国では生息地の破壊により絶滅しました。1985年には14万頭いたキリンですが、2016年にはその数を30%近く減らして9万7千頭になり、絶滅の危険がある危急種に指定されています。
(pixabay)
3.キリンは一生のうち、ほとんどを立った状態で過ごしている。寝ているときや出産するときも立ったまま
(Wikimedia)
キリンはいったん座ってしまうと、立ち上がるのにかなり時間がかるため、外敵からすぐに逃げられるように、不便だとしても立ったままで何でもこなします。睡眠や水の摂取も立った状態でします。
ただし、睡眠自体はかなり短く、水分も葉っぱから間接的に摂取するため川で直接飲む機会はかなり少なくなっており、自らを危険な状態に置くことはほとんどありません。
4.野生では、深い眠りに落ちる時間は数分しかない
(reddit/Isai76)
基本的に、立った状態で浅い睡眠(レム睡眠)をとるキリンですが、安全が確保できた場合は1日に数分~数十分だけ、写真のように座り、首を丸めて眠りにつきます。なので通常は、このような光景を野生で見かけることはめったにありません。ほとんど寝ないため、1日の中でじっとしている時間は2時間以下とされています。
動物園では、野生と比べ物にならないほどよく眠る
(imgur)
陸生動物界随一の不眠王とされるキリンですが、飼育下では1日平均4.6時間の睡眠をとることが分かっています。夜になると、ほとんどの個体は横になって眠り、一部の年齢の高いキリンは立ったまま眠ります。
5.キリンはとても平和的な動物。オス同士がケンカをした後は、仲直りにオス同士で交尾する
(Flickr/flowcomm)
近くにいるオス同士は、どちらが上の立場なのかを決めるために、背比べを行うことがあり、その時に首をぶつけあって勝敗を決めます。この勝敗でメスと繁殖できる可能性がぐんと高まります。
このケンカはどんなに長くても30分ほどで、アゴや首の骨を折ったり、ましてや死んだりすることは無く、大きなケガになることはめったにありません。
決闘の後に、オス達は体を互いに優しくなでさすり、求め合います。このようなオス同士の交尾は、決闘後30~75%の割合で起きます。
6.キリンの体の模様は、私たちの指紋と同様に同じものはいない
(Pixabay)
キリンは、体の模様によって区別され、9~12種類に分けられています。それぞれの区分で、似たような模様になりますが、よく見てみるとそれぞれわずかに異なります。これらの模様は、乾燥したサバンナの土地や木陰の中で、よくカモフラージュされるので、外敵に見つかりづらくなります。
7.キリンの舌は、長さが45cmもある
(scribol)
キリンの舌は意外なほど長くて、50cm以上になる個体もいます。色はちょっと不健康そうな紫色ですが、これはメラニンがたくさん含まれているせいです。このおかげで、太陽からの強い日差しを受けても、舌の皮ふガンになりにくいのです。
またこの舌は、かなり器用で物をつかむことができます。葉っぱを採って口まで運ぶだけではなく、毛づくろいも舌ですることができます。
8.キリンの脚の長さは、人の背より高くなる(平均1.8m)
(Imgur)
この長い脚のおかげで、最高時速は60km/hに達し、長距離を走るときでも20km/hほどで快適に走れます。
首の長さも、人の背より高い(2~2.4m)
(AllPosters)
首は長いですが、その首は人間と同じく7つの骨からなります。人と同じ数でも、一つの骨がかなり大きく、長いのが特徴的です。
このように首が長くなったのは、同じ木の葉を食べるインパラやスタインボックなどと競合しなくて済むからです。実際にキリンは、約4.5mの高さからも木の葉を食べることができますが、インパラなどはせいぜい2m前後のものしか食べれません。
(wikimedia)
しかし、これだけ背が高いと食べるエサも非常に多くなるため、干ばつ時などは他の種と比べても死亡率がかなり高くなります。
9.キリンにはツノが生えているが、このツノはオス同士の争いの時ぐらいにしか使わない
(Wikimedia)
キリンのメスとオスには毛皮でおおわれたツノが二本生えており、これはシカと同じように争いの際の武器として使われています。ただし、メスのツノは小さいため、ほとんど使われることはありません。一方でオスはケンカするときに、ツノをぶつけ合うので、ツノの毛や皮がすりへっている個体がよく見られます。
10.キリンは1日に約34kgものエサを食べる。それゆえ起きている時間のほとんどは食事をしている
(Pixabay)
キリンは、主に木の葉やつぼみ、小枝などを食べ、時々果実や低所に生える草も食べることがあります。その巨大さゆえ、食べる量はかなり多く、1日で30kg以上となります。ただし、水分は葉っぱから摂取するので、数ヶ月以上水を飲まなくても大丈夫です。
11.長い首に血液を送り出すため、心臓がかなり大きく、長さ60cm、重さは11kgにもなる
(imgur)
人間の心臓が重さ250~350g、長さが12cmほどなので、キリンと比べると重さは30倍以上、長さは約5倍になります。
これほど大きいのは、脳から心臓までの距離が2m近くあるからです。巨大な心臓でなければ、高い圧力で血液を脳まで送り出すことができないのです。それゆえ血圧は動物界でもかなり上位の高さにあり、最高血圧は260、最低血圧は160ほどです(人は最高が120、最低が80ほど)。また心拍数も平均150回/分となり、人の倍近くになります。
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麒麟です。次は私の事も特集して欲しいですね。