科学者によって生み出された突然変異動物(遺伝子組み換え)
研究のために、科学者らが遺伝子組み換えなどで作出した変異動物たちを6種ご紹介していこう。
1.光る観賞魚、グロフィッシュ
(via GloFish)
暗闇で鮮やかな蛍光を放つ観賞魚である。主にアメリカで販売されており、目もくらむばかりの鮮やかな品種、スターファイアーレッド、エレクトリックグリーン、スターバーストオレンジなどが存在する。
これらの観賞魚は、蛍光塗料を塗った時計の文字盤が、暗闇で光るのと似たような原理で発光する。光を吸収することで、光っているのだ。グロフィッシュは、特にブラックライトの照射によって強く発光する。
(via GloFish)
グロフィッシュは、インドの川に生息するゼブラフィッシュに科学者が手を加えたものである。元々は、環境中の汚染物質を検知するために生み出された。汚染水に存在する毒物に対して選択的に反応し、光を放つように作るのが目標であった。
(via wikipedia)
研究目的で生み出された魚であったが、あるビジネスマンの目に留まったことで、グロフィッシュというブランドで売り出されることになった。しかし一部の州では、この魚が捨てられた時に与える在来種への影響が大きいとして、販売が禁止されている。
2.不妊のワタアカミムシ
(via wikipedia)
ワタアカミムシは、綿花を食べる害虫であり、世界中で莫大な農業被害を与えている。この害虫を駆除するため、不妊化したワタアカミムシを飛行機で綿花畑に大量散布する実験が行われている。
また不妊化害虫が散布される畑の綿花は、その害虫に対してのみ強い毒性を示すように遺伝子組み換えされている。改変された害虫は通常のワタアカミムシと交尾するが、一方が不妊のため繁殖できず、そのまま子孫を残さずに死んでいく。
実際にアリゾナ州の綿花畑で行われた散布実験では、4年間のプログラムで綿花へのワタアカミムシ侵入率を99.9%低減させることに成功した。
3.急死する蚊
(via IndiaMART)
蚊は、マラリアやデング熱など様々な感染症をもたらし、毎年50万人以上の命を奪っている。これらの感染症の危険を減らすため、不妊ワタアカミムシを開発したオキシテック社が、早期に急死するようプログラムされた蚊を遺伝子組換えによって作り出した。
もし改変された蚊を自然界に大量投入すれば、通常の蚊と交配し、その子孫は改変された蚊の遺伝子を受け継ぐことになる。急死遺伝子を受け継いだ子供は、繁殖する前に死亡する。このようにして蚊の数を減少させる実験が、様々な地区で行われている。
実際に2010年、カリブ海のグランドケイマン島に改変された蚊が300万匹投入され、対象地域の蚊を80%減少させることに成功した。だがこの実験については、科学者の間で賛否の声が上がっている。
蚊の大規模な駆除は、生態系の破壊につながる可能性があり、蚊をエサとする魚や鳥を窮地に陥れることになるかもしれない。また遺伝子組換えされた蚊が人間を咬むことで、予期しない負の結果をもたらすことがあるのではないかと懸念されているのだ。
4.クローン羊、ドリー
(via Wikimedia)
ほ乳類のクローンとして世界初だったのが、1996年に生まれた羊のドリーである。ドリーは胸にある乳腺の細胞を使って生み出された。7年という通常の半分足らずの寿命であったが、クローンとは関連のない肺疾患で亡くなっている。
ドリーでの成功後、ウマやウシといった大型動物のクローンが多く誕生していった。ドリーの誕生によって医療の進歩を約束するが、危険も伴うクローン技術が、SFの世界のものではなく、現実となったのである。
5.急成長するサーモン(アクアドバンテージ・サーモン)
(via The New York Times)
マサチューセッツ州のバイオテクノロジー会社が、通常の2倍以上成長の早いアトランティックサーモンを、遺伝子組み換えによって生み出した。このサーモンには、キングサーモンの成長ホルモン遺伝子と、ゲンゲ科のオーシャンパウトの遺伝子が付け加えられている。
これらの遺伝子によって、春と夏の間だけでなく、通年で成長可能となった。その結果、これまで市場に出荷するまで3年かかっていたのが、半分の15ヶ月程度に短縮できるようになったという。
このサーモンは2015年に、アメリカで初の遺伝子組換え動物食品として認可されている。またこの品種は不妊化されているため、もし自然界に誤って導入されてしまっても心配はないそうだ。
6.ルピー、蛍光を放つ子犬
(via New scientist)
ルピーは遺伝子組み換えを受けた世界初の犬であり、紫外光を照射すると赤く光る。ルピーには4人の兄弟がいて、いづれもイソギンチャクの赤色蛍光遺伝子を発現する線維芽細胞からクローニングによって作り出された。
この研究は、病気の原因となる遺伝子が世代を通じてどのように引き継がれていくのかを調べる上で重要とされ、がんや盲目、睡眠発作の治療を大きく進展させる可能性があるという。
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