人間の我慢の限界を超えた恐るべき記録

呼吸を20分以上止めたり、三日三晩寝ずに走ったり、普通の人なら耐え忍ぶことが困難な偉業をご紹介していこう。全6つ。

1. 264時間起き続けた高校生(11日間)

(via Curiosity)

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1964年、極度の睡眠不足による影響を調べるため、スタンフォード大学のウィリアム・デメント博士監修のもと、不眠に関する実験が行われた。被験者となったのは、カリフォルニア州の高校生ランディ・ガードナーであった。驚くべきことに、彼はその実験で11日間25分(264時間)起き続け、世界記録を更新したのである。(以前の世界記録は260時間)

(via San Diego Historical Society)

ランディは不眠実験開始から10日目に、ピンボールのゲームで博士を打ち負かすくらい元気だったと報道されているが、実際には精神的にも肉体的にもかなり厳しい状態であったという。彼は3日目までに、目の焦点が定めることが難しくなり、ろれつは回らず、ふらつき等が現れ、運動失調の症状が出ていた。

5日目には幻覚や妄想にとりつかれ始めた。そして最終日の11日目、彼は次のような状態だったと述べられている。

「表情に乏しく、ろれつが回らず、抑揚の無い口調だった。こちらから促さなければ全く話さず、彼の集中力の持続時間はきわめて短く、思考力は低下していた。

また100から7を引いていくテストを行ったところ、彼は93、86、79、72、65まで正答した後に止まった。どうして止まってしまったのか聞くと、彼は”何をしていたか思い出すことができない”と答えた」

この実験を終えて、彼は14時間40分眠り、次の日は10時間半眠って完全に睡眠不足から回復した。この不眠実験による長期的な健康への悪影響は見られなかった。

2. 86時間眠ることなく走り続けた女性ランナー

(via The Telegraph)

2012年、ニュージーランド出身のキム・アランが、眠らずに486kmを連続疾走するという長距離不眠マラソンの世界記録を打ち破ろうとした。彼女はその挑戦で、85時間以上走り続けたものの、恐ろしい幻覚に襲われ、足の爪を全て失い、途中でリタイアを余儀なくされた。

この挑戦だけでもすごいことだが、彼女はその翌年に再び記録更新に挑んで、ついに成功させた。彼女は499kmを、一睡もとらず86時間かけて走り遂げたのだ。

興味深いことに、彼女が世界記録を達成した47歳のとき、とりわけ走ることが好きではなかったという。マラソンを始めたのは世界記録達成の2年前のことで、肉体的・精神的持久力の限界に挑戦するためだと話していた。

3.水中で22分間息を止めた人

薬学博士でありヨガの達人スティグ・セベリンセンは、2010年に2つの世界記録を達成した。彼は水泳着だけで氷の下72mを泳ぎ、サメのいる水槽で20分10秒間息を止め続けたのである。そしてその2年後には、-1℃の水中で22分という息止めの世界記録を更新した。

【スティグ・セベリンセン】

(via wikipedia)

彼は独自の呼吸学を提唱しており、その教えの中で”水中瞑想”を説いている。危険そうに聞こえるが、彼が言うには水中瞑想によって、苦痛の中にあっても笑顔でいられるような忍耐力が付けられるという。

またより良い呼吸法を習得することで、ストレスを抑制し、肉体的・精神的なパフォーマンスを向上させ、活力を増進し、痛みを和らげ、健康状態を改善できるとしている。

4. 41分間まばたきをしなかった人

(via abc)

ひたすら見つめ合って瞬きしない時間を競いあう大会が、オーストラリアのノーザン・テリトリーで2011年に開催された。この大会は、地元の子供に新しい車椅子を購入する資金を集めるのが目的だった。幼児から大人まで45人が寄付金を払って大会に参加し、その一部を賞金とした。

決勝戦に残った2人は、以前の世界記録である17分を軽々と超えた。試合開始から10分で、既に二人は涙を流し、目は充血していたが、その後30分間以上耐え続け、41分59秒でようやく片方が降参して勝敗が決まった。

優勝者のファーガルは、35分頃に「眼球にタトゥーをされているような感じだった」と話していた。でも娘や周りの人たちの声援があったおかげで、最後まで頑張ることが出来たという。

5. 76時間飛行し続けたパイロット

(via wikipedia)

ソーラー・インパルス2は、太陽のエネルギーだけで駆動する飛行機であり、翼の上面に搭載した1.7万個もの太陽電池が飛行を可能にしている。天候さえ良ければ、昼間に充電した電力だけで休むことなく飛行し続けられるのだ。

長距離飛行には、天候以外にもパイロットの持久力がどれだけ持つかがカギだった。

(via Colors.life)

この驚くべき記録が達成されたのは、この飛行機による世界一周の最中であった。世界一周のルートは、パイロットの交代のため12区間に分けられ、パイロットの体力を考慮して1回の飛行は3日~4日とした。

【世界一周のルート】

(via wikipedia)

2015年3月9日にアラブ首長国連邦のアブダビを出発し、日本~ハワイの行程で76時間連続のフライト記録が樹立された。その間、パイロットはほぼ睡眠を取ることなく、暖房も無い狭いキャビンで過ごさなければならなかった。

飛行機はハワイに到着後、バッテリーが破損し、10ヶ月の修理期間を要した。長期間の足止めをくらい全16ヶ月に渡る期間になったものの、計17回・23日分のフライトで世界一周に成功した。

6. 15日間あるいは70年以上にわたって断食している僧侶

(Skeptic’s Dictionary)

インド人のプラフーダ・ジャニは、1940年から現在に至るまで、一度も水と食べ物を口に入れていないと主張している。

彼によれば、その能力はヒンドゥー教の女神ドゥルガーから授かったものだという。1929年に生まれた彼は、12歳のときに故郷を離れてジャングルで暮らした。そのときにドゥルガーとの霊的経験を果たして信奉者となり、その女神から永遠の滋養を受け取ったという。

【彼の前に現れた戦いの女神、ドゥルガー】

(wikipedia)

彼が主張する断食能力について、2003年と2010年にスディール医師らによって調査が行われている。2003年の調査では10日間、2010年にいたっては15日間にわたって密室で彼の行動が監視されたものの、一切食べ物を口にせず健康な状態を維持し続けた。

調査中、彼は食事だけでなくトイレにさえ行くことはなかった。だが医師が彼の体を検査したところ、膀胱にたまっている液体の量が変動していたという。このことから、彼は自由に尿を作り出すことができると報告していた。

【プラフーダの診察を行う医師ら】

(current pointlessness)

普通の人間なら15日も水なしで絶食すれば、確実に死亡する。そのためこの調査結果については、多くの医師らが疑問を抱いており、彼の能力には否定的である。

中には調査チームが不正行為を働いたと指摘する者もいた。調査中は基本的に監視カメラで24時間監視されていたが、お風呂とうがい、日光浴の時間だけは十分に見張られていなかったからだ。

これらの批判を受けて、調査チームは彼の能力について更なる調査を進めるため、今後世界中から科学者をインドに招集して実験を行う予定だと発表している。

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雑学

Posted by uti