毒を持つ食用の植物(野菜・果物)
食用ではあるが、一部に毒を有していたり、ペットに対して有毒であったり、毒抜き処理が必要だったりする野菜や果物を10種ご紹介していこう。
1.玉ねぎやニンニク、長ネギ、ニラなどのネギ属
(via Wiki/pxhere)
スポンサーリンク
玉ねぎなどネギ属の多くにチオ硫酸塩が含まれており、この成分が猫や犬にとって毒になる。特に猫は、この毒に対して感受性が強く、ひとかけらのニンニクを摂取しただけで中毒を起こす。
猫がネギ類を誤って食べてしまった場合、血液中の赤血球が破壊され貧血を起こす。また症状として、尿が赤っぽくなるヘモグロビン尿や下痢、嘔吐、脱水、食欲減退などが見られる
2.アスパラガス
(via Wikimedia )
お店で売られているアスパラは若い芽であり、それが成熟すると5~10mmほどの小さな実をつける。その実には毒性のあるサポニンが含まれており、熟した実を5~7つ食べると、腹痛や嘔吐に見舞われることがある。
またアスパラの汁にはイオウ化合物が含まれており、アスパラを触って皮ふにかぶれを起こしてしまう人がいる。
3.レモンやオレンジ等のかんきつ系
(via Wikimedia )
レモンやオレンジの匂いの元であるリモネンやリナロールという成分は、猫や犬にとって毒だ。もちろん柑橘系のアロマも同じ。なのでペット飼いの人がアロマを焚く際は、ペットに安全なものを選ぶ必要がある。
もし誤って口に入れてしまうと、下痢や嘔吐、よだれ、虚弱などの症状が現れる。大量に摂取すれば、肝臓が損傷を受け、最悪の場合は死に至る。
またかんきつ類には、光が当たると毒性を発揮するソラレンという物質が含まれており、ペットの皮膚に炎症をもたらすことがある。
4.リンゴやウメ、サクランボ、モモなどのバラ科植物
(via Wikimedia )
これらの果実の種には、アミグダリンという成分が含まれていて、これが胃の中で分解されると毒性の強いシアン化水素ガスが発生する。このシアン化水素は、劇薬として知られる青酸カリの摂取でも発生する毒物である。
しかしこれらの種は固い層に守られていて、噛み砕きさえしなければ毒ガスは出ず、そのまま排せつされるので問題はない。また種に入っている毒の量は微量であり、中毒を起こすことはめったにない。
(via Wikimedia )
70kgの男性の場合、その致死量はリンゴの種で換算すると、200個になる。1つのリンゴに平均5つの種が入っているとすれば、リンゴ40個分で非常に多い。しかもこの仮定には毒物を発生させるため、種を全部噛み砕くことが前提である。
とはいえ、こんなに食べないにしても、軽い症状は出ることがある。その症状として頭痛、めまい、吐き気、 胃けいれんなどが見られる。
5.マンゴー
(via Oxfarm Organic)
マンゴーの実には毒性が全くないものの、その皮と葉っぱ、幹そして樹液には、皮ふ炎の原因となるウルシオールが含まれており、かぶれを引き起こしうる。マンゴーはウルシ科であり、ウルシの木でかぶれやすい人は、特に注意が必要だろう。
6.キャッサバ(タピオカの原料)
(via Wikimedia )
キャッサバは約5億人の主食であり、熱帯地域では米、とうもころしに次いで消費されている炭水化物源である。またタピオカの原料としても知られるキャッサバだが、毒が含まれているため毒抜きなしで通常は食べられない。
(via Pexels)
その毒はシアン化合物であり、生で食べると青酸カリと同様に体内でシアン化水素が発生し、中毒症状が引き起こされる。キャッサバには甘味種と苦味種があるが、特に苦味種はその毒の量が非常に多く、甘味種の50倍以上にもなる。
甘味種のほうがもちろん美味だが、アフリカの貧困地域では、毒の強い苦味種は野生動物や泥棒から作物を盗られにくいため、緊急時の重要な栄養源となり、積極的に栽培されることがある。
(via Research School of Biology – ANU)
甘味種は水にさらしたり、加熱することで簡単に毒を抜けるが、苦味種では酵素の使用などが必要で、かなり面倒である。かつてアフリカでは、不十分な毒抜きのためにキャッサバによる中毒が流行していた。その流行病はコンゾと呼ばれ、体に一生マヒが残り、不自由な生活を余儀なくされた。
7.ナツメグ
(via maxpixel)
ナツメグは、独特のピリッとした刺激と若干の甘みが特徴的なスパイス。ニクヅクという高木に成る果実の種子を砕いてできる。
これを多量に食べてしまうと、麻薬として知られるLSDと同様の幻覚症状をもたらされる。そのため一部の国では、ナツメグ含有量が20%以上のスパイスは、輸入制限がかけられている。
症状として多量摂取からおよそ30~60分で吐き気、下痢などが見られ始め、それから数時間で幻覚によりハイとなり、その状態が数時間、場合によっては数日間続く。心臓の弱い人は不整脈を起こすことがあるため、特に危険視される。
(via wikipedia)
ナツメグの多量摂取による死亡は極めてまれだが、これまでに3人が亡くなっており、その中には睡眠導入剤と併用した55歳の男性や8歳の幼い子どもがいる。
8.インゲンマメ(さやいんげん、金時豆、うずら豆、大福豆などを含む)
(via Pixabay)
インゲンマメ属の多くに、フィトヘマグルチニンという成分が含まれており、生で食べた場合に食中毒を起こす。この成分は高温で煮ると無毒になる。100℃で10分加熱すれば安全だ。だが80℃以下では、毒性が5倍に増加することが分かっている。
インゲンマメ属の中でも、特に毒性が強いのは金時豆である。大福豆の3倍以上の毒性があり、生のマメを4~5個摂取するだけで中毒になる。その症状としては、摂取後数時間でめまいや嘔吐、下痢などが見られる。基本的に重症化することはなく、数時間で症状は収まる。
9.トマト
(via Miroslav Vajdic)
栄養価が高く、安価に手に入るトマトは優れた野菜だが、そのヘタやクキには、トマチンという毒物が含まれており、大量に食べると腹痛や胃もたれを起こす。また、熟しきっていない青い実も同じ毒性を持っているので、食べるべきではない。
これまでにトマトの葉っぱを煎じてハーブティーを作った人が、1人亡くなっている。
(via Cook’s Thesaurus)
10.ジャガイモ
(via pixnio)
ジャガイモはソラニンなどの有毒物質を含んでいる。この毒は、イモ自体にはごく微量しかないが、芽や緑色になった部分には高濃度で含まれている。
(via wikimedia)
このような毒性の強い部分を食べると、摂食後30分~12時間以内に頭痛や嘔吐、腹痛、疲労感などの症状が現れることがある。実際に、大量に芽の出たジャガイモを食べて死んだ人が数多くいる。特に食糧不足であった昔は、ソラニン中毒が頻繁に発生し、死亡者が続出していた。
11.ブドウとレーズン
(via Wikimedia )
現在のところ原因は明らかになっていないが、ブドウを食べた犬が中毒を起こす事例が報告されている。アメリカの動物中毒事故管理センターによれば、2003~2004年のあいだに140件の中毒が発生し、7匹の犬が亡くなったという。
症状として、摂取後数時間以内に嘔吐や下痢が起こる。進行すると、48時間以内に急性腎不全を起こし、最悪の場合は死亡する。中毒を起こすブドウは種有り、種無し、市販品、自家栽培など特定の種類によらない。
ある研究では、カビ毒のマイコトキシンが関与しているのではないかと示唆しているが、中毒を起こした犬の体内には何も見つかっていない。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません