動物に育てられた驚くべき野生児・7人

2019年7月9日

育児放棄などが原因で人間との接触から隔絶され、動物によって育てられることになった人たちをご紹介していこう。

1.マリーナ・チャップマン(コロンビア)

(via HLN)

スポンサーリンク


マリーナの現在の姿からは想像できないかもしれないが、彼女は幼児期の大半をオマキザルの群れとジャングルで暮らしていたと言う。彼女の話によれば、5歳のときにコロンビアの村で誘拐され、ジャングルに捨てられたそうだ。

幸運なことに彼女はそこで餓死すること無く、オマキザルの群れに仲間として迎え入れられた。オマキザルは素手でウサギや鳥の捕まえ方を彼女に見せ、彼女はそれを真似て食料を得た。ときには昆虫を食べることもあった。そして徐々に仲間と打ち解け、毛づくろいしあうほどの仲になったという。

【オマキザル】

(via wikipedia)

ジャングルでの生活が4~6年ほど経った時、狩猟者に見つかって彼女は捕獲された。そのときの彼女は、サルの鳴き声は理解できたが、人語は理解できなかったそうだ。そしてハンターは連れ去った彼女を、近くの村の売春宿に売った。

【現存する彼女の最初期の写真:17歳頃】

(via Marina Chapman)

売春宿では、彼女は若すぎたので雑用係として働かされた。まもなく彼女はその宿から逃げ出した。その後路上で暮らし、マフィア家族の奴隷となった。再びそこからも逃亡し、隣人の手助けでイギリスのブラッドフォードで住み込みベビーシッターの職を得て、そこで未来の夫と出会い、家族を築いた。

【マリーナ一家】

(via Beautiful Humans)

彼女の半生記は「失われた名前」として出版され、ベストセラーとなっている。しかしとても信じられない話であり、科学者の多くがこの話に疑惑を抱いている。幼少期の虐待などが原因で、誤った記憶に取り憑かれたのではないかという声もある。

【真実の物語として書籍化された】

(via Kobo)

だがコロンビアのコンデ教授は、マリーナが過去に関わったとされる人物やオマキザルの写真に対して見せる反応から、彼女は真実を語っている可能性が非常に高いと報告している。また彼女の足の骨のX線写真から、幼少期に深刻な栄養失調だったことが明らかになっている。

その時期は、限られた食べ物しかないジャングルでオマキザルと暮らしていた期間とほぼ一致していた。

2.ダチョウ少年(アフリカ)

(via Becky Matsubara/flickr)

ダチョウ少年と呼ばれたシディ・モハメドがサハラ砂漠で保護されたのは、1945年の15歳のときだった。彼は5,6歳のときにサハラ砂漠で両親とはぐれ迷子になった。

偶然にもその近くで、孵化したばかりのひな鳥がいるダチョウの巣を発見した。その親鳥と仲良くなった彼は、ひな鳥と一緒に面倒を見てもらえるようになった。彼はそこでダチョウと一緒に草を食べ、高速で走る方法を学び、夜になれば親鳥の羽の下で一緒に寝たという。

彼は地元のハンターによって保護され、両親の元へ帰された。そして結婚し、子どもをもうけている。しかしこの話は彼の証言だけに基づいているため、事実だとする確証は得られていない。

【スイスで書籍化されている】

(via opal)

3.犬少年、アレックス(チリ)

(via The Sun)

2001年、チリ南部の洞窟で10歳の痩せこけた少年が、15匹の野良犬の群れとともに見つかった。この少年アレックスは、5歳のときに虐待する両親から捨てられ、それ以来野良犬の群れとこの洞窟で暮らしてきた。

彼は群れの母犬に子犬として育てられ、そのメス犬の母乳を飲むことさえあったとされる。またエサを求めて仲間の犬とスラム街をうろつき、ゴミ箱や残飯をあさっていた。彼がボロの服を着て街をうろつく様子は何度も目撃されており、それがきっかけで警察に通報が行き救助されることになった。

警察がアレックスを捕まえようとしたとき、彼は攻撃的になり、犬のように激しくほえた。そして逃げ道がなくなると、海の中に飛び込んだ。警察官は彼の後に続いて水中に飛び込み、暴れる彼を救助した。

彼は救助時、人間的なコミュニケーションが取れるような状態には見えなかったが、後になって初歩的なスペイン語を話せ、絵を描け、自分が人間であると自覚していたことが分かった。

4.消息不明のオオカミ少年、ライカ(ロシア)

【保護され、衣服を着せられたライカとその足】

(via Infobae)

2007年にロシア警察は、うなって吠える狼少年を保護した。ライカが見つかったのは、ロシア西部・カルーガの深い森の中。森の近くの村人が、葉っぱで出来た巣の上にくるまって寝ているライカを発見したのだった。

ライカは10歳ぐらいに見えたが、彼が運ばれたモスクワ病院の検査では、その年齢よりもずっと上であると推定された。彼は狼のような仕草をし、噛まれたら無事に済みそうも無い強靭で鋭い歯をそなえていた。そして写真のように、足の爪が伸びて鉤爪のようになっていた。

ライカは知的さを持ち合わせているように見えたが、ロシア語を含めどんな言語も話さなかった。おそらく幼少期から長年にわたって野生で暮らしてきたからだろう。

【治療を受けるライカ】

(via The Daily Edge)

病院への搬送から24時間後、ライカは警備員を振り払い病室から逃げ出した。病院の医師は、「健診を全部終わらせることさえできなかった。我々が唯一できたのは、シャワーを浴びせ、爪を切り、いくつかの血液検査だけだった」と話した。

モスクワに放たれたライカは、現在に至っても消息不明である。

5.犬少女のオクサナ・マラヤ(ウクライナ)

(via History Daily)

オクサナはアルコール中毒の両親に育児放棄され、3歳のときに家の裏にある犬小屋に住み始めた。それ以来、彼女はそこで6年もの間、人間と関わることなく過ごした。そのため1991年に彼女が発見された時、彼女は人語を何ひとつ話せなかった。

彼女の振る舞いは、まるで犬のようであった。四本脚で走り回り、歯をむき出しにし、うなって吠え、食べるものを見つけたら先に臭いをかぎ、寝る時は犬のようにうずくまった。

【犬のような仕草を見せるオクサナの動画】

彼女は8歳で保護された後、精神障害者の施設に収容された。施設での訓練が功を奏して、成人になる頃には犬のような振る舞いは大分抑えられるようになった。また言葉を流ちょうに話し、人間性を取り戻した。

だが学習障害が残っているため、精神障害者として牧場で乳牛の世話をする仕事についている。

6.イヴァン・ミシュコフ(ロシア)

(via Our Hen House)

1988年、ロシア警察は野犬の群れから6歳の少年イヴァンを保護した。イヴァンは保護される2年前の4歳の時に、アルコール中毒だった母親のボーイフレンドから逃げ出していた。その先でイヴァンは野犬たちに遭遇し、拾ってきたエサを与え、彼らと仲良くなった。

信頼を得て群れの一員となったイヴァンは、群れから保護される存在となった。群れによる保護は、彼が警察に捕まりそうになった時に役立った。イヴァンは警察に3回捕まりそうになっているが、野犬の群れが彼を守ったので警察は彼を取り逃した。

イヴァンは群れの序列で第一位にまで上りつめたが、4回目の逃走時に警察の罠に引っかかって捕獲されてしまった。

犬の群れと暮らした期間は2年だけだったこともあり、イヴァンは人語を容易に学び治すことができた。その後イヴァンは士官学校に通い、ロシア軍に入隊している。

【オーストラリアの作家が彼の話を元に書籍を出版した(2009年)】

(via Wikipedia)

7.ニワトリ少年、スジット・クマール(フィジー)

(via BAOMOI)

このケースの場合、動物に育てられたとは言えないかもしれない。だがスジットは、人間よりもニワトリに強く影響を受けていた。それは彼が幼少期の約4年間、ニワトリ小屋に閉じ込められていたからだ。

その間、人間がニワトリ小屋にやってくるのは、エサを与える時とホースで水浴びさせる時だけだった。だからほとんどの時間をニワトリだけと一緒に過ごした。

【ニワトリ小屋 ※イメージ】

(via Wikipedia)

スジットは子供の頃に、母親を自殺で亡くし父親は殺された。祖父が彼を引き取った時には、すでに彼は精神疾患もちだった。なので祖父は彼の面倒を見きれなくなり、ニワトリ小屋に閉じ込めた。

12歳の時にこの事実が明らかになり、彼は鶏小屋から救出された。ニワトリを見て育った彼は、食べ物をつついて食べ、コッコと鳴き、誰彼構わず攻撃的につついた。彼の仕草はまるでニワトリだった。

そして保護された老人ホームでも問題行動を起こすため、20年以上に渡ってベッドに縛り付けられ、誰とも関わりを持たず過ごすことになった。そのため彼は32歳になった現在でも、しゃべることが出来ない。コミュニケーションは、彼の舌から発せられるクリック音が頼りとなる。

【ひもでつながれたままの生活。トイレも垂れ流しだった】

(via ABC )

現在も彼はこの老人ホームにいるが、もう縛られることはなくなった。彼の苦境を聞きつけたニュージーランドの未亡人が、彼の世話を受けてくれるようになったからだ。彼女とボランティアらは、彼が再び社会生活に馴染めるよう手助けをしている。

【彼の社会化を手助けする未亡人】

(via ABC )

スポンサーリンク



動物

Posted by uti