呪いの動画と言われたサンディー・クリスプの話(ゴッデス・バニー)

【呪いの動画?】

2008年にYoutubeにアップロードされたこの動画は、見たら呪われるという噂が広まっていた。その不気味さからこの動画は拡散され、現在では3000万回以上再生されている。

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(via Goddess Bunny)

だがこの動画を構成しているネタ元は、全て明らかになっており、呪いの要素は存在しない。

(via Jorge Stroke)

最初に現れる白いマスクのポリゴンは、任天堂のゲーム『スターフォックス』の最終ボス、アンドルフであり、それがフランス語の「静かな湖畔の森の影から」の改変版を口ずさんでいる。それに続く曲も同じものだが、逆再生したスペイン語バージョンである。

【動画タイトルのObedece a la morsaはスペイン語で、「セイウチに従え」という意味】

(via horrornews)

そしてこの動画で最も印象的な、おぼつかない足取りの女性がタップダンスをしている映像は、1994年に公開されたサンディ・クリスプの伝記ドキュメンタリー『The Goddess Bunny(ザ・ゴッデスバニー)』の映像の一部である。

サンディ・クリスプ(ゴッデスバニー)とはどんな人?

(via wikipedia)

サンディは、1960年生まれのトランス女性(体は男性、心が女性)であり、女性の姿でパフォーマンスを行うドラァグクイーンでもあり、女優としても活躍していた。

(via AestheticNihilism)

彼女は幼少期にポリオに感染し、その治療にともなう脊椎インプラントの手術で医師の過失により、奇形が悪化し、体がより不自由になった。また後にHIVにも感染した。

(via Glory Hole U.S.A.)

彼女は障害者の養護施設を転々とし、里親に引き取られたが、彼女の性自認と障害を理由に、里親から身体的・性的虐待を受け続けていた。

(via Sandie-Crisp-Goddess Bunny)

彼女の女優デビューは1986年の映画『ハリウッド・ヴァイス・スクワッド』で、それ以降何本かの映画に出演し、1994年には彼女自身のドキュメンタリー「The Goddess Bunny」が撮影された。呪いの動画として切り取られたシーンは、彼女が車椅子から立ち上がってタップダンスを披露している部分だ。

【別のタップダンス動画】

また1998年にはロックバンドのマリリン・マンソンの『The Dope Show』のPVにも出演している。ルーヴル美術館は、彼女のヌード写真を永久コレクションとして所蔵している。

【出演したPV:3分38秒~】

彼女の人生の最後の15年間は、カリフォルニア州イングルウッドにある養護施設で暮らし、幸せに暮らしているように見えた。2014年にはイングルウッドの市長選にも立候補していた。

人生の大半をポリオやHIVと闘ってきた彼女は、2021年1月27日、コロナウイルスの合併症により、61歳でロサンゼルスの病院で亡くなった。

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物語

Posted by uti