史上最大の爆発6種(爆弾・隕石・噴火)
今回は、様々なジャンルでの最も大きな爆発に関して6種類ご紹介します。
1.核をのぞく兵器による最大の爆発:FOAB(全ての爆弾の父)
(via wikimedia)
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FOABはロシアが2007年に開発した爆弾で、TNT火薬換算で44トンの威力があるとされています。これは、核兵器をのぞくと地球上で最も威力があった兵器による爆発とされています。
FOABは燃料気化爆弾の一種であり、普通の爆薬とは異なり、液体の燃料を気体に変化させるときの力を使った特殊なものです。具体的には液体燃料を一次爆薬で加熱・沸騰させて気体にし、その蒸気が上空へと急激に広がって着火することで爆弾としての威力を発揮します。
一般的なTNTなどの爆弾が「爆弾の破片で人体を物理的に損傷させる」のに対し、この爆弾は「衝撃波そのものによって人体を損傷」させます。
人間がこの激烈な衝撃波にさらされると、急激な気圧の変化によって眼球・こまくの破裂や内臓破裂が引き起こされます。
(via Military Update Channel)
FOABは、アメリカとロシアの軍備拡大競争のさなかで作られた爆弾です。アメリカは2003年に、現在では最も破壊力があるといわれる爆弾、MOAB(全ての爆弾の母)を開発しました。それにロシアが対抗して2007年に開発したのが、FOABであり、名前もアメリカのMOABからもじったものとなっています。
ロシア軍の主張では、爆弾の威力はMOABの約4倍になるといいます。実際に2007年には、この爆弾を使った実験も行われています。
専門家らの見解では、爆弾の威力についてはロシア側の誇大広告であり、実際はロシア軍がうたっているほどの威力は無いと考えています。
2.核をのぞく通常爆薬による最大の爆発:マイナースケール
(via wikimedia)
アメリカが1985年6月に、核爆弾の爆発シミュレーションのために行った爆破実験です。マイナースケールの威力はTNT換算にすると4000トンで、先ほど紹介したFOABの100倍近くになります。
この爆弾は、アンホ爆薬が4744トン使われています。アンホ爆薬は、210℃以上で爆発する硝酸アンモニウムと燃料油から出来ています。ダイナマイトより安価であるため、現在ではダイナマイトの3倍以上のシェアを誇っています。
(via wikimedia)
この爆発では、核爆発が軍用品や防衛用装置などに対して、どの程度の影響があるかが測定されました。そのため写真の手前側には、艦上戦闘機F-4が置かれています。
3.有史以来、隕石による最大の爆発:ツングースカ大爆発
(via metro)
1908年6月に、ロシアの中央部のツングースカ川付近で起きた巨大隕石による爆発です。
(via wikimedia)
その威力は、TNT爆薬換算で500~1500万トンと推測され、広島型原爆の1000倍以上に達すると見積もられています。有史以来では、最大規模の隕石衝突です。
隕石の大きさは60~190mで、この隕石は上空5~10㎞で爆発を起こし、地上に飛散したとされています。
(via Earth Science Australia)
爆発により、東京ドーム4万個以上(2000km2↑)の森林、およそ8000万本の木がなぎ倒されました。爆発によるキノコ雲は数百㎞離れた街でも目撃されており、1000㎞以上離れた家の窓ガラスも破壊しています。
これほど大きな被害をもたらしたにも関わらず、爆発した場所には人がほとんど住んでいなかったため、死亡者は1人も出ていません。
4.人類によって生み出された史上最大の爆発:ツァーリ・ボンバ(核爆弾)
(via wikimedia)
1961年10月30日にソ連が行ったTNT換算5700万トンの水爆実験です。これは人類が生み出した史上最大の爆発であり、広島と長崎の原爆を合わせた1570倍の威力がありました。
実験はソ連の領土で、北極海に浮かぶ島、ノヴァヤゼムリャで行われ、投下機によって爆弾が高度10500mで投下されました。
(via wikimedia)
ツァーリ・ボンバの大きさは重量27トン、全長8m、直径2mで、広島型原爆の5倍以上の重さがありました。爆弾の投下に使う投下機は、当時ソ連で最も大きなものでしたが、あまりにも巨大で収めることができなかったため、実験に際してはトビラや燃料タンクも外して行われています。
(via wikimedia)
投下されたツァーリ・ボンバは上空4000mで爆発し、直径8㎞の巨大な火球を産み出しました。
(via wikimedia)
形成されたキノコ雲は高さ64㎞(エベレストの7倍以上)に達し、地球の成層圏を飛び抜け、中間圏にまで到達しました。そして雲の幅は最大で95㎞になりました。その爆発の模様は、1000㎞離れ場所でも観測できるほどだったと言います。
放射線による死亡域は、爆心地から直径13.2㎞、爆風による殺傷範囲は直径46㎞、致命的なヤケドを追う熱線の効果範囲は直径116㎞にも及びました。
爆心地から百㎞近く離れた町では、全ての建物が破壊されました。270㎞離れた場所からこの爆発を目撃した人も、爆破による熱波を強く感じたと言います。
また爆心地から700㎞先でも強い衝撃波が感知され、さらに900㎞先でも窓ガラスが割れるなどの被害が出ています。
一般的に水爆は放射性物質を大量に放出し、死の灰を降らせますが、今回の実験ではウラン238の核分裂を抑制するために改良されていたため、放射能汚染はほとんど起きませんでした。
5.観測史上最大とされる火山の爆発:1815年のタンボラ山噴火
(via wikimedia)
1815年4月5日、インドネシアのスンバワ島にあるタンボラ山で起きた観測史上最大とされる火山噴火です。そのエネルギーはTNT換算で8億トンに達し、先ほど紹介したツァーリ・ボンバの約14倍です。
(via Google map)
噴火時のごう音は、火山から約2600㎞離れたスマトラ島でも聞こえました。1400㎞離れた場所で聞いていたイギリス当局は、敵国からの砲撃だと勘違いして軍隊を送ったという記録が残されています。
タンボラ山は、噴火前の高さが4300mありましたが、噴火によって山が崩壊して高さが2850mまで減少し、山頂には深さ約5㎞、幅約1㎞の巨大な陥没穴が形成されました。
(via qz)
火山から流れ出たマグマはふもとの町を流れ、それに加えて最大直径20cmもの軽石の雨が、町に降り注ぎました。これによって町の建物や住んでいた人が全滅し、合わせて1万人近くの死者が出たとされています。
そして火山から噴き出した火山灰は、高さ43㎞に達し、成層圏にまで到達して太陽の光をさえぎりました。微粒子となった灰は、数ヶ月ほど空中をただよい、地球規模で温度を下降させ、いくつかの温暖な地域では6月になっても雪が降るなど、異常気象が見られました。
(via Smithsonian)
その年は観測史上2番目の低い気温となり、特に気温が著しく下降した北アメリカとヨーロッパでは、穀物の不作による飢饉、それに続く伝染病によって、6万~11万人が死亡したと言われています。
6.地球上で最も大きな爆発:白亜紀-古第三紀の大量絶滅(K-Pg境界)
(via express)
およそ6500万年前、中生代白亜紀~新生代古第三紀に起こったとされる巨大隕石の衝突です。
この隕石衝突により、恐竜絶滅が起きたことはよく知られていますが、その他にも様々な生物が死に絶え、個体数の99%が失われています。
隕石の衝突場所は、メキシコのユカタン半島だとされています。チクシュルーブ・クレーターと呼ばれており、直径約160㎞の衝突跡が残されています。
(via wikimedia)
隕石の大きさは直径約10~15㎞、衝突時の速度は秒速20㎞、エネルギーはTNT換算96兆トンで、ツァーリ・ボンバの170万倍になります。
衝突により発生した地震の規模は、マグニチュード13と推定され、周囲には約300mの津波が発生したと予想されています。ちなみにマグニチュード15で、地球が崩壊すると言われています(規模は1000倍ことなる)。
(via wikimedia)
隕石の爆発によって、ススやチリが舞い上げられ、微小なものは成層圏まで到達し、数年~数十年に渡ってただよい続けました。これによって地上に届く太陽の光が激減し、地上の暗黒化が始まりました。
光が得られなくなった植物は光合成ができずに枯れ、それを食べる小動物が減少し、そしてその小動物を食べる恐竜などの大型動物がほとんど絶滅しました。これらの生物がいなくなった後、小型の鳥類とほ乳類が繁栄し、現在の生態系がつくられたのです。
ディスカッション
コメント一覧
内容は少しずれるけども
火山噴火によって、遺跡が当時の姿のまま残されてるものがある。保渡田八幡塚古墳や鎌原村、金井東裏遺跡などだ。
うむ