深海に住む恐ろしくも魅力的なサメたち5種(画像)
深海に住むサメについて興味深い生態や豆知識を紹介します。
1.ニシオンデンザメ
(via wikimedia)
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このサメは、北大西洋から北極海の冷たい海域に生息するサメで、最大で水深2000m付近で目撃されています。
ニシオンデンザメは、いかなるセキツイ動物よりも寿命が長いことが研究の結果明らかになりました。混獲で捕獲された28匹のニシオンデンザメの年齢を調査したところ、その中の一匹のメスは、寿命が392 ± 120歳であることが判明したのです。
もしこれが上限の512歳だとしたら、無セキツイ動物の最長寿個体であるアイスランドガイの記録までも塗り替えることになります。ミンと呼ばれるアイスランドガイの個体は507歳で、2006年にアイスランド沖で発見されています。
(via bigfishesoftheworld)
またニシオンデンザメは成長がとても遅く、1年でたった1cmほどし大きくなりません。それに加え科学者らによれば、メスが子ども産めるようになるまでは150年もかかるというのです。
(via juliastundra)
本種は最大で7.3m、重さは1400kgを超えると言われています。ホオジロザメと同様にサメの中では最大級の種です。ただし、捕獲されているニシオンデンザメのほとんどは、全長が2.44~4.8m、重さは400kg以内におさまります。
(via youtube)
ニシオンデンザメは、あらゆる魚の中でもっとも遊泳速度が遅いと考えられています。そのスピードは時速1.2kmで、ヒトの歩く速度の1/3以下です。しかもどんなに頑張っても時速2.6㎞ほどしか出せません。
この遅さは本種の長寿命に大きく関係していると考えられています。
(via wikipedia)
これほどのろいのに、食物連鎖の頂点に立っており、外敵がいません。しかもニシオンデンザメの胃袋を調べたところ、内容物の半分がアザラシの肉だったのです。そのほか小型のサメ、エイに加え、ホッキョクグマやウマ、ヘラジカまで胃の中から見つかっています。
彼らは待ち伏せ型の捕食者であり、深い海の中でひたすらじっと動かずに、獲物が来るのを待ち続けます。獲物が接近してきたところで一気に仕留めにかかるとされています。
しかし実際のところは、いまだにニシオンデンザメの捕食が一度も目撃されていないため分かっていません。
(via wikipedia)
ニシオンデンザメの肉には、トリメチルアミン-N-オキシドという有毒物質が高濃度で含まれています。そのため普通に食べると中毒を起こしますが、本種がよくとれるアイスランドでは、特別な処理方法で毒抜きを行って食しています。
しかし加工処理後でも、その肉は強烈なアンモニア臭を放ちます。そのため、好き嫌いがとりわけ激しく、初めて食べた人は吐いてしまうこともあるようです。アイスランドでは一定の需要があるため、年間を通じてスーパーなどで購入することができます。
2.カグラザメ
(via wikipedia)
熱帯あるいは温帯の水深2500m以内の海に生息している深海ザメです。一番の特徴は、側面にある6つの鰓裂(さいれつ)です。鰓裂とは体の側面についているタテに入った切れ目のことです。
(via wikipedia)
ほとんどのサメは、この鰓裂が5つしかありません。また上の写真でみると分かるように、目は緑色に光ります。また本種の寿命も、ニシオンデンザメには及ばないものの、80年を超えるとされています。
(via Wikimedia)
ニシオンデンザメと同様にかなり大きいです。体が細長く、全長は最大8mに達します。平均はオスで3.1~3.3m、メスでは3.5~4.2mであり、メスのほうが大きくなる傾向があります。
(via science-rumors)
カグラザメは漁の際に魚網にまぎれこんでしまうことが原因で、かなりの数を減らしています。深海に住んでいることもあって生息数は、ほとんど分かっていませんが、一部の地域では完全に姿を消したのではないかと言われています。
捕獲された場合、そのまま捨てるのはもったいないので、サメの肝油サプリメントやペット食品、スモーク肉、魚肉のエサとして販売されます。
3.ラブカ
(via Wikimedia)
うなぎのような細長い形状のサメで、大西洋と太平洋の水深1500m以内の海で目撃されています。大きさは最大2m前後で、これまでに紹介したサメに比べると小さいです。
(via tohokingdom)
ラブカの歯は、針のようにとがっており、すべてが後方に向いています。歯列は上アゴ、下アゴともに25列ほどあり、歯の本数は全部で300本近くになります。
この後ろ向きに付いた大量の歯は、獲物を釣り針のようにひっかけ、逃れられなくするのに役立っています。
(via wikimedia)
ラブカの英名は、フリルの付いたサメ(frilled shark)です。その名の通り、頭部側面にあるタテの切れ込み部分から赤色のフリルが飛び出しています。これは鰓弁(さいべん)と呼ばれ、ここで酸素を血液中に取り入れ、呼吸を行っています。
ラブカは年中繁殖が可能で、繁殖期はないということが分かっています。また卵胎生であり、母親のお腹の中で卵が育った後にふ化し、体内から排出されます。
ラブカは、一回の出産で平均6匹の子どもを産みます。その妊娠期間はセキツイ動物最大ともいわれ、3年半(42ヶ月)となります。これは陸上動物で最も長いアジアゾウの約2倍(22ヶ月:1年と10ヶ月)です。※ちなみに人間は9ヶ月ほど。
ラブカは、うなぎのように体が柔軟で細長いため、体を波立たせてくねせらながら泳ぎます。動きはかなりのろいですが、イカなどの比較的すばしっこい生物が主食であることが分かっています。
また口を大きく開けることができるため、自分の体長の半分くらいの大きさなら、捕食できるということが分かっています。
4.ダルマザメ
(via Florida Museum of Natural History)
世界中の暖かい海に生息し、水深3700mより上で目撃されることがあるサメです。昼間は1000m以下の深い場所で過ごし、夜になると浅い場所に移動して獲物を待ち受けます。
大きさは42~56cmで、一般的なサメと比べるとヒレがいずれも短くなっています。
(via starwarsboy9)
ダルマザメは変わった捕食方法をとることで知られています。彼らの口は吸盤のように機能させることができ、これで獲物の体に吸い付きます。そして、上の歯を支えにして自分の体をひねりながら、下の歯で肉をそぎとるのです。
その傷跡は平均直径5cm、深さ7cmほどになり、狙われた獲物はまず死ぬことはありません。こうすることで、エサが死なないので、エサの枯渇を心配する必要がなくなります。
(via Imgur)
大型の獲物を狙うことが多く、クジラやアシカ、イルカ、他種のサメなどに、この傷跡が見つかっています。
(via reddit)
ダルマザメはお腹の部分が緑色に光ります。これは自分自身の姿を消すためです。普通の魚は、海の上側から入ってきた光によって下から見た時に影が作られますが、発光するダルマザメはその影を打ち消すことができます。
いくつかの深海ザメは、発光することが知られていますが、その中でもダルマザメは最も光の強度が高く、死んでからも3時間ほどは光を放つことが知られています。
深海に住む生物ですから、めったに出くわすことはありません。しかし、夜になると海の浅い箇所にやってくるため、その時にどう猛さが発揮されることがあります。
これまでに、難破船で海に放り出された人や、夜に海を泳いだ人から、本種に襲われたという報告があがっています。また1970年代には、アメリカ海軍の潜水艦の機会部品が食べられ、オイル漏れを起こす事故も発生しています。
5.ミツクリザメ
(via wikimedia)
ミツクリザメは頭から突出したフン(吻)と大きく飛び出るアゴが非常に特徴的な深海のサメです。
世界中の水深100mより下の海で見られ、かなり珍しい種ではあるものの、捕獲例の多くが東京湾や駿河湾など日本沿岸部に集中しています。
(via wikimedia)
ミツクリザメの頭部には、異様に長い両刃形状のフンが飛び出ています。これは暗闇の中でも獲物を見つけやすくするためです。このフンには複数の穴が開いており、そこで生物の筋肉から発生する非常に小さな電流を感知し、獲物の位置を把握しています。
これがあるおかげで、真っ暗闇で、たとえ目が使えなかったとしても、エサを探すことができるのです。
通常時はアゴを引っ込ませ、獲物が近づいてきた時には、柔軟なアゴを一気に伸ばし、そのまま丸飲みにします。ミツクリザメが、このような飛び出るアゴになったのは、とてものろいことと、待ち伏せ型の捕食者であることが理由です。
この素早く伸縮できるアゴのおかげで、たとえ速く泳ぐことができなくても、獲物が近づいてきた時には、効率よくつかまえることができるのです。
(via Strange Animals)
カグラザメやニシオンデンザメの大きさには敵わないものの、だいたい体長3~4m、体重は最大で200kgに達します。オスよりもメスのほうが大きくなります。最大個体は全長6m前後になるとされています。
(via Strange Animals)
生きている間は灰色っぽいですが、水揚げされた個体は、水圧の変化により大量出血を起こし、全身が真っ赤に染まります。写真は乾ききっていますが、水に濡れた状態ではかなりぶよぶよとしていて気持ち悪い感触です。またアゴは、死ぬと重力によって自然と飛び出てくることがあります。
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