非常に美しい。でも毒がある身近な花・14種
身近に咲く、美しい毒花を14種ご紹介します。
1.スイートピー
(via ebay)
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イタリア・シチリア島原産の一年草で、花の形がちょうちょをイメージさせる可愛らしい花です。
そんな可愛らしい花にも毒があります。タネとサヤには、アミノプロピオニトリルという神経毒が含まれているのです。
(via wikimedia)
口から摂取された毒は、神経系に障害を与えます。
主な症状としては、体に脱力感を感じたり、手足がしびれたりします。また、人では確認されていませんが、動物では長期的な摂取により、骨格が異常に変形するなどの症状が見られます。
2.アネモネ
(via gardenseason)
地中海生まれの球根から育つ花です。アネモネはギリシア語で「風」を意味し、春のここちよい風が吹き始める頃に咲くことから名付けられたようです。
毒は、全ての部位に含まれます。「プロトアネモニン」と呼ばれる物質で、食べると胃腸がただれ、炎症が起きます。
また、クキを折った時に出てくる汁に触れると、水ぶくれができたり、腫れたりして、まるでひどいヤケドを負ったような症状に見舞われます。
3.アヤメ
(via wikimedia)
山地でよく見かける花で、花びらの根元に白色の網目模様があるのが特徴です。
この花には「イリジェニン」、「イリジン」などの毒成分が、全ての部位に含まれています。特に根っこの部分は毒が高濃度で存在します。
本種を食べると、腹痛やおう吐が引き起こされます。また、クキなどから出た汁に触れると、皮ふの炎症やアレルギー反応を示すことがあります。
4.クリスマスローズ
(via mobilizacia)
園芸用の花として世界中で非常に人気が高く、数え切れないほどの改良品種が存在しています。
クリスマスローズという名前は、クリスマスの頃に咲く花という意味から名付けられたものですが、実際には品種の多くが春頃に咲きます。またローズという名前であるものの、バラとは近縁ではありません。
(via wikimedia)
クリスマスローズに含まれる毒は、心臓に障害を与えるヘレブリンという成分であり、これが全ての部位に含まれています。
その他にもサポニンやラヌクリンという毒成分も含んでおり、口から取り入れると、喉の焼け付くような痛み、おう吐、腹痛、けいれん、下痢などが引き起こされます。大量に摂取すると心停止に至る可能性があり、致命的になりえます。
また、葉やクキ、花から出る汁や蜜も有毒であり、これに素手で触れると皮ふの炎症が起きることがあります。
5.クレマチス
(via wallscover)
とても美しく大きな花をつけるツル性の植物です。園芸品種として人気が高く、改良品種は2000種以上あります。
毒はプロトアネモニンと呼ばれるもので、大量に摂取すると消化管で出血を引き起こすことがあります。また、葉やクキからにじみ出た汁で、皮ふがかぶれたり、炎症が引き起こされます。
6.シクラメン
(via ana-rosa)
ギリシャなどの地中海沿岸で生まれた球根植物で、日本ではトップクラスの人気をほこる鉢植え植物でもあります。2015年の出荷量は1760万鉢にも及びます。
毒が含まれているのは、ジャガイモに似た球根(塊茎)の部分です。毒の成分はシクラミンと呼ばれ、赤血球を破壊する働きがあります。
大量に摂取した場合、おう吐や手足のけいれん、体のマヒが起きます。
(via wikimedia)
7.シュウメイギク
(via bjqinding)
チャイニーズ・アネモネとも呼ばれる、中国原産のアネモネの仲間です。漢字で書くと秋明菊ですが、菊とはそれほど関係がありません。
先に紹介したアネモネと同様の毒性があり、クキや葉からにじみ出た汁で皮ふの炎症が起こる場合があります。
8.デルフィニウム
(via crocus)
北アフリカ原産のノボリフジに似た植物です。つぼみの形がイルカによく似ていることから、ギリシア語のイルカを意味する「デルフィス(Delphis)」にちなんで名付けられました。
デルフィニウムは、全ての部位に「デルフィニン」という毒成分を含んでいます。これは人が摂取すると、下痢やおう吐を起こします。
人の中毒自体はほとんど無く、死亡例も報告されていません。しかし、ヤギやウシなどの家畜に対しては、非常に強く作用します。放牧中の家畜がこれを食べて死ぬケースが珍しくないのです。
毒は神経筋の働きを阻害し、最悪の場合、数時間で心停止を起こし、死に至ります。
9.チューリップ
(via wikimedia)
日本のあらゆる場所で見られる最も一般的な花ですが、全ての部位に毒を有しています。ただし弱毒であり、まず死ぬようなことはありません。
完全に無毒な品種もあり、オランダでは球根がスナックとしてよく食べられています。
気をつけたいのは、素手でチューリップを扱うときです。皮ふに付着したツリパリンAという毒が、皮ふをただれさせ、炎症をもたらすことがあります。
この皮ふの炎症は、チューリップを扱う花屋さんや、園芸の仕事に関わる人たちがなりやすいことで知られています。
10.ヒヤシンス
(via foto)
地中海沿岸で生まれた球根花です。日本には1863年にやってきました。
ヒヤシンスには、リコリンという毒成分が含まれ、食べるとおう吐や下痢が引き起こされます。また、植物内部にはシュウ酸カルシウムが含まれており、草木からにじみ出た液体に触れると皮ふが炎症を起こす可能性があります。
11.ラナンキュラス
(via antasticmaterials)
地中海原産の幾重にも重なった花びらが美しい植物です。
本種は、全ての部位にアネモネと同じ毒成分のプロトアネモニンなどを含んでいます。そのため、草木からにじみ出た汁で、皮ふに水ぶくれが生じたり、腫れたりすることがあります。
12.ランタナ
(via wikimedia)
世界の侵略的外来種ワースト100に指定されている少しやっかない花です。
元々は南アメリカだけの花でしたが、繁殖力の高さゆえ、世界各国で野生化しており、生態系に与える影響が懸念されています。
また毒があるため、ウシなどの家畜が、野生化した花を食べて中毒になるケースが報告されています。
(via wikimedia)
毒は主に花と果実に含まれています。食べると、おう吐や下痢、腹痛などの症状が見られます。
13.アジサイ
(via lepsie)
アジサイには、全草に弱い毒が含まれています。日本では中毒が複数件報告されており、いづれも料理に添えられたアジサイの葉っぱを食べて起きています。
症状としては、下痢やおう吐、心拍数の増加、めまいなどです。
14.アザレア(ツツジ)
(via florainhouse)
ツツジにもたくさんありますが、ほとんどの種が致死的な毒成分のグラヤノトキシンを全草に含んでいます。
もし食べてしまうと、けいれんやおう吐、頭痛、めまい、胃腸障害などが引き起こされます。最悪の場合には、呼吸停止で死亡することがあります。
またツツジの蜜をミツバチが集めて作ったハチミツにも毒があり、これを食べて中毒になった人もいます。
ディスカッション
コメント一覧
え? ツツジの蜜って、子供の頃みんな学校帰りとかにチューチューしてたよ。全ての庶民が一度は経験する事と思ってたんだけど… たまたまその“ほとんどの種”に含まれなかったのかな? 大量摂取じゃないから大丈夫だったのかな?