育てたくなる!魅力的な食虫植物たち8種類
良く知っているものから、珍しいものまで、魅力的な食虫植物を8種類ご紹介します。
1.タヌキモ
生息域:日本全国、南極を除く世界中の湖沼や湿地
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タヌキモは水中で生活する食虫植物です。根っこがなく、水中に捕虫のうと呼ばれる袋を複数持っているのが特徴です。この袋が開いたり、閉じたりして虫を捕らえます。
(via Wikimedia )
捕虫のうは、フタ付きで通常時は閉じています。このとき、内部には水が入っておらず、圧力は低い状態です。しかし、エモノが捕虫のうの外側にある剛毛に触れると、フタがずれて開きます。すると内部は圧力が低いため、エモノが水とともに捕虫のう内へと吸い込まれていきます。
捕虫のう内で水が満たされると、フタは再び閉じられます。これらの開閉動作は、たった0.01~0.015秒しかかからず、一瞬のうちにエモノは、捕虫のう内にとらわれてしまうのです。
(via Wikimedia )
実際にエモノが吸い込まれる動画
タヌキモは、主にミジンコなどの小さな生物を食べています。一部の大きな種は、ボウフラやオタマジャクシなども食べることがあります。
エモノを捕虫のうに取り入れた後は、消化酵素で溶かし、それを栄養とします。同時に、捕虫のう内の細胞が水の受け渡しを行い、排水します。捕虫後、15分程度で排水し終わり、また新たなエモノを迎え入れられるようになります。
2.ムジナモ
(via BioLib)
生息地:ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オーストラリアの湖沼や湿地(日本では野生種は絶滅)
タヌキモと同様、こちらも水中で根を持たずにただよう食虫植物です。タヌキモとの大きな違いは、1つ目に虫を捕まえるための葉が2枚貝のようになっていること。2つ目に風車羽のような葉の先に、捕虫葉が付いていることです。
(via Plants & Flowers)
ムジナモはこの捕虫葉に近づいてきた虫を捕らえます。捕虫葉の周りには感覚毛というものがあり、虫がこれに触れると0.01~0.02秒で葉が閉じられ、エモノを締め上げるのです。
ムジナモが捕虫葉を閉じる様子の動画
捕まえた虫は、内部にある消化腺から分泌された酵素で溶かされ、養分となります。
3.モウセンゴケ
(via wikimedia)
生息地:日本では北海道~九州、世界では北半球の湿地
毛のようなものがたくさん生えた食虫植物です。湿地でよく見られます。
モウセンゴケはたんぽぽのように葉が放射状に伸び、葉の先は丸くなっていて、1枚の葉につき200本もの毛が生えています。この毛から甘い香りのするベトベトした液体を出します。
(via wikimedia)
この匂いに虫が引き寄せられてくっつくと、丸い葉がその虫を包むように曲がります。虫は押さえつけられて逃げられなくなり、そのまま消化酵素で長い時間をかけて溶かされ、吸収されます。
(via Gloucci Teoh)
モウセンゴケの捕虫動画
4.ハエトリソウ
(via Wikimedia)
生息地:アメリカ・ノースカロライナ州とサウスカロライナ州の湿地
食虫植物といえば、ハエトリソウをイメージする人が多いと思います。ホームセンターでは、鉢植えで販売されている光景をよく見かけます。
ありふれた種のように思われますが、野生種はとても貴重で、限られた場所にしか自生していないため、厳重に保護され、球根の輸出入は全面的に禁止されています。
ハエトリグサは捕虫葉の内部に、3~4本の感覚毛が生えています。エモノがこの毛に2本以上触れると、自動的に葉が閉じるようになっています。
ただし1本目の毛に触れてから、20秒以内にもう一本の毛に触れないと葉は閉じません。
この仕組みは、水滴やゴミで誤作動するのを防ぐとともに、極端に小さな虫を捕まえてしまわないようにするためです。
(via wikipedia)
捕虫葉を閉じる動作は、エネルギー消費が激しく、開閉運動は1枚の葉で2~3回ほどしか出来ません。開閉するごとに老化が進み、葉は枯れやすくなります。
(via Pitcher plant)
捕まえた虫は比較的大きいことが多く、必要な栄養分を吸い取るまで1週間くらいかかります。消化し終わると、葉が開き、からからになった死体が吐き出されます。そして新しいエモノを待ち受けます。
5.ムシトリスミレ
(via wikimedia)
ヨーロッパ、ロシア、カナダ、アメリカなどの高山湿地帯
スミレとよく似た花を咲かせることから名付けられた食虫植物です。本種は、放射状に伸びた幅広の葉で虫を捕まえます。
(via wikimedia)
葉の表面には、小さな毛がびっしりと生えており、そこからベトベトした消化液が分泌されています。虫がその葉に触れると、くっついて逃げられなくなります。大きな昆虫が捕まった場合には、葉がまくれあがる様子も観察されています。
6.ウツボカズラ(Nepenthes rafflesiana Jack)
(via wikimedia)
生息地:ボルネオ、マレー半島、マレーシアなど東南アジアの低地
熱帯地方でもっとも一般的な食虫植物です。ウツボカズラはツル性の植物でもあり、そのツルは最大で15mの高さまで伸びることがあります。
ウツボカズラの一番の特徴は、フタ付きの捕虫袋です。捕虫袋の大きさは、たいてい長さ20cm前後ですが、最大で45cmの個体も観察されています。
(via wikipedia)
捕虫袋のフタは、袋の中に雨水が入らないようにする役割を果たしています。
袋の入り口の部分は丸まっており、滑り落ちやすくなっています。また、入り口部分には蜜の出る腺があり、その匂いでエモノをおびき寄せます。
(via wikimedia)
袋の内部には水と消化液が入っています。蜜を吸いに来た生物が、この液体に誤って滑り落ちると、出られずにそのまま溺れ死にます。その後、消化液で溶かされて、エモノの栄養が捕虫袋から吸収されます。
7.オオウツボカズラ
(via Orchids Limited)
生息地:ボルネオ島のキナバル山とタンブユコン山
ウツボカズラに比べて、幅広の大きな捕虫袋を持っています。長さではウツボカズラの最大個体に敵わないものの、その容積は最大級であり、3.5リットルの水を保持することができます。
(via wikipedia)
生態は先に紹介したウツボカズラとそれほど変わりませんが、その捕虫袋の大きさゆえ、落とし込むエモノは巨大となりえます。
主食はアリなどの昆虫ですが、ネズミや鳥、トカゲなど比較的大きなセキツイ動物も本種のエサとなっています。
(via wikipedia)
本種はとても珍しい種であり、ごく限られた地域でしか見られません。そのため絶滅危惧種に指定され、国際的な取引が規制されています。
8.ビブリス
(via helloforos)
生息地:オーストラリア西部の湿地
可愛らしい花をつける食虫植物です。長い柄の先には、細長い葉が生えています。この葉には細かな毛が密生しており、ここにはべとつく粘液が付着しています。
(via International Carnivorous Plant Society)
(via Siegfried R. H. Hartmeyer)
この粘液に触れた昆虫はくっついて逃げられず、液体の中で窒息死するか、もがいて消耗死するかのどちらかになります。死んだ昆虫たちは、消化酵素で溶かされ、必要な栄養素だけが植物へと行き渡ります。
ディスカッション
コメント一覧
こんなに種類があるとは思わなかったぜ
そういやトマトも実は食虫植物らしいですね。ムシトリスミレのように、茎の毛で
虫を食べるそうです(厳密に言えば、食べるのではなく、養分にして、死骸は地面に
落とす)。