すごい能力を持つ驚くべき種子(散布方法)

2019年10月31日

驚くべき能力を持った種子を5つご紹介していこう。

1.チョウのように空を飛ぶ。ハネフクベ

【ハネフクベの種子】

(via wikimedia)

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ハネフクベは木に巻き付くツル植物で、インドネシアに生育している。その実は釣り鐘型で直径30cmにもなり、巻き付いた木に吊り下がる。

【ハネフクベの実】

(via Two Subtitles)

この実の中に、グライダー状の羽根を付けた種子がたくさん詰まっている。この種子の羽根の部分は、紙よりも薄く、厚さが0.01mmほどしかない。種も厚さ1mm以下で非常に軽い。一方で羽根の長さは12cmにもなる。

【空を飛び立つ動画】

そのため熟して割れた果実からこの種子が飛び出すと、風に乗って上昇下降を繰り返し、まるでチョウのように舞いながら、長い間地面に落ちることなく遠くに運ばれる。過去には航海中の船に落ちてきたこともあるそうだ。

2.何年分もの栄養をたくわえる。オオミヤシ

(via prota4u)

世界には、この種よりも大きなものは存在しない。その重さは最大で17kg、全長は40cm近くになり世界最大である。そして、この種子が入っているヤシの実はもっと大きい。直径が40~50cm、重さは最大42kgになる。

【オオミヤシの実】

(via wikimedia)

あまりにも大きい実なので、成熟するまで6~7年かかり、実が落ちてからも発芽するまで2年を要する。

このヤシは種子づくりにかなりのリソースを割いており、葉の栄養分まで種子に使っている。実際に葉中のチッソやリンを他の植物と比べると、1/3以下になっている。

種子はどうしてこんなに大きくなった?

(via Seychelles Tourism Board)

セーシェルの固有種であるオオミヤシは、日陰の多いところに生育していること、また種子を散布してくれる動物がいないことが、巨大種子になった理由と考えられている。

アフリカに生育する本種の近縁種は、ゾウが実を食べて種子を運んでいる。しかしオオミヤシにはそれが無いため、種子を食用可能なサイズに抑える圧力が存在しない。

【大地に光が届かない】

(via wikimedia)

また日陰の多い生い茂った森では、大地に光が届きにくいため、少ない日差しで生き延びなければならない。そのため種子を巨大化し、葉が太陽の日差しに当たるくらいに成長するまで、大量の栄養をたくわえておく必要があるのだ。

3.粘液と一緒に噴出する。テッポウウリ

(via wikipedia)

テッポウウリという名前は、その種子の散布方法から名付けられた。トゲの付いた実が熟すと、茎の端から実がとれて、粘液と一緒に種が噴き出すのだ。

【テッポウウリの実から種が噴き出す動画】

1つの実から20~40個の種が、1~6mの範囲に飛び散る。こうすることで広範囲に子孫を増やすことが可能になる。

(via Paco Gómez/flickr)

ちなみにこの植物はウリの仲間だが、実は毒があるので食べられない。その毒を利用して、かつては堕胎薬が作られていた。

4.世界最小で1000km飛ぶ種子。ラン科

【ラン科のヒトツボクロ】

(via wikimedia)

美しく独特の花を咲かせるランは、およそ2万6千種あるといわれるが、いずれも種子が非常に小さい。その大きさは小さな砂粒くらいである。

その中で最も小さく、世界最小の種子とされるのは、ニューカレドニア固有のアネクトキルス・イミタンスである。その種子の大きさは全長0.05mmであり、肉眼で見ることが難しいほどだ。

【アネクトキルスの一種】

(via zieduagentura)

そのサヤの中には400万以上の種子が含まれており、その軽さと小ささから1000km以上も飛散することがある。その軽さと引き換えに、種子は貯蔵養分をまったく持っていないため、地面に特別な共生菌がいないと発芽できない。

その共生菌は有機物を分解して栄養を作り出し、それをランに分け与える。この菌と出会って発芽する確率はとても低いために、種子数が多く、飛散距離が長くなっているのだ。

5.森中にとどろく爆発音。ダイナマイトツリー(スナバコノキ)

(via theSLOANranger)

全高60mになるアマゾンの巨大樹は、かぼちゃ型の実をならす。ダイナマイトと名前が付いたのは、この実が原因である。

【乾燥した実】

(via wikimedia)

この実は乾燥してしなびれると、木から落下して地面に激突し、爆発音を立てて破裂する。このときに破裂した実から種子が大量に飛び散る。

【ダイナマイトツリーの実が飛び散る動画】

【爆発した実と種子】

(via theSLOANranger)

恐ろしいことに、種子の射出速度は時速250kmにも達し、元の場所から100m近く飛散することがある。これはマグナム弾が射出される速度の1/5であり、直接当たったら怪我をするだろう。

【危険は木の幹にも】

(via onegreenplanet)

この木の幹は、一面にトゲが生えており触ると危険だ。そして幹からあふれ出る樹液には毒がある。この毒は、かつて先住民らによって毒矢として狩猟に使われていた。

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雑学

Posted by uti