信じられない。集団ヒステリーの事例
集団ヒステリー、あるいは集団パニックは、中世ヨーロッパ以降から記録されるようになった心理現象である。集団内の一人を発端として多数に連鎖し、けいれんや歩行障害、動悸、失神、過呼吸や呼吸困難、または突然叫びだすなどの興奮や恍惚状態といったパニック障害やヒステリーの症状が現れる。
集団ヒステリーは、他人への同調のために起こり、特に子供や若い女性の間に起こりやすいことが知られている。今回は、過去に起きた有名な集団ヒステリーの事例をご紹介していこう。
1.何百人も亡くなったとされる1518年の踊り狂い
(via Public domain)
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ある一人のダンスがきっかけで、それがウイルスのように伝染して次々と踊り出すものが現れた。そして何百人もの人々が死ぬまで、あるいは倒れるまで踊り続けることになった集団ヒステリーが、1518年のフランス、ストラスブールで発生した。
最初にトッフェアという女性が、ストラスブールの通りで熱心に踊り始めたのがヒステリーの始まりだったという。彼女の踊りは4~6日続いた。それから1週間以内に、通りで踊る人は34人に増え、1か月以内に400人まで増加した。そのほとんどは女性だった。
(via wikipedia)
ダンスの参加者は、一睡もすることなく狂ったように踊り続けた結果、心臓発作や極度の過労により命を落とした。ある記録には、この流行の間に1日あたり約15人が踊りあかして死んだと書かれている。
(via TriCurioso)
嘘のような出来事だが、当時の医師のノートや地元の年代記、市議会の文書など、複数の文献でこの出来事に関する記述が残っている。当時の医師たちは、この流行の原因を「過熱した血」であると考えていた。発生したのが、ちょうど真夏の7月、とても暑い日だったからだ。
一方で現代においては、ヨーロッパにまん延していた麦角中毒が、この流行の一因になったのではないかと推測されている。麦角中毒は、麦角菌に侵された穀物を食べることで引き起こされ、幻覚剤のLSDと類似する症状を示すことがあるのだ。
2.タンガニーカで起きた笑いのパニック
(via thevintagenews)
1962年に現在のタンザニアで起きた笑いの集団パニックは、寄宿学校の女子の冗談が感染源となった。彼女のジョークは、一緒に話していた他の女子2人の笑いを誘った。
普通はそこで笑いは終わるはずだが、なぜか学校中に波及し、12~18歳までの学生159人中95人が笑いの発作に襲われることになったのだ。この症状は、数時間から16日に及んだ。教職員は影響を受けなかったが、学生たちは授業に集中できなくなり、流行が終息するまでの約2か月間、学校閉鎖になった。
(via Wikipedia)
しかし流行はここで終わらなかった。隣村の村人や周囲の学校にまで広がり、1000人以上が笑いの発作に巻き込まれたのである。本来なら笑うことは楽しいはずだが、感染者の多くは失神や腹痛、呼吸困難、嗚咽などの症状で苦しめられた。そしてこの流行が完全に終息ししたのは、最初の発生から8か月後のことであった。
3.幻の毒ガス犯によるパニック
(via PIZZA4FREE)
WWⅡの頃、イリノイ州のマトウーンの人々は、毒ガス犯が民家に侵入し、毒ガス攻撃をしかけて来るという妄想にとらわれていた。被害者の話では、家の中に異臭がした後に咳やめまい、吐き気、マヒに襲われたという。また事件直後、家の窓の外に背が高く、細身の黒い服を着た人物が逃げ去るのを見たと言う人もいた。
(via Legends of America)
このような事件が、同日に何十件に渡って発生した。しかし警察の捜査では、どの事件においても物的証拠を見つけられなかった。だがその臭いの元の特定は容易だった。例えば、こぼしたマニキュア液、動物の獣臭、工場の排ガスなどで簡単に説明がついたのだ。また被害者の症状はすぐに回復し、長期的な影響は見られなかった。
これらのことから、この一連の事件は集団ヒステリーによって起こされた可能性が高いとされている。その理由の一つとして、当時はWWⅡの最中であったため、戦争で男達が出払っており、女性が不安を感じる機会が多かった。また町の近くには工場があり、排ガスで異臭が漂うこともあった。
そして地元の新聞は、この事件を大々的に報道し、民衆の不安をあおった。これらのことが原因で、民衆はちょっとした異臭でパニックを起こし、パニック発作に類似する症状を引き起こしたのではないかとされている。
4.フェイス・スクラッチャーによる襲撃(顔をひっかく者)
(via Shelz Lovestheocean)
2002年、インド北部のウッタルプラデシで、未確認生物が地元の人々を恐怖で震え上がらせた。地元民はこの未確認生物を「フェイス・スクラッチャー」と呼び、この生物が100人以上を襲ったと主張している。
彼らが言うには、その生物は暗闇の中に突然現れ、犠牲者の顔にひっかき傷を残していく。UFOのような浮遊生物だという目撃談があり、そのサイズはサッカーボールから大きなリクガメくらいだという。
最初は孤立した事件であったはずだが、この生物の襲撃の噂が広まると、地元民はパニックに陥り、多くの者が被害を訴えるようになった。そしてフェイススクラッチャーから町を守るため、夜間の自警団が設立された。こうして24時間体制で町の警備が行われるようになったのだ。
この生物がTVアンテナに引きつけられるという噂を信じて、家のアンテナを外す人も多くいた。また地元民は警察に対して、この謎の襲撃者を捕獲し、住民をこの生物から保護するよう抗議した。だがその要請に対して警察は十分な行動をとらずにいたため、暴動が発生した。その暴動を治めるために警察が発砲した銃弾は、地元民に直撃し、この事件唯一の死亡者を出した。
このパニックの発端となったのは、野宿中の人が昆虫の大量発生で顔に怪我をし、それを謎生物のせいだと誤って伝えたことが原因ではないかと言われている。そう言われるのは、謎生物による被害が雨季の到来とともに突然消滅したためだ。
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(via Watts Up With That?)
ディスカッション
コメント一覧
あまりコメント残せてないけどこのサイトが大好きでいつも寝る前にみています
これからも楽しみにしています
いやー、、とてつもなく興味深い。集団で同じ普通ではない行動をとる、それは何が原因か。
理解出来ない行為なら、理解出来ない事が原因でもおかしくない。それが目に見えるとは限らない。
集団意識を指揮しているものは何だろう。