宇宙・世界で最も重たいもの(分野別)

2019年9月8日

様々な分野ごとに、最も重たいものをご紹介していこう。

乗用車:ZIL-41052 リムジン

(via wallpaperup)

重量:5.5トン

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1989年に13台だけ生産されたソ連の大統領専用車であり、バスやトラックを除く乗用車のなかで最も重量級だとされている。外見上は高級なリムジンだが、警護のために防弾ガラスや厚さ1㎝になる装甲を備えている。

(via carscoops)

全長は6.3m、幅2.1m、高さ1.5m。7.7リッターV8エンジンを備え、315馬力を発生させることができ、最高時速は190kmに達する。このリムジンは、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領やロシアのボリス・エリツィン大統領が乗ったことで知られている。

現生の陸上動物:アフリカゾウ

(via wikipedia)

重量:10.4トン(リムジンの約2倍)

現在生息する陸上の動物の中で最も大きいのはゾウであり、その中でもアフリカゾウがトップに立つ。全長は最大で7.4m、体高は4m、そして牙の長さは2.7mにも達する

【人間との大きさ比較】

(via wikipedia)

その大きさゆえ、食べる量が非常に多く、1日に150kg近くの植物や昆虫を摂取することがある。

全ての動物:シロナガスクジラ

(via wikimedia)

重量:173トン(アフリカゾウの16倍)

これまで地球上に誕生した動物種のなかで、最も重いのはシロナガスクジラである。恐竜のほうが重そうなイメージだが、最も重いアルゼンチノサウルスでさえ、77トンほどだったとされる。一方でシロナガスクジラは推定173トンだ。しかも全長は30mを超える。

【シロナガスクジラの頭蓋骨(5.8m)】

(via wikipedia)

その巨体から理解できるように、体内にある臓器も世界最重量級である。たとえば舌は2.7トンあり、99トン分の水や餌を保持可能。心臓も180kg近くある。その赤ちゃんは産まれた時から既に3トン。1日に380リットルの母乳を飲み、毎日90kgほど体重が増えていく。

戦車:VIII号戦車 マウス

【マウス戦車の見本】

(via wikimedia)

重量:188トン(シロナガスクジラの1.1倍)

WWⅡ頃のナチス・ドイツで開発されたマウス戦車は、ソ連軍の巨大化する戦車に対抗するため、ヒトラーが開発を命じた。その重量は188トン、全長10mで史上最大の戦車であった。

【6人乗りの超重量級戦車マウス(1945年撮影)】

(via wikimedia)

主砲は55口径(12.8cm)の対戦車砲であり、同盟国のあらゆる戦車を破壊できるほど強力で、1km先の20㎝装甲板も貫通可能だった。しかしこの戦車は5両発注されて2両が完成したものの、実戦に持ち込まれる前にソ連軍の侵略を受け、接収されてしまった。

蒸気機関車:ユニオン・パシフィック鉄道4000形

(via wikipedia)

重量:548.3トン(マウス戦車の2.9倍)

アメリカ最大の鉄道会社であるユニオン・パシフィックが1941~1945年にかけて製作した、世界最大・最重量級の蒸気機関車である。全長は40m、車両の重さは350トン、水と石炭など燃料を含むと総重量548トンにも達した。

ユタ州のオグデンとワイオミングのグリーン・リバーの合間にあるワサッチ山脈を超えるために25両が製造され、約18年後の1959年に全ての機関車が役目を終えた。

航空機:An-225

(via wikimedia)

重量:640トン(4000形の1.2倍)

世界で最も重量のある航空機は、ソ連が1985年に開発した。機体自体の重量は175トンだが、荷物や燃料を載せた離陸時の最大重量は600トンになる。この機体の用途は、ロシア版スペースシャトルのブランを輸送するためであった。

【宇宙船ブランを輸送するAn-225】

(via wikipedia)

だがその役割を果たしたのは1回だけで、以降は超大型貨物の輸送に用いられている。現在も現役である。約300トンの荷物を運ぶことが可能であり、かつては防衛省がハイチ大地震復興支援のため、100トン以上の重機を輸送するのにこの機体をチャーターしたことがある。

【貨物室】

(via wikipedia)

もしこの機体の貨物室に、座席を設置して旅客機に転用したなら、1500~2000人を収容できるほどの容積があるという。

トラック:BelAZ 75710 

(via pixanews)

重量:725トン(An-225の1.1倍)

ベラルーシの重機製造メーカー、BelAZが製造した世界最大の運搬トラックである。450トンを荷台に乗せて運ぶことができ、車体重量は360トンで、フルに乗せると総重量は725トンと一般的な飛行機よりも極めて重くなる。その大きさは高さが8.1m、全長が20m、幅9.8m。

【タイヤだけで高さ4.2m】

(via Po2l)

大砲:80cm列車砲

(via wikimedia)

重量:1,350トン(BelAZ 75710の1.9倍)

列車砲は、線路上を走行させられる火砲であり、陸上では運用困難な大重量・大口径の砲が使用されている。その列車砲の中で最も大きいのが、WWⅡ中にナチス・ドイツが開発した80cm列車砲である。

列車の全長は42.3m、高さは11.6m、砲身の口径は800mmである。射程距離は30~48km、発射速度は1時間に3~4発。砲弾1個が4.8トンと非常に重かったため、貨物列車で別途運ばなければならなかった。

そのうえ砲弾の操作に1400人、防衛・整備に4000人以上を必要とした。フランス・ドイツ間にあるマジノ要塞を占拠するために使われる予定だったが、あまりの使いづらさのため実戦で用いられることはなかった。

木:シャーマン将軍の木

(via wikimedia/World Wide Gifts)

重量:1,910トン(80cm列車砲の1.4倍)

シャーマン将軍の木は、現存する樹木の中で、最も大きな木(体積換算:1487m3)であり、最も大きな生命体でもある。その高さは83.8m、直径7.7m、幹周りは31.1mに達する。樹齢は2300~2700年で、カリフォルニア州のセコイア国立公園にその巨木を構えている。

【子供との大きさ比較】

(via wikimedia/Neal Parish)

2006年に長さ30mの木の枝が折れて、この木を囲っていたフェンスが破壊されたが、樹木自体に健康上の問題はなく、現在も成長を続けているとのことだ。

ロケット:サターンV

(via wikipedia)

重量:2,767トン(シャーマン将軍の木の1.6倍)

1969年に人類を初めて月に送ったロケットがサターンVであり、アポロ計画で用いられた史上最大のロケットとして知られる。

【サターンVのF1ロケットエンジン】

(via wikipedia)

全長は110m、直径は翼を除いても10m、総重量は2721トンに達し、低軌道に118トンもの人工衛星を打ち上げる能力を持っていた。全部で13機製造され、合計24名の宇宙飛行士を月面に到着させた。

陸上車:Bagger 293

(via MrFlow)

重量:14,200トン(サターンVの5倍)

バケットホイールエクスカベーターと呼ばれる鉱石採掘用の重機である。ドイツの掘削重機メーカーのTAKRAFが製造し、ドイツ国内の石炭掘りに使用されている。驚くべきことにその全長は225m、重量は14,200トン、全高は96mと非常に大きい。

【Bagger293の動画】

アームの先端に回転式の巨大なホイールが付いており、そこで掘削し、採掘された鉱物はアーム内のベルトコンベアで運ばれる。1日で最大24万トン採掘ができる。ただし操作には5人が必要で、16.5メガワットもの電力が必要なため、外部電源をつながなければならない。

可動物体:メスラントケリンク

(via Nick Ottens)

重量:26,500トン(Bagger293の1.9倍)

可動する構造物として世界最大なのが、防潮壁のメスラントケリンクである。これはヨーロッパで一番の輸送量を誇るロッテルダム港を洪水から守る役目を果たしている。1万年に1回レベルの猛烈な嵐でも、この壁は耐えることができるという。

【メスラントケリンクが閉まるところ】

潮位が3m以上になると予想された場合、長さ210m、高さ22mのゲート2枚がスーパーコンピュータの制御により稼働し、自動的に閉まる。1997年に完成してから高潮により閉鎖されたのは一度だけである。ただし万が一に備えて、1年に1回は閉鎖のテストが行われている。

船:パイオニアリング・スピリット

(via ship-technology)

重量:84.5万トン(メスラントケリンクの31倍)

スイスの海洋開発会社であるオールシーズが設計し、約3000億円の費用を投じて2013年に完成させた世界最重量の船である。その大きさは全長382m、幅124m、重量は84.5万トンになる。

この船は、海上の石油プラットフォームの建設や海底のパイプライン敷設に用いられている。2017年にはトルコからロシアまでの1090kmに及ぶ天然ガスパイプラインの海底敷設にたずさわった。

人類が作り出したもの:万里の長城

(via wikipedia)

重量:約5270万トン(パイオニアリング・スピリットの62倍)

長さ2万kmにおよぶ中国の万里の長城は、人類が作り出した最も重いものである。遊牧民族の侵攻を迎撃するために、紀元前3世紀ごろから建設が始まり、14~17世紀の明代に大部分が完成した。その重さは推定で5270万トンになるという。

宇宙:OJ 287(ブラックホール)

【中央が宇宙最大とされるブラックホール】

(via researchgate)

重量:10^37トン(単位だと10澗(かん)、太陽の180億倍)

現在分かっている中で、宇宙で最も重たいものは、かに座の方向に地球から35億光年離れた位置にあるブラックホールである。このブラックホールは巨大な銀河の中心にあるとされ、そのブラックホール半径は約530億kmで、太陽の3.8万倍に達する。

(via medium)

そしてこのブラックホールの周囲には、11~12年周期で公転する小さなブラックホールが存在する。小さいといっても、太陽の1億倍の重さだ。

私達の住む天の川銀河にも、その中心には超大質量ブラックホールがあるとされるが、その質量は太陽の400万倍である。この2つのブラックホールがいかに大きいかが分かるだろう。

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雑学

Posted by uti