5万人が犠牲者に。魔女の見分け方6つ(魔女狩り)

15~18世紀のヨーロッパでは、悪魔と契約してキリスト教社会の破壊をたくらむ魔術使いを裁くため、疑わしき人物は裁判にかけられた。その結果、多くの人々が無実の罪を押し付けられ、火あぶりや首吊りにより処刑された。

その犠牲者数は4~6万人と言われている。これを日本では魔女裁判と言うが、犠牲者は女性だけでなく、2割は男性が占めていた。

この魔女裁判にかけるため、魔術使いと疑わしき人物を見分ける方法があった。今回はその方法を6つご紹介していこう。

1.悪魔の印

(via wikimedia)

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人間が悪魔に服従を誓い、契約を結ぶとき、悪魔はその証として契約者に焼印、あるいはその爪で傷痕を残していくとされた。その印が刻まれる場所は、体のあらゆる部位が対象となり、たいていまぶたの裏や脇、体にある穴など隠れた場所にあると考えられていた。

【良性のホクロも魔女の証とされることがあった】

(via wikimedia)

魔女と疑われた人物は、皮膚のあらゆる変色、ホクロや傷跡、生まれつきのアザが、悪魔の印の候補に挙げられ、くわしい調査が行われることになった。

出血せず、痛みも感じない

【悪魔の印を探している様子】

(via wikimedia)

悪魔の印が刻まれた部位は、どれだけ刺しても、切っても出血せず、痛みも感じないと信じられていた。 だから魔女かどうかを調べるために、専用の針を用いて怪しげな部位を突いた。魔女でなければ、苦痛にうめき、患部から出血するはずだった。

【魔女狩りに用いる針】

(via wikimedia)

針刺しによる魔女狩りは、ヨーロッパ中で行われていた。当時は「魔女狩り師」という専門職があり、彼らが上記の道具を使って魔女の正体を暴くことで生活費を稼いでいた。

だが彼らの調査は、ほぼインチキであったとされる。彼らは魔女を見つけないとお金をもらえなかったので、針刺し用の道具に細工をしていた。たとえば針の部分が引っ込むようにしたり、刃が切れないように加工していたりした。こうすることで、皮膚から出血もしないし、痛みも感じないから、簡単に魔女に仕立て上げることができたのだ。

2.水に沈まない身体

(via wikimedia)

魔女を識別する方法として最も有名なのが、水泳試験だろう。魔女と疑いのある人物をロープで結ぶか、ズタ袋に入れて川や湖に放り込む。もし沈めば、その容疑者の潔白が証明され、沈まなかったら魔女とされた。だが、たとえ身の潔白が晴れたとしても、この試験で溺れ死んでしまうことも多かった。

どうしてこんな試験で見分けられるのかというと、水はキリスト教の洗礼に使われる聖なる物質であり、魔女のような大悪を拒絶すると考えられていたからだ。

【現代でも川で洗礼(浸礼)が行われる】

(via tes)

水泳試験によって最初の犠牲者が出たのは1612年のことで、その犠牲者は雇い主から家畜を殺したとして無実の罪を押し付けられたメアリー・サットンであった。彼女は水泳試験にかけられ、水の中に放り込まれた。

彼女は少し沈んだものの、水面に上がってきてしまった。また体をつないでいるロープを上下に揺り動かしても、沈むことはなかったという。こうして彼女は魔女と断定され、母親とともに同年の4月7日に首吊り刑に処された。

3.悪魔の乳首

(via wikipedia)

魔女は、小悪魔のインプや使い魔に栄養を与えるため、体のどこかに第三の乳首を隠し持っているとされた。魔女はこれらの魔物に第三の乳首で母乳を与えたり、あるいは動物を生贄に捧げたりする代わりに、これらの魔物を自由に使役できた。

特に体の中にある突起物やシワが、悪魔の乳首であるとして候補に挙げられやすかったようである。

【インプ(リンカン大聖堂の彫像)】

(via wikimedia)

また悪魔は、夜になると魔女のもとへ訪れ、この乳首を吸いに来ると考えられていた。そして時には魔女の体に種を植え付け、妊娠させた。その魔女から生まれた悪魔との混血児「カンビオン」は、悪魔の乳首からしか飲まないとされた。

もし、この混血児に7週7日連続で第三の母乳が与えられると、カンビオンは即座に成人し、父から受け継いだ超自然的な力で大きな災いをなすと信じられていた。だがもし、この間に妨害が入れば、再びこの過程は最初からやり直しになるという。

4.聖書よりも軽い体重

(via wikimedia)

魔女は悪魔に魂を売ったとされる存在であり、魂が無い分だけ体重が軽いとされていた。これに加え、魔女はホウキで空を飛ぶので、飛べるくらいの軽さしか無いと思われていた。

魔女と疑いのかかった女性は天びんに乗せられて、金属張りの聖書の重さと比較され、体重が軽ければ魔女、そうでなければ潔白が証明された。一体何の聖書が重さの基準に使われたのかは分かっていないが、少なくとも聖書全巻で20㎏以上あったとされる。

【実際に使われた天びん】

(via jw)

しかし、検量官は頻繁にわいろを贈られていたため、疑いのかかった女性が乗る天びんに、聖書よりも軽くなるよう細工を施していた。それゆえ、多くの人がこの計測によって魔女として断罪され、殺されることになったという。

5.うそ泣き

(via bertknot)

魔女は真実の涙を流すことはできない。なぜなら魔女は既に完全な人間ではなく、人間の自然な感情を持つことができなくなっているからだ。

そのため魔女裁判では、裁判官が魔女の嘘泣きに用心しなければならなかった。魔女は自らのつばを使って、まるで泣いているかのように見せかけ惑わすことがあったのだ

6.主の祈りを暗唱できない

(via fic: crocodile tears |)

主(しゅ)の祈りとは、神への祈りを捧げる時に唱えるキリスト教の祈祷文である。日本語では「天にまします我らの父よ。ねがわくは御名〔みな〕をあがめさせたまえ。(中略)アーメン」となっている。

当時ヨーロッパでは、キリスト教を熱心に信仰する人がほとんどだったから、誰もがこの祈祷文を暗唱できることを期待されていた。だが悪魔と契約を交わした者は、それを出来ず、また聖書の暗唱も出来ないとされた。

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Posted by uti