人間の脳がどれくらいすごいか分かった実験

2013年に行われたある実験についてお話しよう。

(via maxpixel)

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ドイツと日本の研究者が、当時世界で4番目に高性能なスーパーコンピュータ『京』を使用して、人間の脳の活動を”1秒間だけ”シミュレーションする実験を試みた。

その当時、スーパーコンピュータ『京』は本物の怪物だった。9万個近くのCPUと140万ギガバイトものRAM(メモリ)を積み、1秒間で1京回(10^16)もの浮動小数点数演算を行う処理能力を誇っていた。

【スーパーコンピュータ『京』】

(via wikimedia)

一般的にスーパーコンピュータは、数メガワットにもなる大量の電力を消費する。このようなシステムに電力を供給する費用は莫大である。

例えば消費電力が4メガワットで、電気料金が1キロワットアワー(kwh)あたり25円なら、1時間あたり10万円、年間では8.76億円もの電気代がかかる。

(via riken)

また冷却も大きな問題となる。スーパーコンピュータは非常に多くの熱を発生させるため、CPUが過熱しないように複雑な水冷システムを必要とする。それゆえ『京』とそれに必要な設備を収容するだけで、地上6階建ての建物になった。

【『京』が設置された理研のビル】

(via wikimedia)

さて、実験に戻ろう。

『京』は17億3000万個の神経細胞と10兆個以上のシナプスの相互作用をシミュレートすることに成功した。

この数はとても多いように聞こえるかもしれないが、人間の脳のネットワークの1パーセントに過ぎない。

(via maxpixel)

とても興味深いのは、建物全体を占有し、1時間に10万円相当の電気を消費し、一定の冷却とメンテナンスを必要とする巨大なコンピュータが、”40分かけて”ようやく脳の1秒間の「部分的な」活動をシミュレーションできたということである。

脳が1秒でやってのけることを、スーパーコンピュータは40分もかけたのだ。

それだけ、人間の脳がすごいということだろう。

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雑学

Posted by uti