サルに関するあまり知られていない事実(雑学集)

今回は、あまり知られていないけれども、色んな人に知ってほしいサルの雑学をご紹介します。

1.サルの種類はおよそ250種いる。そのうち50%は25~50年後に絶滅する可能性がある

(↓すでに数千匹しかいない絶滅寸前のサルたち)

左から時計回りにゴールデンモンキー、ワオキツネザル、ウズングワレッドコロブス、アザラヨザル、スマトラオランウータン、ジャワスローロリス

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およそ250種におよぶサルの75%が、牛の放牧、ガスやオイルの掘削、鉱山、材木の切り出しなどで生息地が破壊され、その個体数を減らしています。そのうち半分は今後50年以内に、地球上から姿を消す可能性が高いとされています。

また現在、この世界から消えようとしているサルもいます。中国の海南省にしかいないカイナンテナガザルは、たった28匹しか残っていません。

(↓まもなく絶滅をむかえるかもしれない、カイナンテナガザル)

(SaveMeNow)

人の手による繁殖が熱心に行われていますが、現在のところ一度も繁殖に成功しておらず、その数は年々減少しており、絶滅をまぬがれるのは困難とさえ言われています。

(↓四角で囲った部分が、カイナンテナガザルの生息する海南省)

(wikimedia)

2.ヨーロッパには、サルが1種類しかいない。しかもそれは、人為的に移入された種である

(Wikimedia)

日本にも野生のサルはニホンザルの一種しかいませんが、日本よりずっと広いヨーロッパにもたった1種類しかいません。

そのサルはバーバリーマカクと言う名前で、主に北アフリカに生息していますが、唯一ヨーロッパにもいるサルです。またヨーロッパの個体は全て、「ジブラルタルの岩」におり、すべてイギリス海軍が人為的に導入した種です。

(↓ジブラルタルの岩とその場所)

(Wikimedia)

導入された個体がジブラルタルで繁殖して、この場所に定着するようになったのです。現在のところ、ジブラルタルの岩にいる個体はたった230匹です。

ちなみにアメリカやカナダ、ロシアなどには、野生のサル自体がいません。逆に、ブラジル、マダガスカル、インドネシア、コンゴ共和国の4つの国では、合わせて150種以上が生息しています。

3.オマキザルのオスは、メスを惹き付けるために、自分の体に小便をかける

(wikimedia)

オマキザルのオスは、自分の手に小便をかけて、それを体毛に塗る習慣があります。これは匂いの強い小便の香りを毛にまとわせることで、メスに自分が独身であることを伝える役割があります。

成体のオマキザルの尿には、男性ホルモンが含まれており、これがメスをひきつける要因となっているようです。なので、子どもの尿を毛に塗ったとしても、メスが反応することはありません。

4.タイでは、ココナッツの収穫にサルが利用されている

(Corbis)

タイに生息するブタオザルは、ココナッツの高い木に登り、その実を落とす役目を400年以上担ってきました。

動画:訓練を受けたブタオザルがココナッツを収穫


オスのブタオザルは1日に約1600個、メスは約600個のココナッツを収穫します。人間だけだと平均80個ほどしか収穫できないことを考えると、ブタオザルは地元のココナッツ産業に欠かせない存在だと言えます。

5. 5歳になる前に誘拐され、ジャングルに置き去りにされてサルに育てられた女性がいる

(Collective Evolution)

マリーナ・チャップマンさんは、コロンビアの森の中に置き去りにされ、約5年もの間オマキザルと一緒に暮らしていた女性です。

彼女はジャングルでの生活で、木登りに加え、鳥やウサギを素手で捕まえることができるようになったと言います。またオマキザルと一緒に、木の上で昆虫や果実を食べ、時には毛づくろいもしあったといいます。彼女は、まるでターザンのような暮らしをしていたのです。

その生活も長くは続かず、5年目に森の中でハンターに見つかり、連れ去られて、今度は売春宿に売られてしまったのです。その後すぐに宿を逃れ、路上生活へ、そして修道院生活を経て最終的にイギリスへ移住し、現在は結婚して2人の娘と3人の孫がいます。

(↓現在のマリーナ・チャップマンさん)

(Fiboni)

6.タイでは、カニクイザルが髪の毛を使って歯の隙間掃除をする

(factslides)

カニクイザルは、ココナッツの実から取った繊維や小枝を使って、歯の掃除をすることで知られています。ですが、タイ・ロッブリー市の寺院に住むカニクイザルたちは少し変わっていて、寺を訪れた人たちの頭の上に乗り、髪の毛を引っこ抜いて、その髪の毛をデンタルフロス代わりに使うのです。

また、その習慣は親が子どもたちに教え、世代を通して受け継がれるため、ここに住むほぼ全てのサルが、髪の毛を使って歯の掃除を行います。

(↓自分の子どもに歯の掃除の仕方を教えるサル)

(Daily Express)

7.世界最小のサルは、マダムベルテネズミキツネザル。体長は平均9.2cm

(animaladay)

マダムベルテネズミキツネザルは、2000年に新種として登録されたばかりの重さ30gほどしかない世界最小のサルです。マダガスカルの乾燥した森に生息し、エサとなる昆虫やフルーツ、カメレオンなどのは虫類を探して、樹上を動き回っています。

(↓赤ちゃんはもっと小さい)

(incolors)

体に対して比較的大きな目が特徴的で、この目のおかげで夜でもはっきりと物を見ることができます。また、寒くなると一時的に冬眠に近い状態になることでも知られています。

一時的な冬眠状態になると、体温は周囲の気温と同じくらいまで下がり、ほぼ動かず、水分も食べ物も摂取しなくなるため、エネルギーの消費量が極端に減ります。

8.史上最大のサルは、ギガントピテクス。身長は3mに達する

(Banana)

現在の中国、インド、ベトナムに900万年~1万年前まで生きていたとされるサルです。発掘された化石から全長は3m、体重は540kgになると推測されており、この大きさのおかげで当時同じ地域に生息していたヒョウやトラ、クマのエジキにされることはなかったといいます。

その大きさにも関わらず、食べるものはもっぱら葉っぱや竹など、草食に徹していたとされます。

9.かつてアメリカ・インディアナ州で喫煙して逮捕され、有罪判決を受けたサルがいる

(damncoolpictures)

1924年、インディアナ州のサウスベンドで、サルが喫煙したとして逮捕されました。

その頃、インディアナ州では喫煙が厳しく取り締まられており、州の法律で喫煙は禁止されていました。例え、それがサルであったとしてもです。
このタバコを吸ったサルは有罪判決を受けて、2500円の罰金を払うよう命じられたといいます。

10.マンドリルは最もカラフルなサルである

(Flickr/Mathias Appel)

マンドリルは、カメルーンやカボン、コンゴなどのアフリカ地域に生息するヒヒで、最大1000匹に及ぶ群れを作って暮らす社会性動物です。

色は、お腹の部分が白く、体の上側は黄色と黒のストライプで、全体は薄緑あるいは濃い灰色の毛皮でおおわれています。そして頭部の突き出た鼻の部分は赤く、その側方は青色になります。

(↓お尻もカラフルになっている)

(Wikimedia)

顔や体毛よりお尻の方が色鮮やかで、赤やピンク、青、深紅、紫色などを示します。

(↓メスはオスのように派手ではない)

(wikipedia)

この模様が現れるのはオスだけで、メスはかなり地味な色合いです。それだけでなく、オスは犬歯もかなり大きくなり、最大4.5cmにも達します。

(↓最大4.5cmに達する犬歯)

(mikeoliveri)

よりカラフルなほど階級が上。階級が上位になると、自然と色鮮やかになる

(↓カップルになったオスとメス)

(sandiegozoo)

カラフルなマンドリルほど、サル社会の中で階級が上となり、子孫を残せる可能性が高まります。この鮮やかさは、男性ホルモンの量が大きく関わっていて、より男らしいオスほど刺激的な色合いになり、若い個体や順位が下にいるものほど地味な色合いとなります。

また、順位の低いマンドリルがオス同士のケンカに勝利して、順位が上がると、男性ホルモンが多量に分泌されて毛色が鮮やかになり、リーダーとしての風格を見せるようになります。

11.ホエザルは世界で最もうるさいサルである。朝から夜までずっと吠えっぱなし

(wikipedia)

ブラジルやメキシコなど中央・南アメリカに生息している尻尾の長いサルです。樹上で集団生活を送っており、朝から晩まで一日中吠えています。その鳴き声は4.8㎞離れた先でもはっきり聞こえるほどであり、「最もうるさい陸生動物」としてギネス世界記録にも認定されています。

【動画:けたたましくほえるホエザル(33秒より)】

どうして吠えるの?

(wikipedia)

ホエザルは6~15匹の集団で「縄張り」を作って生活している動物です。それゆえ、他のグループが勝手に自分の縄張りに入らないように、この鳴き声を使って縄張りを主張しているのです。

縄張りに侵入してきた者に対しては、通常より音量を上げてけたたましく吠え、その鳴き声で相手を追い払います。

12.絶滅したと考えられていたサルが、およそ40年ぶりに発見され、そのサルの写真撮影に初めて成功した(2015年)

(↓絶滅したと思われたサルを撮影した史上初の写真)

(sci-news)

ブービエ・レッド・コロブスは、かつてアフリカのコンゴに生息していたサルです。1970年以降は一度も姿を現しておらず、絶滅したと考えられていました。

しかし2015年2月、ベルギーとコンゴの霊長類学者が偶然にもコンゴ北部の保護区域の森で、このサルを発見したのです。森の樹上に居たのは、メスのサルとその子どもでした。学者らは、なんとかこのサルたちが逃げてしまう前に写真を撮影することに成功しました。

このサルが見つかったのは、まだ人間の手が着けられていない場所でした。この発表によって、人類未踏の奥地には、絶滅したと思われる種や新種がまだまだいる可能性が示されたのです。

13.テングザルの長い鼻は、オスがメスを誘惑するためだけに使われる

(↓オスのテングザル)

(wikipedia)

ボルネオ島でしか見られないとても珍しいテングザルは、最大長さ17cmにもなる突き出た鼻があります。メスも鼻は長くなりますが、オスほどには大きくなりません。

(↓メスのテングザル)

(wikimedia)

鼻が長いからといって、匂いに敏感であったりするわけではありません。その鼻は、オスがメスを惹きつけるためにあり、大きな鼻ほどメスに好かれるようになります。

個体差はありますが、基本的に年齢の高いオスほど大きくなるので、年をとるほど繁殖のチャンスが高まります。

14.人のように頭に大量の毛があるサルがいる

(zoochat)

ヒゲサキは、毛冠と呼ばれる二つに別れた房毛と、顔とほとんど同サイズの長いアゴヒゲがあるサルです。南米の熱帯雨林に生息しており、木の上でほとんどの時間を過ごしています。その数は生息地の破壊や狩猟によって減少傾向であり、絶滅寸前種に指定されています。

(trilliumcenter)

この毛冠やアゴヒゲは、テングザルと同様、メスを惹きつけるのに利用されているのではないかと考えられています。

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動物, 雑学

Posted by uti