見たことある?日本にいるフクロウの種類・11種

2018年7月6日

現在のところ、地球上には218種類のフクロウがいることが分かっています。そのうち日本にいるのは10種ほどです。今回は、日本にいる11種のフクロウたちをその生態とともにご紹介していこうと思います。

1.シマフクロウ

(via wikimedia)

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北海道の中部・東部でしか見られないとても珍しい種です。日本以外ではロシアや中国、北朝鮮に生息しています。

本種はフクロウの中で最大級の大きさを誇り、体長は60~72cm、翼を広げると最大190cmにもなります。確認されている世界最大のフクロウはカラフトフクロウですが、平均サイズではシマフクロウが勝ちます。

自分の数倍重い魚や小型犬を食べることさえある

(via BirdQuest)

英語ではフィッシュ・オウル(Blakiston’s fish owl)と呼ばれているだけに、魚を好んで食べます。水の中に脚を突っ込み、自分の体重の数倍もあるサケやナマズを捕らえることがあります。

ロシアに住む個体は、ザリガニ、カニなどの甲殻類も捕食しています。北海道ではテンやネズミなどのげっ歯類がよく捕食されています。

そして比較的大きなほ乳類であるウサギ、キツネ、ネコ、小型犬もシマフクロウのエサとなることがわかっています。

個体数は極めて少ない

シマフクロウの住処となる水辺のある森がダム建設等によって減少したことで、現在では絶滅危惧種に指定されています。北海道にいる個体はたった100~150匹です。また国外の個体数を合わせても数千羽にしかなりません。

北海道では森に大きな巣箱を設置するなどして、シマフクロウが繁殖できる環境を整えるなどの地道な保護活動が行われています。

アイヌ民族の神としてまつられていた

シマフクロウは、アイヌ語で神を意味する「カムイ」の一種で、コタンコロカムイと呼ばれています。村の守り神としてあがめられ、大切に保護されていたのです。

一方でシベリアに住む先住民エヴェン族にとっては、大事な食料源でした。大量の脂肪を含んでおり、過酷な寒さで食料が乏しいシベリアではエネルギー摂取に重要な役割を果たしていたのです。

2.シロフクロウ

(↓オスのシロフクロウ)

(via Pixabay)

純白の羽衣をまとったフクロウです。夏は北極地方にいますが、冬になるとエサを求めて北海道にやってきます。鳥取、広島で目撃されたこともあります。

オスは白色の羽毛ですが、メスやヒナの羽毛は黒色のしま模様が入ります。

(↓メスのシロフクロウ)

(via wikimedia)

(↓子供。オスの場合、大人になるにつれ黒の羽毛が白くなる)

(via wikimedia)

フクロウの中でもかなり大きな部類で、体長は52~71cm、翼を広げると120~150cmになります。体重は1.6~3kgほどで、平均寿命は9年とされています。

昼でも活発に動き、巣は地面に作る

(via wikimedia)

ほとんどのフクロウは夜行性です。しかし本種が住む北極圏では、百夜で1日中明るいことから昼夜問わず行動します。

また多くのフクロウが樹上や樹木の中に巣を作りますが、シロフクロウは開けた大地に作ります。いつでも狩猟が行える視界が良好な雪の無い高台を好み、ワシの古巣を使うこともあります。

ほとんどを地面の上で生活しているため、木に止まることはあまりありません。

ちなみにハリーポッターに出てくるフクロウが、このシロフクロウです。

3.ワシミミズク

(via wikimedia)

ミミズクというのは、耳のような形状の羽が生えているフクロウの一種です。ワシミミズクの生息地は主にヨーロッパなどのユーラシア大陸ですが、ごく一部は北海道北部に生息しています。また北方領土でも見られます。

ワシミミズクは、シマフクロウなどと並んで世界最大級のフクロウです。最大個体は75cm、翼を広げると188cmに達します。

(via wikimedia)

主にネズミなどの小型ほ乳類を捕食していますが、ノウサギや子鹿なども捕まえることがあります。野生での寿命は最大で20年ですが、飼育下では60歳まで生きた個体もいます。

(via Pixabay)

感電死が大きな問題になりつつある

ワシミミズクの死因の38.2%が、鉄塔の送電線に触れることによる感電死となっています。フィンランド国内の調査では39%が感電死、22%が乗り物との衝突死となっています。

また飼育後に野生に放たれた27羽の幼年個体を調査したところ、1年以内に感電死したのは15羽で、55%にも達したことが分かりました。特に若い個体ほど感電死の割合が高くなります。

現在のところ世界には25万~250万のワシミミズクがいて、絶滅の心配はないとされていますが、大きな問題になりつつあります。

4.トラフズク

(via wikimedia)

本州および北海道で見られるフクロウです。分布域はかなり広く、ヨーロッパ、アメリカ、エジプト、モロッコなどにもいます。寒い地域に住んでいる個体は、冬になると南側に移動してきます。

(via wikimedia)

英語ではロングイヤーオウル(長い耳のフクロウ)で、耳状の長い羽毛(羽角)が一番の特徴です。これまでに紹介したフクロウと比べると小さめで、体長30~40cm、翼開長は86~100cm、体重は178~435gしかありません。

(↓トラフズクの赤ちゃん)

(via wikimedia)

ほとんどを樹上で過ごし、巣はカラスやカササギが枝で作った古巣を再利用しています。食べ物はネズミなどの小型ほ乳類、鳥類です。ヨーロッパではモリフクロウと競争関係にあり、モリフクロウがいる地域にはトラフズクがいません。その逆もあります。

5.コミミズク

(via Rick Leche/flickr)

鳥類の中でもかなり広範囲に生息しているフクロウで、南極大陸とオーストラリア以外の全大陸にいます。コミミズクの「コ」は耳のような羽毛(羽角)がとても小さい、あるいはほとんど無いことから名付けられたものです。

コミミズクは、ガやコウモリと似た不規則な羽ばたきをすることが特徴の一つです。サイズはトラフズクと同じくらいで体長34~43cmほど、体重は206~475gです。

(↓コミミズクの巣と親子)

(via Flickr/Stephanie)

本種はシマフクロウと同じく、地上の開けた場所に巣を作ります。そこに4~7個の卵を生み、21~37日抱卵するとヒナがかえります。

エサの多くがハタネズミで、このネズミが減ると他のたくさんいる場所に移動します。ハタネズミが多い地域では、昼夜問わず活動して、できるだけ多く食いだめします。

6.コノハズク

(via wikimedia)

本州南部では1年中見られ、北海道や本州北部には夏にだけやってきます。日本にいるフクロウの中では最も小型で、体長19~21cm、翼を広げた長さは47~54cm。体重は64~135gの範囲に収まります。

体色は茶色がかっており、樹皮のような模様をしています。この模様のおかげで樹木にまぎれることができ、獲物の捕獲成功率が高くなっています。

(↓木にカモフラージュしている)

(via wikimedia)

フクロウとしてはかなり小さいので、食べる物も昆虫やネズミなどの小さな生物がメインとなります。

7.リュウキュウコノハズク

(via フォト蔵)

沖縄、台湾、フィリピンだけで見られるコノハズクの一種です。全長は22cmほどで虫が食ったような褐色の模様が腹側にあります。森林や山地に生息し、日中は樹上で休み、夜になると活発に動き出します。

8.オオコノハズク

(via opencage)

コノハズクよりも若干大きく、体長25cmほど。翼を広げた大きさは約57cmになります。体色は茶色で、目はだいだい色、後ろ側にはグレーのまだら模様があります。

夏に北海道へ飛来し、それ以外の地域では年中生息しています。主に昆虫を食べますが、ネズミやトカゲ、小鳥を食べることもあります。

9.キンメフクロウ

(via Boreal owl)

日本では北海道に極わずかいるのみで、めったに見られないフクロウです。北アメリカやユーラシア大陸北部にも生息していますが、臆病な性格で人間の寄り付かない寒帯林の中にいるため、遭遇できる可能性はかなり低いです。

体に対して頭が大きく、小型サイズで体長は22~27cm、翼を広げると50~62cmです。この小ささのため、大型のフクロウのエサになることがあります。

(via Boreal Owl/flickr)

夜行性ですが、最北端にいる個体は白夜のため昼間でも狩りをします。主なエサは昆虫と小鳥、ネズミです。

10.アオバズク

(via wikimedia)

日本を含むアジア地域を主な生息地としているフクロウです。日本には春以降、繁殖のために飛来します。神社林へ昆虫を食べに来ることが多いため、日本にいるフクロウの中では最も身近な存在です。

アオバズクという名前は青葉が茂る季節にやってくることから名付けられています。またタカのようなシルエットから、英語ではブラウン・ホークオウル(茶色のタカのフクロウ)という名前が付いています。

(↓アオバズクのつがい、縮んでいるのは危険を察知したため)

(via wikimedia)

11.フクロウ(ウラルフクロウ)

(via wikimedia)

日本全国に生息する一般的なフクロウで、亜種として北海道にエゾフクロウ、本州中部にモミヤマフクロウ、九州・四国にキュウシュウフクロウがいます。北にいるほど体色が白に近く、南にいくほど暗色になります。

(via Public Domain)

フクロウ類の中では大型で、体長は50~61cm、翼開長は110~134cmに達します。木の洞を主な巣としていますが、他の鳥の古巣や屋根裏、巣箱なども住処として利用しています。

(↓巣箱を巣とするフクロウ)

(via wikimedia)

他のフクロウ類と同様に夜行性で、主にネズミなどのげっ歯類、カケスなどの小鳥を捕食しています。またその他にもモグラ、リス、カエル、昆虫など様々な生物をエサとしています。

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Posted by uti