人肉を食べると起きること(共食いによる体の影響)

2018年12月22日

人肉食の歴史は古い。およそ10万年前のネアンデルタール人の骨から、その痕跡が見つかっている。頭蓋骨などに穴が開けられた痕が残されており、彼らは骨髄や脳を食していたとされる。

だが人肉食は倫理的な問題以外にも、様々な危険がつきまとう。今回は、人肉食によってどんなことが起きうるのかご紹介していこう。

プリオン病で死亡する場合がある

【プリオン病によって、たくさんの穴が開いた組織】

(via wikipedia)

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人肉食は非常に大きなリスクをともなう。人肉に含まれ得るプリオンという感染物質が、健全なタンパク質をプリオンに変えてしまい、致死的なプリオン病を引き起こすのだ。

この病気にかかると脳内にプリオンが侵入し、脳組織をスポンジ状にして脳機能障害を引き起こす。アルツハイマーと似た症状が現れ、たいてい6~12ヶ月で死にいたる。治療法は現在のところ存在せず、致死率はほぼ100%である。

このプリオンは、筋肉や臓器の神経組織に存在することがあるが、一番多いのは脳や脊髄である。そのためそれらの部位を食すと、この感染症にかかるリスクは高くなる。

【脳と脊髄が一番の危険因子】

(via Wikimedia)

またプリオンは、ウイルスや細菌、寄生虫等のようにDNAやRNAを持たないので、熱で破壊することができない。そのため、加熱調理によってプリオン病を予防することはできない。

実際に、人肉食でプリオン病(クールー病)を発症していた部族

【フォレ族】

(via mandegar)

1960年代以前、パプアニューギニアのフォレ族の間では、得体の知れない病気によって毎年200人が亡くなっていた。

その病気は、最初に体の震えやどもりが現れ、病状が進むと歩行困難になり、激しい震えが起こった。ときには制御できないヒステリックな笑いも見られた。最終的には寝たきりとなり、発症から3ヶ月~2年で死亡した。

【プリオン病(クールー病)を発症した子ども】

(via wikipedia)

フォレ族は、この病気が恐ろしい呪いによって起こされるものだと信じていた。だが研究者らの調査で、彼らの葬儀習慣がこの病気をもたらしていたことが明らかになった。

フォレ族は、死亡した者をばらばらにして食べる習慣があったのだ。女性と子どもは脳を食べ、男性は筋肉を食べた。そのため、プリオンを含有しやすい部位を食べた女性と子供の感染率は、男性の8~9倍に達した。

食人習慣は1960年半ば、キリスト教宣教師らの努力によってほぼ終焉した。しかし、この病気には40年以上におよぶ潜伏期間があるため、2000年代になっても発症者が現れている。最後の感染者の死亡は、2005年のことである。

死体の血液で、病気に感染することがある

(via Max pixel)

人肉は適切な処理を行わなければ、HIV、エボラ出血熱など血液から感染する様々な病気にかかる場合がある。

特に人肉の解体時、感染者の血液が傷口などから入り込んで、それらの病気を引き起こすことが考えられる。またきちんと加熱しなかった場合にも、ウイルスが死滅しないため、感染のリスクが高まる。

便秘になるかもしれない

(via dynali)

食人が行われた事例として、ウルグアイ空軍機の墜落事故がある。墜落したアンデス山脈で救出されるまでの72日間を生き延びた人たちは、遺体の肉と雪を食べて飢えをしのがなければならなかった。

彼らはその間、ひどい便秘を経験した。人肉のタンパク質と水分だけしか摂取していなかったために、長い人で35日間も便が出なかったという。だが、これは人肉食に限った話ではなく、野菜など食物繊維を含む食べ物を摂取しなかったことが原因にあるとされる。

人肉は、他の肉よりも低カロリーで食べても太りにくい

(via ailovei)

人間の筋肉と様々な動物の筋肉1kgあたりの平均カロリー数を比較すると、人肉は1300kcal/kgであり、牛肉の60%しかない。また熊肉やイノシシ肉に比べると30%ほどである。

そのため他の肉と同量の人肉を食べた場合、カロリー数が少なくなるので太りにくい。だがエネルギーが少ない分、緊急時の食料として最適ではなく、その観点では他の肉に軍配が上がる。

参照:iflsciencerankerthevergeScience Insider

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雑学

Posted by uti