世界で最も深い場所・マリアナ海溝(チャレンジャー海淵)の事実
世界で最も高い場所であるエベレストには数千人が登頂を成功させていますが、最も深い場所であるチャレンジャー海淵の海底に到達した人はたった3人です。
マリアナ海溝はどこにある?
(via Google map)
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北大西洋のグアムから約320㎞南西に行ったところがマリアナ海溝です。
深さはどれくらい?
(via Our Mother Ocean)
マリアナ海溝の最も深い場所はチャレンジャー海淵と呼ばれ、 水深10,994 m(誤差±40m)に達します。
(via deepseachallenge)
マリアナ海溝は三日月の形をしており、その長さは2550km以上、幅は69kmにおよびます。
深いだけに圧力はとんでもない
(via Deep Sea News)
チャレンジャー海淵の海底では、1平方cmあたりにかかる力が1.1トンにもなります。
これは私達が過ごしている地上の1000倍以上の圧力で、50機のジャンボジェットが体に乗っかっているレベルです。
あるいは、爪の上に1.1トンのオモリが乗っている感覚とも言えます。
人間が何の装備もなしにチャレンジャー海淵に向かえば、間違いなく圧死してしまいます。
チャレンジャー海淵の気温や視界はどうなっている?
(via livescience)
水深1000m以下では、海の水がどんなに透明であっても、太陽の日差しは届きません。それゆえ、海底1万mでは完全な闇に覆われます。
また太陽光が一切届かないため水温は1~4℃であり、地球の平均海水面温度が17℃前後であることを考えると、非常に寒くて厳しい環境だと言えます。
酷寒で超高圧の厳しい環境だが、海底には生物がいる
(via Wikimedia)
光が全く届かない深海では、食物連鎖の最下位にいる植物プランクトンが光合成を行うことができないため、存在できません。それゆえエサも無く、超高圧環境下の冷たい海では、ほとんどの生物が生存不可能です。
しかし最近の調査で、水深1万mを超えるチャレンジャー海淵にも、上記写真のエビのような生物が生息していることが明らかになりました。
カイコウオオソコエビは、マリアナ海溝以外にも水深6000mを超えるフィリピン海溝や日本海溝、カムチャッコ海溝にも生息するヨコエビの一種です。
その大きさは最大4cmに達し、ヨコエビ科の中では巨大な種です。
一体何を食べている?
深海に住む生物たちのエサは主に、海の上側から落ちてくる生物の死体や植物となります。
上から降ってくるエサを頼りにする他ないため、食べ物は極めて少ないですが、外敵がほとんど存在しないため、浅い海に住む生物よりも長寿命で圧倒的に大きくなります。
実際に本種が属するヨコエビ科は1cmに満たないものが多いですが、本種はそれよりも大きく、4cm近くに達します。
その他の生物
(via gooodive)
1960年にチャレンジャー海淵に降りた2人によれば、名前はわかりませんが、30cmほどのカレイのような生物がいたと語っています。
また、実際に確証が得られたチャレンジャー海淵にいる生物としては、数cmのナマコやおよそ180種におよぶ微生物です。
(via wikimedia)
上の写真はチャレンジャー海淵で発見された、1個の細胞からなる単細胞生物です。殻を持つアメーバで、葉状の突起を出して活発に動きます。
(via TakePart)
確証が得られている最も深い場所に生息する魚類は、クサウオの一種だと考えられています。2014年に、マリアナ海溝の水深8145mで発見された新種で、体長は数十cmほどとされています。
オタマジャクシのような姿で、ウロコがなくゼリーのように柔らかい体をしています。
マリアナ海溝は中国の最も汚い川よりも、汚染が激しい
(via Emaze)
マリアナ海溝は地球上で最も隔絶されていると言って良いほどの場所ですが、人間による汚染はここに凝縮されているようです。
2016年にマリアナ海溝に生息する甲殻類の死体を調べたところ、中国で最も汚染されている川「遼河(りょうが)」よりも50倍多くの汚染物質が見つかったのです。
その汚染物質の多くが、1970年代に使用が禁止されたPCB(ポリ塩化ビフェニル)であり、これが不適切な管理によって海に投棄され、分解されることなく海底までたどり着いたと考えられています。
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