砂漠に住めるよう特殊能力を得た動物たち
今回は、砂漠に住む動物たちをご紹介します。そして彼らが砂漠のような過酷環境下でどのような能力を身につけ、どのように生き延びているのかについて見ていきたいと思います。全9種類です。
1.ニシアフリカワニ
(via wikimedia)
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ワニといえば水辺に住む動物と思われがちですが、本種は乾燥した地域に適応したワニで、サハラ砂漠にも生息しています。
暑さを乗り切るために夏眠をする
砂漠では数ヶ月に渡って雨が降らないことも珍しくありません。ニシアフリカワニはこの乾燥した暑さに耐えるため、クマが冬眠するのと同じように、夏眠に入るのです。
夏眠の間は何も食べず、エネルギーを消費しないよう動きを最小限にして、穴の中や洞くつでじっとしています。そして雨が降ると夏眠から抜け出し、水辺に向かいエサを探し求めます。
ワニにしてはかなり小さい
(via newscientist)
本種は成体でも大きさが1.5mほどで、ワニとしてはかなり小さい部類です。同じアフリカに住むナイルワニが全長5m以上になることを考えると、その小ささがよく分かります。
これは食料に乏しい砂漠に生息しているためで、食べられるものが少ない環境では必然的に小さくならざるを得なかったのです。
2.ノーザン・ボローイング・フロッグ
(via terrestrialecosystems)
オーストラリアのギブソン砂漠等に生息するカエルで、最大1.2mにもなる穴を掘り、そこを巣穴にして暮らします。
18ヶ月間近く絶食に耐えられる
(via terrestrialecosystems)
砂漠のように雨がまれにしか降らない環境で、カエルが生き抜く方法の一つは、雨の時期以外に活動を停止して極限までエネルギー消費を減らすことです。
本種は周囲に水が無くなると、巣穴にもぐって体中に粘液を塗り、何層にもなるマユを作ってサナギのようになるのです。この状態では体内の水分蒸発がかなり抑えられます。
同じような習性は、肺魚でも見られます。その間は代謝量が1/5まで減り、絶食でも数年間生き延びることができます。
もし雨が降って、このマユが柔らかくなると、カエルはマユから抜け出し、エサを求めて移動し始めます。
(via terrestrialecosystems)
3.モロクトカゲ
(via factzoo)
オーストラリアの砂漠に生息するトカゲで、体中にトゲを持っています。このトゲは外敵に食べられないようにするのが目的です。
また首の部分にある大きなコブは「ニセの頭」と呼ばれ、敵が迫ってきた時に本物の頭を下げ、「ニセの頭」を見せつけることで、相手にここだけを噛ませて、本体は守ることができます。
直接水を飲まなくても死なない
(via unique and interesting)
モロクトカゲは、全身に溝が走っており、そこからストローのように水を吸い上げ、その水を口の中に集めています。そのため、水を飲む時は口を付けず、足を水にひたすだけでも水分を取り入れることが出来ます。
このような能力のおかげで霧や雨の中でも効率良く水分摂取でき、乾燥した砂漠の中でも生き残ることができるのです。
4.フェネックギツネ
(via Flickr/Keith Roper)
主にサハラ砂漠に分布しているキツネで、大きな耳が特徴です。この耳には無数の毛細血管が走っており、そこから熱を逃すことで、体温調節を行い、砂漠の暑さから身を守っています。
(via blogqpot)
フェネックは全身が長く柔らかい体毛でおおわれているため、熱い砂地を移動するのに適しています。また砂地に最大120平米にもなる巣穴を作り、10匹以下の家族単位で暮らしています。この巣穴で昼間の日差しを避け、暑さがやわらぐ夜になると巣穴から出て活動し始めます。
(via Popular)
5.サハラン・チーター
(via wikimedi)
現在たった250匹しかいないサハラ砂漠に住むチーターです。他のチーターと見た目が明らかに違い、毛が短く、体色は白に近く、黒の斑点は薄く、顔に斑点が見られないなどの特徴があります。大きさも一般的なチーターより小型です。
生態が他のチーターとかなり異なる(夜行性)
(via REUTERS)
チーターは基本的に昼に活動する昼行性の動物ですが、サハラチーターは夜行性です。これは気温が45℃に達する暑さと乾燥で体内の水分を失わないために身につけた習慣です。
また直接水を飲むことは少なく、獲物からの血を飲み、体に水分を取り入れています。
2.サハラツノクサリヘビ
(via wikimedia)
二本のツノが特徴的なサハラ砂漠に住む有毒ヘビです。ただし、人間が死ぬような毒は保有していません。
本種は、危険が迫るとウロコ同士をこすり合わせて、ノコギリで木を切るような警告音を発生させることでも知られています。
体長は30~60cmほどの中型で、砂にまぎれるような保護色になっています。本種が砂の中に入ってしまうと見つけることはかなり難しくなります。
何も知らないまま本種に近づいてきた獲物は、一瞬のうちに毒牙を打ち込まれてマヒ状態になり、捕食されてしまいます。
基本的に砂漠の中でも、草木の生えているオアシスを好み、そこに集まる鳥やネズミが獲物となります。
ツノの何のためにある?
(via pixell)
様々な説があり、一つには、本種は砂の中に隠れることで擬態するので、砂の中から飛び出したツノが砂粒に見え、カモフラージュの効果が上昇するという説。
もう一つには、ツノは柔軟性があるので、砂の中に潜り込んだとき、このツノが曲がって目を保護してくれるのではないかということ。
その他にも、ツノは繁殖の際のペアを決定するのに利用されているなどが考えられています。現在のところ、どの説が正しいかは分かっていません。
7.ペッカリー
(via wikipedia)
ペッカリーはアメリカ大陸に分布するイノシシに似た動物で、森林、熱帯雨林の他、砂漠にも生息しています。発展途上国では家畜として育てられ、食料として利用されています。
サボテンを食べる
(via YouTube)
ペッカリーは、非常に頑丈な口と特殊な消化器系を持っているため、あのトゲトゲしく硬いサボテンを食べることができるのです。
(via Cactusinhabitat/wikimedia)
基本的に雑食で何でも食べるペッカリーですが、特に乾燥地帯にいる種はサボテン、特にオプンティアやクレイストカクタスを好んで食べます。
食べる時はたいてい固い鼻でサボテンを地面に転がしたり、牙を使ったりして、針を抜きます。そのまま口に入れた場合でも、針の部分だけは吐き出すようです。
また、サボテンには多量の水分が含まれているため、乾燥地域では食料源としてだけではなく、水分の摂取にも役立っています。
8.サハラン・シルバーアント
(via Wikimedia)
サハラ砂漠のみに生息しているアリです。生息地は70℃を超える高温環境であるため、本種は1日にたった10分しか外出しないと言われています。主食は暑さで死んだ昆虫で、このような獲物を見つけ次第、集団で獲物を運び、即座に巣へと撤退します。
暑さに適応する様々な能力を身につけている
サハラ砂漠のみに生息する生物はかなり珍しく、そのため普通のアリとは違った独特な能力を身に付けています。そのいくつかをご紹介します。
本種の脚の数は全部で6本ですが、走る時は熱い砂になるべく触れないように4足になります。前についている2本の脚を上げることで、このような走りを可能にしています。
(via wikipedia)
このアリは太陽の位置を目印にし、それをガイドにして自分の巣へ戻ることができます。短時間で自分の巣に戻ることができなければ、死に至るので、優れた方向感覚を持つようになったのです。
通常の動物は体温が高くなると、細胞がダメージを受け、体をまともに動かすことができなくなり死んでしまいます。
しかし本種は、巣穴から出る前に熱ショックタンパク質を体内に産出することで、極めて高い体温でも通常と変わらないレベルで動けるようになります。
ただし、これが効いていたとしても体温が53℃になると死んでしまうため、短時間で帰還しなければならないことには変わりありません。
(via wikipedia)
写真で見ると、光の加減でオレンジ色のように見えますが、実際は銀色の毛が生えています。
この銀毛は熱を伝達する赤外線の他、可視光線の反射率が非常に高く、体温が上昇するのを防いでくれます。また、熱の放射能力も高いことが分かっています。
これにより、普通のアリに比べ5~10℃ほど体温を低く保つことができるのです。
9.アダックス
(via wikimedia)
サハラ砂漠に適応した動物であり、曲がりくねった大きなツノが特徴です。
季節によって毛色を変える
(via wikimedia)
砂漠の耐え難い夏の暑さをやり過ごすために、アダックスは夏になると全身が真っ白な体毛に生え変わります。この体色が日差しを反射し、体温の上昇をある程度防ぎます。
1ヶ月以上水を飲まないこともある
(via express)
アダックスは、植物や朝方の露から水分を摂取するため、水を直接川などから飲まなくても死にません。また、胃には水を貯めておく小さな袋があり、水分が足りないときはそこからまかないます。
それ以外にも、尿を濃縮させ、そこから水分をとることができます。このように砂漠に適応した省エネ型の動物であるため、動きが遅く、肉食動物のえじきになりやすいことが欠点となっています。
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フェネックギツネの可愛さったら