すでに絶滅した驚くべき人類・14種

2019年6月20日

既に絶滅してしまったが、かつて地球上には私達現生人類以外にも、二足歩行する別の種の人間がいた。その数は14種、あるいはそれ以上とされている。当記事では現生人類の仲間であるヒト属の種を時系列順にご紹介していこう。

1.ホモ・ハビリス

【ハビリスの復元イメージ】

(via wikipedia)

生存時期:約233万年前~140万年前

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現生人類とは最もかけ離れた人の仲間(ヒト属)であり、最も初期の人類である。背は低く、体に対して腕は長く、脳の容量は現生人類の半分ほどしか無かった。

だがハビリスは、初めて原始的な石器を用いた人類だとも言われている。

【岩石を割って作った石器】

(via wikipedia)

上記のような簡易的な石器で、動物を殺したり、その皮をはいで食べていたとされる。しかしそのような道具を使っていたものの、積極的な狩りは行わず、主に死んだ動物を食べていたようだ。

ハビリスの化石遺体はタンザニアで発見されており、遺体の痕跡から、そこに生息していた大型ネコ科動物などの主食になっていたとされる。当時ハビリスが生存していたころ、同じ土地には後に紹介するホモ・エレクタス等の二足歩行する人類がいた。

2.ホモ・エルガステル

【全身骨格】

(via wikipedia)

【エルガステルの代表例であるトゥルカナ・ボーイ(9歳で身長160cm)】

(via wikipedia)

生存時期:約190万年前~140万年前

アフリカ東部・南部にかつて生息していた人類であり、未だ論争中であるが、私達人類の直系の祖先だとされる。前述のハビリスに比べて、脳の容積は増大し、より突き出た顔になり、男女による体格差が小さくなって、現生人類に近づいた。

最も知られたエルガステルは、ケニアで見つかったトゥルカナ・ボーイである。彼は9歳にして身長が160cmあり、現代人よりもずっと成長が早かった。

またエルガステルは、より洗練された石器を使っていた。およそ160万年前ごろから両側が鋭利になった手斧を作っていたのだ。

【手斧】

(via wikipedia)

エルガステルは、これで木を切ったり、動物をカットしたり、その皮をはいだりするのに用いていた。そして、その発達した知能で、初めて火を操った人類ではないかとも言われている。また頚椎の骨格から初歩的な言葉を発することができたかもしれない。

3.ホモ・ガウテンゲンシス

【復元された頭蓋骨】

(via Australasian Science Magazine)

生存時期:約190万年前~60万年前

南アフリカの人類化石遺跡群で発見された人類であり、大きな歯が特徴的である。おそらくこれは植物をすりつぶすために発達しており、菜食メインだったことが考えられる。脳のサイズは小さかったものの、簡易的な石器の使用が確認されている。

またこの人種は、火を使っていた可能性がある。化石のそばに焼けた動物の骨が見つかっているためだ。身長は0.9mほど、体重は50kg前後しかなかった。地面では両足で歩行したが、睡眠や食事を含めほとんどの時間を樹上で過ごしていたとされる。おそらく会話はできず言葉を持たなかった。

またその骨格と生息時期から、現生人類の近縁種ではあるが、直系の祖先ではないと考えられる。

4.ホモ・エレクトス

【エレクトスの女性(左)、男性(右)復元イメージ】

(via wikipedia)

【エレクトスの骨格】

(via wikipedia)

生存時期:約190万年前~20万年前

ホモ・エレクトスは、あらゆる人類の中で最も生存期間が長かった。私達人類がまだ誕生してから20万ほどしか経っていないから、その8倍以上も生きのびたことになる。

そしてエレクトスは、初めてアフリカから出た人類とされ、現生人類に次いで生息域を拡大した存在でもある。その化石遺体が見つかっている場所は、インド、中東、インドネシア、中国北部に及び、約50万年前にアフリカを出発してから海岸を通って分布域を広げていったとされる。

【エレクトスの分布域】

(via wikipedia)

インドネシアのジャワ島で見つかったエレクトスはジャワ原人として知られる。現在、ジャワ島は海に囲まれているが、かつては大陸の一部だったので、普通に歩いて到達可能であった。

エレクトスは、火を使い調理をした。調理によって消化に優れた高エネルギーの食事が得られるようなった結果、脳の発育が促され、知能レベルは上昇していった。そしてエレクトスは、現生人類の祖先となったと考えられている。

5.ホモ・ルドルフエンシス

(via wikipedia)

生存時期:約190万年前ごろ

この人種は、初期型の人類であるハビリスと同時期にアフリカにいたとされる。その頭部しか化石遺体が見つかっていないため、分かっていないことが多い。かつてはハビリスと同一とされていたが、頭蓋骨の形が明らかに異なったため、別の種となった。

【ルドルフエンシスの復元像】

(via Bradshaw Foundation)

この人種はハビリスよりもサルに近く、脳の大きさは現生人類の半分以下で、ハビリスの80%くらいであったと見積もられている。

6.ホモ・アンテセッサー

(via wikipedia)

生存時期:約120万年前~80万年前ごろ

初めてヨーロッパに居住した人類と考えられており、スペインのグランドリナ遺跡でのみ遺体が発掘されている。男性で身長は1.6~1.8m、体重は90kg近くあった。

【アンテセッサーの復元】

(via Wikimedia )

脳のサイズは現生人類の85%ほどと見積もられており、初歩的な会話が可能だとする証拠が見つかった。また、その遺体の痕跡から食人を習慣にしていたことが示唆されている。

7.ホモ・ハイデルベルゲンシス(ハイデルベルク人)

(via wikipedia)

生存時期:約60万年前~40万年前ごろ

アフリカに生息したエルガステルから進化し、後に出現するヨーロッパのネアンデルタール人と現生人類の祖先になったとされている。すでに脳の大きさは現代人とほとんど変わらず、原始語を話し、槍を使って狩りを行っていたとされる。また初めて埋葬を行った人類でもある。

【ハイデルベルク人が使った木製の投げ槍(ドイツ)】

(via Wikipedia)

そして、一部のハイデルベルク人はかなりの巨体だった。身長が2.1mを超える化石遺体が見つかっているのだ。平均を見ても男性が身長1.75m、体重62㎏、女性は157cm、51㎏で、体の大きさは現生人類と同等かそれ以上だった。

8.ホモ・ケプラネンシス

(via Wikipedia)

生存時期:約50万年前~35万年前ごろ

この人種が存在したとする証拠は、1994年にイタリアの村チェプラノで見つかった頭蓋骨1つだけである。その骨格からエレクトスとハイデルベルゲンシスの中間だと考えられている。

またネアンデルタール人の祖先だという議論もされているが、詳細な分析にはさらに多くのサンプルが必要である。

9.ホモ・ローデシエンシス

【頭蓋骨のレプリカと復元イメージ】

(via wikipedia)

生存時期:約80万年前~12万年前ごろ

ザンビアの北ローデンシア(カブウェ)で見つかったことから、このように名付けられた。この人種は、ドイツで発見されたハイデルベルク人とよく似ており、その亜種、あるいは同一種だとみなされることが多い。

10.ホモ・ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)

【左:現生人類(4.2万~3.7万年前)、右:ネアンデルタール】

(via wikipedia)

生存時期:約60万年前~2.5万年前ごろ

現生人類とはDNAレベルで、たった0.12%しか違わない非常に似た種である。同じ祖先から約50万年前に分岐し、別々の進化を遂げた。

その祖先とは前述したハイデルベルク人であり、アフリカからヨーロッパに渡った者がネアンデルタール人に、一方でアフリカに戻った者が現生人類になったのではないかと言われている。

【ネアンデルタール人の分布域】

(via wikipedia)

遠目から見ると、現代人と見た目はあまり変わらなかった。既に脳の大きさも現代人と同じくらいに発達しており、その優れた知能で積極的にマンモスなど大型動物を狩猟し、何らかの祖語を話し、炉のある簡易的な住居・洞穴に集団で暮らしていたことが分かっている。

【マンモスの骨で作ったネアンデルタールの住居】

(via wikimedia)

11.ホモ・サピエンス・イダルトゥ(ヘルト人)

(via wikipedia)

生存時期:約16万年前ごろ

かつて東アフリカに生息し、ハイデルベルク人から進化した現生人類の直接的な祖先とされる。エチオピアのヘルト・ボウリでその化石遺体が見つかったことから、ヘルト人と呼ばれるようになった。

【ホモ・サピエンス(現生人類の一種)の初期型】

(via NayaBishwo)

これまでに保存状態が良好な頭蓋骨が3つ見つかっており、その頭蓋骨は現生人類の特徴を持ちながら、旧人の特徴も持ち合わせていた。

12.ホモ・フローレシエンシス(ホビット)

【現代人(左)とホビット(右)の比較】

(via bradshawfoundation)

生存時期:約19万年前~5万年前ごろ

インドネシアのフローレンス島で発見された小型の人種であり、ホビットとも呼ばれる。身長は1m前後しかなく、脳容量も現生人類の1/3ほどだった。それでも遺骨と一緒に見つかったゾウの骨などから、積極的に狩りを行い、火を使って調理する知能を有していたことが分かっている。

【骨格の比較】

(via Steemit)

ホビットは発見された骨の異常な小ささから、小人症のような発育障害を持った現生人類ではないかと主張する研究者もいる。だがこれについては、初期のヒト族とアウストラロピテクスと類似する骨格を持つことから、やはり別種の人類だという説が支持されている。

13.ホモ・サピエンス・アルタイ(デニソワ人)

【発掘されたデニソワ人の臼歯】

(via bradshawfoundation)

生存時期:約4.1万年前ごろ

2010年にシベリアのデニソワ洞くつで発見されたこの人種は、私たち現生人類とかなり近い種であった。化石遺体のDNA研究から、現生人類とネアンデルタール人、デニソワ人は共通の祖先から分岐した存在だと明らかになっている。

しかもこの洞くつは、ネアンデルタールと現生人類も暮らしていた場所であった。同時期に一緒に暮らしていたかはわからない。ただ現在でもデニソワ人のDNAは、一部の現生人類に受け継がれている。メラネシア人のゲノムの4~6%、中国南部の人々の1%が、デニソワ人固有のものと一致しているのだ。

このことから、現生人類とデニソワ人は別種でありながら、共存し交雑していた。

14.馬鹿洞人

(via wikipedia)

生存時期:約1.4万年前~1.15万年前ごろ

現在知られているなかで、最も新しい人類とされているのが馬鹿洞人(ばろくどうじん)である。そして最後に絶滅した人類ともいわれる。馬鹿という名前だが、見つかった場所が中国の馬鹿洞という洞くつだったからで、差別的な意味はない。

化石遺体から、その年代は約1万年前と推測されているものの、ネアンデルタール人よりも現生人類と似ておらず、旧人類の特徴が強く現れていた。また一緒に見つかった骨から、洞くつ内でシカの調理を行っていたことが分かっている。

【馬鹿洞人のイメージ】

(via The Independent)

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雑学

Posted by uti