驚くべき特殊能力を持つ部族・民族

世界には超人的な能力を持った部族がいる。それらの能力が備わったのは、生存のためであることが多い。たとえば漂流生活者は長時間潜水を、狩猟生活者は優れた視力を手に入れた。今回は、興味深い6部族の特殊能力をそれぞれご紹介していこう。

1.長時間の潜水が可能。フィリピンのバジャウ族

(via bbc)

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「海の遊牧民」とも言われるバジャウ族は、数世紀前から海上での暮らしを続けてきた。彼らは船を住居にして、海に潜って魚を捕まえ、毎日の食事を得ていた。部族の子どもたちは、幼い頃に泳ぎ方を習得し、8歳までには漁を始めるという。

【バジャウ族のハウスボート(お祭り用)】

(via wikipedia)

その結果として、バジャウ族の多くがダイビングの熟練者となる。彼らは水深70mまで潜ることができ、水深20mなら数分間活動できる。最も熟練した者では、13分間水中で息を止めていられるそうだ。

【バジャウ族の子どもたち】

(via wikipedia)

長時間の潜水ができるように内臓が進化していた

【脾臓(ひぞう・spleen)の進化】

(via wikipedia)

驚くべきことにバジャウ族は、他民族と比べて50%以上も脾臓が大きい。脾臓は血液を貯蔵する部位であり、水中では脾臓が収縮して、酸素を含んだ赤血球を血流に送り出す役目がある。

つまり、より大きな脾臓であるほど、より多くの赤血球が貯蔵でき、それらが運んだ酸素を利用して潜水時間を伸ばすことができるのだ。

この特殊能力は、この部族の遺伝子に刻み込まれた形質である。甲状腺ホルモンT4がより多く分泌される特異な遺伝子を有しており、これが脾臓の増大を起こすことが知られている。

2.長距離走で圧倒的なケニアのカレンジン族

(via Wikimedia )

フルマラソンにおいて、ケニア人がダントツの走者であることは間違いがない。現在の世界記録保持者エリウド・キプチョゲ(2:01:39)もケニア人であり、歴代の世界記録保持者は男性でトップ10人中4人、女性では10人中5人がケニア人なのだ。

【2019年時点のフルマラソン世界記録保持者:カレンジン族のエリウド・キプチョゲ】

(via wikipedia)

ケニア人の中でも特に優秀な記録を残しているのが、国内人口の1割を占めるカレンジン族(約500万人)である。彼らがどうしてここまで長距離走に強いのかは、いまだに分かっていないことが多い。でんぷん質の多い食事や標高の高さ、社会経済的な面が少なからず影響しているとされる。

だがそれらより、もっと強い影響を与えているとされるのが、カレンジン族の遺伝的特徴である。 この民族はマラソンに最適な小柄な身体とほっそりとした足首、ふくらはぎを持った人が多い。

足は振り子と同じように、軽いほど前後に振り出す力が少なく済むため、カレンジン族はほかの走者と比べてエネルギーを消費しにくい。これが長距離マラソンにおいて大きな利点となっているようだ。

3.水中での視力に優れたモーケン族

【モーケン族の少女】

(via Wikimedia )

先に紹介したバジャウ族と同様に、タイやミャンマーのモーケン族も海上で漁をして暮らす流浪民である。この民族の子どもたちは、水中で優れた視力を発揮する。

1999年にルンド大学で行われた研究で、水中における視力は平均的なヨーロッパの子供の2倍良いと判明した。興味深いことに、モーケン族の大人はこのような優れた視力を有していなかった。

(via PerseusJackson)

研究者は、子供の目が進化したのだと最初は考えていた。しかし入念な観察によって、モーケン族の子どもは水中で遠くに焦点を合わせるため、瞳孔を収縮させ、瞳のレンズの形を変化させていることが明らかになった。

そしてこの能力は子どもならば、訓練を受けると身につけられることも分かった。実際にヨーロッパ人の子どもたちを1ヶ月かけて訓練させたところ、モーケン族の同レベルの水中視力となったのだ。大人になるとこの視力が失われるのは、瞳のレンズが柔軟性を失うためである。

4.熟練した登山家、シェルパ族

【シェルパ族の男性(荷物運び役)】

(via wikipedia)

ネパールの少数民族であるシェルパは、6000年以上前からヒマラヤの高地で暮らしてきた。高地に順応したシェルパ族は熟練した登山家であり、エベレスト登山のガイド役として欠かせない存在になっている。

(via wikipedia)

シェルパの優れた登山能力は、遺伝子レベルで刻み込まれていることが示唆されている。シェルパは、高地での低酸素環境に耐えられるように、酸素の消費効率を向上させる遺伝情報を持っていたのである。そのため普通の人間なら高山病を起こしてしまう環境でも、シェルパはそうならない。

また高山では血液が濃くなるために、心筋梗塞や脳梗塞などを起こし死亡する事故が多いが、シェルパ族はこれに対しても強い免疫が存在する。

5.ガンと糖尿病に免疫を持つ。エクアドルの奥地に暮らすラロン低身長症の人々

【研究者らとエクアドルのラロン症村民】

(via WSAV-TV)

数万年前に、ある一人の遺伝子異常が原因で発症したラロン低身長症は、その子孫たちに受け継がれ、現在でも世界に350人の患者がいる。患者の多くは、エクアドルの人里離れた村に住んでおり、そこの村民は全員が身長120cm以下の小人である。

(via 425)

他の小人症と異なり、成長ホルモンは分泌されるが、肝臓内でそれを受け取る箇所が欠損している。また成長ホルモンによって肝臓が刺激を受けて分泌されるIGF1(インスリン様成長因子1)も存在しない。

これらによって低身長がもたらされるが、それと同時にがん細胞の増殖が抑えられ、インスリン感受性が高められるため、ガンや糖尿病にほとんどかかることがない。

村民のこの特殊な免疫は、ガン・糖尿病治療の医学的大発見につながるかもしれないと期待され、様々な研究が行われている。

実験では、ラロン症のネズミが普通のネズミに比べて、平均で50%寿命が長くなり、また病気にもかかりにくくいことが明らかになった。

またラロン症患者から製造した血しょうを、損傷した人間の細胞に加えたところ、損傷の進行が止まったうえに、細胞がガン化する前に自ら死滅することも分かった。

6.優れた視力を有するオーストラリアのアボリジニ

(via Listverse)

少なくとも6万年以上前にオーストラリア大陸に移り住んできたアボリジニは、生まれつき視力が良い。目の悪い子が生まれてくる確率は、一般人の1/5以下である。

そしてアボリジニの中でも、最も視力が優れた者は一般人の4倍、そうでなくても2~3倍良く、より遠くを見渡すことができる。

【アボリジニの目】

(via ABC)

この能力を買われて、オーストラリア軍は敵の位置や着弾点を狙撃手に伝える観的手の役割や、漁船や小型ボートでやってくる不法入国者の監視役を任せたりしている。

アボリジニの際立った視力は、狩猟生活を送っていた祖先が不毛なオーストラリアの大地で生き延びるために獲得した能力だとされている。遠くの木陰にいるカンガルーや数少ない泉を見つけるなど、やたらに広い土地で目が良いことは、非常に重要な能力だった。

(via maxpixel)

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雑学

Posted by uti