世界の危険なゴーストタウン4ヶ所
人災によってゴーストタウン化し、現在も近づくことが危険な町をご紹介しよう。
1.アスベストが舞う町。ウィトヌーム
(via wikimedia)
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西オーストラリアのウィトヌームは、1930年代に青石綿の鉱山が見つかるまで、のどかな田舎だった。青石綿とはアスベストの一種で、現在では世界中のほとんどで使用が禁止されている物質だ。
(via Alan Bilsborough)
アスベストは耐火性、絶縁性、防音性が優れていたために、建築資材として用いられていた。だが繊維状で飛散しやすく、吸入し続けると肺がんなどの致死的な病気が引き起こされる。
(via FireLordVivec)
ウィトヌームではWWⅡ頃から採掘の規模が大きくなり、1947年には企業城下町が築かれ、1950年代に人口が2万人に達し、周辺地域で最大の町になった。
(via perthnow)
(via FireLordVivec)
WWⅡ以前から、政府は既に青石綿の危険性について警告を続けていたが、採掘が不採算になり、健康上の懸念が高まるまで30年近くに渡って操業が続いた。その結果、推定2000人がアスベスト関連の病気で亡くなったとされている。
(via wikipedia)
鉱山の閉業後、政府の支援によって居住者の移住が促され、1993年までには郵便局や病院、学校、空港などすべての公共施設が閉鎖された。そして町は抹消され、地図上から消えた。
(via wikimedia)
採掘したアスベストの選鉱くずが未だに残されており、鉱山の周囲数kmに渡って宙を舞っている。そのため政府は、ウィトヌームに近づかないよう警告を出した。
しかし立ち退きを拒否した人たちが、現在でも3人住んでいる。既に送電網は停止され、住民は大きなリスクを負いながら生活を送っている。
2.アメリカで最悪の有毒ゴーストタウン、ピチャー
(via wikipedia)
オクラホマ州のピチャーは、1913年に鉛・亜鉛の鉱山が発見されて以来、アメリカ史上最大の採掘量を誇った。1917~1947年までに2兆円分以上を生産し、WWⅠの時代にはアメリカにおける亜鉛・鉛使用量全体の50%以上を供給した。
(via qijysivebyp)
1920年のピーク時には1.4万人の炭坑作業員、このほか4千人の鉱業関連の労働者が働き、町の人口は最高で9600人に達した。鉱石の枯渇とともに採掘は1967年に終了した。しかし不適切に廃棄された1千万トン以上の有害廃棄物によって、町は今もなおひどく汚染されている。
(via wikimedia)
鉛には毒性があり、上記の廃棄物には微量の鉛が混入していた。その中でも砂のように細かいものは飛散して宙を舞い、住民は外に出るたびこの毒を吸入することになった。また地下水にも鉛は溶け込み、それは飲水にされていた。
(via wikipedia)
(via Drone Dude)
これらのために、住民の多くが腹痛や嘔吐、麻痺などの症状で鉛中毒を引き起こした。また1990年半ばの調査では、周囲の学区に住む子供の1/3が鉛中毒により、学習障害をきたしていたことが分かった。
また2006年には、大規模な採掘によって地盤が不安定になり、崩壊の危険性が高いという調査結果が発表された。実際に採掘による地盤の陥没で、1人のドライバーの命が奪われた。
(via wideopencountry)
これらの事態を受けて、州政府は土地の買い占めを行い、住民に別の町への移住を促した。州政府の支援を受けて2015年に移住が完了し、人口が0人の完全なゴーストタウンとなった。
3.放射能で汚染されたプリピャチ
(via wikimedia)
プリピャチは、チェルノブイリ原子力発電所から約3km離れた計画都市であり、原発従業員とその家族が人口の大半を占めていた。
1986年の原発事故前には、人口が5万人近くに達し、発電所の拡大によって、今後さらに人口が増えるはずだった。
(via wikimedia)
しかし原発事故から36時間後には、プリピャチの住民に避難指示が出され、1000台以上のバスを中心に、鉄路や船舶に分乗してプリピャチから離れていった。1週間後にはプリピャチ以外も含め、30km以内に居住するすべての人間(約11万人)が移転し終えた。それ以来プリピャチには、人が住んでいない。
(via hbo)
避難指示が出るまで住民のほとんどが普段と変わり無い生活を送っていたため、避難者の中には既に放射能中毒を発症した人もいた。
原発事故から1ヶ月以内に31人が亡くなり、WHOの調査によって今後9000人が放射能の影響で死亡すると予測された。実際に事故以降、がんの症例数は激増しており、特に子供の甲状腺がんは、症例数が約20倍と著しく増加した。
(via Sergiu Bacioiu)
プリピャチは、現在も放射能汚染があり、安全なレベルまで落ち着くには約900年とかかると見積もられている。しかし多くの地区は、X線検査を3回受けるほどの放射能であり、短期滞在の場合にはほとんど害は無いとされている。
4.汚染された湖に沈没したジャマナ
(via Sergiu Bacioiu)
ルーマニアのジャマナは、緑豊かな山の谷間にある小さな村だった。しかし不幸なことに、この近くでルーマニア最大となる銅鉱山が発見され、製錬で発生した廃棄物の投棄場となった。
(via wikimedia)
ジャマナが位置する谷間は、廃棄物の受け皿に最適な場所だとされたため、当時のルーマニア大統領ニコラエ・チャウシェスクは、村民にこの村を放棄させ、谷間全体を水で満たすことを命じた。
(via rferl)
この村に住んでいた400の家族が別の町への移住を余儀なくされ、村は人工湖の中に沈んだ。そしてそこに鉱山の汚泥が廃棄されることになった。
鉱山では年間1.1万トンの銅が生産され、それにともなって廃棄される汚泥は、湖の水位を上昇させ続けている。現在は、教会の尖塔や家の屋根が湖から顔を出しているが、そのうち完全に有毒な汚泥で覆われてしまうだろう。
(via amusingplanet)
湖は様々な有毒の化学物質を含有しており、特に毒性の強いカドミウムは基準値の10倍以上の濃度になっている。カドミウムはイタイイタイ病を引き起こしたことでも知られ、腎臓や肝臓、肺に損傷を与え、発がん性も確認されている。
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