サメを喰らう世界最大のタコ、ミズダコ(雑学)
かつて船乗りの間では、驚異的な大きさを誇る海の怪物、クラーケンは恐れられていた。その姿はタコやイカのようであり、船を転覆させて海に落ちた人間を食べてしまうと信じられていた。
(via wikimedia)
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これは古くからの言い伝えであり、その大きさについてはかなり誇張されていると思われる。特に大西洋での目撃例は、島と見間違えるほどの大きさだという報告が多かった。一方で太平洋での報告は、大西洋に比べればより現実的な大きさであった。
(via octolab.tv)
その太平洋の怪物の正体こそが、世界最大のタコである「ミズダコ」だったかもしれないと言われている。今回は、海の怪物ミズダコの巨大さを中心に、その生態についてご紹介していこう。
全長6mを超える巨大さ
(via scubadiving)
ミズダコは足を広げると、その両端の長さは3~6m、体重は10~50kgにもなった。これは一般的によく知られるマダコの3倍以上である。また動物学者のG.H.パーカーによれば、最も大きな吸盤は6.4cm、その1つで16kgの重量物を支えることができたという。
(via Montray )
個体の最大記録として体長9.1m、体重272kgに達するものがいたとされる。しかしその最大個体の大きさについては議論の余地があり、ギネス世界記録では体長9.8m、体重136kgとしている。
(via monterey bay aquarium)
巨体ゆえにクチバシの部分(カラストンビ)は、人間のこぶしほどの大きさになる。このクチバシは唯一体の硬い部分であり、これよりも少し大きい隙間なら容易に体を入り込ませることができる。
サメも食べる
(via corehe)
ミズダコは最大時速40kmで移動し、その強力な吸盤で獲物を捕らえ、その大きなクチバシで硬い貝殻や甲羅をかみくだく。主食はケガニやタラバガニなどの大型甲殻類、魚類やホタテガイのような貝、ウニ等とされる。
そしてサメは、ミズダコの天敵であると同時に獲物でもある。飼育下では最大1.2mの小型サメを捕食する様子が目撃されており、野生でも死んだ個体を食べているところが見つかっている。またミズダコの生息地でも、生きたサメを捕食していたとされる有力な証拠が発見されている。
(via cbc)
2012年5月には、野生のタコが溺れたカモメを襲う写真がアマチュアフォトグラファーによって撮影された。これらのことから、ミズダコは食べられる大きさであれば鳥でさえも食料としてしまうことが明らかになった。
人も襲われることがある
タコは基本的に人間を避ける傾向にあるため、近づきすぎない限り襲われることはまずないだろう。だがミズダコは他のタコと同じく、柔軟に形と色を変えてカモフラージュするため、知らずに接近してしまうことがある。
(via CGTN)
人間でさえ巨大個体に絡まれたらひとたまりもない。実際にダイバーが潜っていたときに襲われ、溺死したケースが報告されている。
美味しい食材でもある
(via 大島)
ミズダコは、日本の東北地方以北の海に広く分布しており、北海道では最も漁獲高の多いタコである。そもそもミズダコという名前は、食べた際の身の柔らかさと水っぽさから名付けられたものだ。
(via wikimedia)
ミズダコは、スーパーで北海タコなどの名称で販売されている。こちらのほうが聞き馴染みがあるかもしれない。
マダコよりもコクは少ないが、歯ざわりがよく、刺身や寿司、たこ焼き、しゃぶしゃぶなど様々な料理の主役になる。
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おもしろい( ◠‿◠ )