これまでに起きた5つの大量絶滅と現在進行中の絶滅
現在までに動物種の99%以上が絶滅している。その原因は、これから紹介する5つの時代に起きた大量絶滅にあるとされている。それら5つと現在進行中の絶滅について順に見ていこう。
1.オルドビス紀ーシルル紀の大量絶滅 約4.44億年前
(via e-wiki)
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この頃は、生物のほとんどが浅い海に生息していた。海はオウムガイ類(原始的なタコ)、三葉虫、サンゴ、ヒトデ、顎の発達した魚などであふれていた。だが陸地には、コケや藻などの原始的な植物しか見られなかったとされる。
これらの動植物は、大きな気候変動によって85%の種が絶滅した。これは5つの大量絶滅の中でも2番目に大きいものだった。厳しい氷河時代がこのときに訪れたのである。
(via Pixabay)
当時は気温が比較的暖かったが、何らかの原因で気温が劇的に下がった。これによって氷河が形成され、それにより海の水位が減少。浅い海にほとんどの生物がいたため、海が干上がった事と気温下降が重なって大量絶滅にいたった。
2.デボン紀後期の大量絶滅 約3.75億年前
(via Twicsy)
デボン紀は、足のように頑丈なヒレを持った肺呼吸する魚類が現れ、海から陸上への進出が始まった時期である。これらの生物は、後の両生類や爬虫類へと進化していった。
また陸上にはコケ類よりも複雑な植物、すなわち体内で水輸送が可能な根や種を持つ植物が現れた。これらの植物は、常に水でぬれている必要が無くなり、海岸から離れた高地で森を形成し始めた。
(via Prezi)
一方で海には硬い殻をもつ三葉虫が大繁栄し、それをエサとするサメなどの大型魚類が出現した。三葉虫は最初の大量絶滅をやり過ごして1億年以上を生き延びたが、この絶滅イベントでほとんどが一掃されてしまった。
(via James St. John/flickr)
(via igpcolorado)
その絶滅の犯人は、地球の地面を覆い尽くした植物だとされている。繁茂した植物は、二酸化炭素を吸収して地球の寒冷化を引き起こした。
また深く張った根が、土をかき乱して流動性を高めた。その土は風に飛ばされて岩を削り、植物や藻類の成長に必要な栄養を海に放った。海に大量に注がれた栄養分は、藻類の大量発生を引き起こし、海に溶け込んだ酸素の多くを奪ってしまった。
(via NASA Landsat)
酸素の少ない環境ではほとんどの生物が生き延びられなかった。50%以上の海洋種が絶滅したのだ。
3.ペルム紀末の大量絶滅 約2.51億年前
(via The Virtual Fossil Museum)
ペルム紀にはホ乳類の祖先となった単弓類、様々な爬虫類、両生類、昆虫が陸上で豊かな生態系を築いていた。だがこの時代の末期に史上最大の大量絶滅が起きた。海生生物種の95%、陸上生物種の70%が死に絶えたのだ。
絶滅の原因について様々な要因が挙げられているが、その中で最も影響が大きかったのは、過去6億年の中で最大とも言われるシベリア近傍での火山噴火である。この噴火で、日本の国土の25倍を覆う溶岩が噴出したと言われている。
(via Cai Tjeenk Willink)
そして火山活動で発生した大量の二酸化炭素は、温室効果による気温の上昇を引き起こした。これによって深海のメタンハイドレートが大量に気化し、さらに温室効果が促進され、地球の平均気温は今よりも8℃高い、23℃に達した。
4.三畳紀ージュラ紀の大量絶滅 約2億年前
(via Preterist Bible Commentary)
ペルム紀末の荒廃から5000万年が経過し、地球上に再び爬虫類の時代が到来した。この頃には恐竜も出現したが、大きいものでもウマより小さかった。そしてこれらは、ティラノサウルスやステゴサウルスなど大型恐竜の祖先となった。
この時期の大量絶滅で、全ての生物種の76%が死滅したが、当時小かった恐竜は難を逃れることができた。絶滅の原因として有力視されているのが、大規模な火山噴火である。噴火によって放出された二酸化炭素や硫黄ガスが急激な気候変動を起こしたとされている。
5.白亜紀-古第三紀の大量絶滅 約6500万年前
(via Phandroid)
三畳紀末の大量絶滅を生き延びた恐竜は、ジュラ紀、白亜紀で最大の繁栄を迎えたが、6500万年前に突如として絶滅した。この絶滅によって全ての生物種の70%が死に絶えたとされている。
恐竜絶滅の原因は、隕石の衝突が最も有力視されている。その衝突跡はメキシコのユカタン半島に残されており、クレーターの大きさは直径160kmにも達する。
(via The Guardian)
衝突時のエネルギーはTNT換算96兆トンで、人類が生み出した最強の核爆弾、ツァーリ・ボンバの170万倍と見積もられている。また衝突により発生した地震の規模は、マグニチュード13と推定され、周囲には約300mの津波が発生したとされる。ちなみにマグニチュード15で地球が崩壊すると言われている(規模は1000倍異なる)。
(via wikimedia)
隕石の爆発によって、ススやチリが舞い上げられ、微小なものは成層圏まで到達し、数年~数十年に渡ってただよい続けた。これによって地上に届く太陽の光が激減し、地上の暗黒化が始まった。
光が得られなくなった植物は光合成ができずに枯れ、それを食べる小動物が減少し、そしてその小動物を食べる恐竜などの大型動物がほとんど絶滅した。これらの生物がいなくなった後、小型の鳥類とほ乳類が繁栄し、現在の生態系がつくられたのである。
現在進行形の大量絶滅:完新世の絶滅
恐竜の絶滅から6500万年後、ついに私たち人間の時代が到来した。だが人間の活動によって第六の大量絶滅がまさに今、進行中である。
過去に大量絶滅を起こす要因となった二酸化炭素は、たった50年で25%増加し、地球の平均気温は産業革命以降、1.5℃ほど高くなった。この気候変動に加え、狩猟、漁業、生息地の破壊、汚染などにより、絶滅のスピードは人間がいなかった場合と比較して100~1000倍になったと見積もられている。
実際に過去500年のあいだに絶滅した種は、分かっているだけでも約1000種に達している。2016年には、人為的な気候変動で初めて哺乳類が絶滅した。
このまま人間による環境破壊が進めば、数百年後には過去の大量絶滅の域まで達しているかもしれない。これまでの大量絶滅では、食物連鎖の頂点にある動物たちが最も大きな苦難を強いられている。そのことを考えれば、頂点捕食者である私達人類の時代がこれを機会に、終焉へ向かうこともありうるだろう。
ディスカッション
コメント一覧
こういうの好き
太古のロマンだ
次の絶滅は人間の手によって…の可能性もあるんだね
こういう話もっとみたいな