信じられない副作用のある薬6つ

どんな薬にも副作用はあるが、吐き気や眠気、発疹、めまい等のよく知られた症状がほとんどだ。しかし、薬の中にはかなり変わった副作用を持つものがある。今回は、 信じがたい副作用を持つ薬を6つご紹介していこう。

1.ごくまれに失明を起こすイブプロフェン

(via Wikimedia )

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偏頭痛や関節炎などの痛みに効く薬として有名であるが、副作用として100万人に5人の割合で、スティーヴェンズ‐ジョンソン症候群(SJS)を引き起こすことがある。

この病気になると、体中が火傷したように赤くなったり、水ほうができたり、皮ふや粘膜の表皮がはがれ落ちたりする。表皮の剥離は眼球に起こることもあり、万が一重症化すれば失明する。

有名な症例としては、2004年にベロニカ・ゼンクナー(13歳)が頭痛の痛み止めにイブプロフェンを服用し、SJSを発症したケースがある。

【イブプロフェンの副作用でサングラスが常に必要となった少女】

(via nbcnews)

彼女はこの薬を服用後、最初に高熱を出し、それから数日以内に赤い発疹が顔から背中、腕、喉にまで広がった。そしてSJSの最悪の形態である中毒性表皮壊死症に発展し、左目を失明。右目も光過敏になり、常にサングラスが必要になった。

SJSはイブプロフェンの恐ろしい副作用だが、この薬に限らず、ペニシリンやナプロキセン、アセトアミノフェンでも報告されている。しかし、きわめて起こりにくい副作用であり、ここまで重症化するケースはかなり稀である。

2.暴力的かつ自滅的になりうる禁煙補助剤チャンピックス(バレニクリン)

(via aprilzosia)

バレニクリン、あるいはチャンピックスの商品名で知られる禁煙補助剤は、服用中の患者に自殺や暴力行為など、重大な副作用をもたらすことがある。

これは2007年にアメリカの食品医薬品局が発表した副作用であり、実際に精神科の薬で2番目に自殺が多い。また自殺未遂の件数も3番目の多さであり、抗うつ薬パキシルの約8倍に達する。

実際に副作用が報告されたケースでは、42歳の男性が何の理由もなく他人を殴打、24歳の女性がボーイフレンドを殴り自殺未遂、21歳の女性が母親を銃で脅迫、46歳の男性が自殺願望を持つようになる等があった。

2007年には死亡事故も起きており、この薬を飲んで暴力的になったミュージシャンがカノジョの家に押し入ろうとし、銃で撃たれ亡くなった。

この薬の販売元であるファイザーは、チャンピックスの医薬品安全情報を「一部の患者において行動変化・感情の高ぶり・抑うつ気分・自殺願望・自殺行為が報告されている」と改訂している。

3.指紋が無くなることがある。抗がん剤のカペシタビン(ゼローダ)

(via Wikimedia)

2009年、62歳の男性がアメリカの空港で入国を拒否された。男性には手指の指紋が存在せず、安全保障上の脅威とされたからだ。後に判明したのだが、男性はがん治療のため経口摂取の抗がん剤カペシタビン(ゼローダ)を服用しており、それによって指紋が消失していた。

指紋の消失は、おそらくカペシタビンの一般的な副作用として知られる「手足症候群」によるものだと考えられている。その症状として手足や指先、足底にしびれや発赤、はれ、皮ふのはく離などが起こる。

【カペシタビンを服用した患者の親指】

(via Dailymail)

ある研究ではカペシタビン服用から8週間で、14%の患者が指紋を失ったと報告している。しかし治療が終われば、服用終了後4週間以内で、1/3の患者に指紋の回復が見られるという。

4.睡眠中に食べたり、料理したりすることがある。睡眠導入剤のマイスリー(ゾルピデム)

(via Io9)

睡眠導入剤として多くの人たちが服用しているマイスリーだが、非常にまれな副作用として夢遊行動が知られている。(約1000人に1人といわれる)

この副作用を起こした服用者は、睡眠中に突然ベッドから起き上がり、何かを料理したり、食べたりし始める。そして台所でそのまま、あるいはベッドに戻って眠りにつく。その間の記憶は無いので、朝目覚めてキッチンやベッドの散らかりように驚くことになる。

また理由は明らかになっていないが、夢遊病者は睡眠中に高カロリーの食べ物を選ぶ傾向があるため、肥満につながりやすい。

マイスリーは、夢遊運転病との関連も示されている。夢遊状態で車の運転をしてしまい逮捕されたケースが実際にあるのだ。運転前にこの薬を服用したその人物は、やはり運転時の記憶はなかった。

5.ギャンブルがしたくなるかもしれない。精神病薬のエビリファイ(アリピプラゾール)

(via Helge V. Keitel)

エビリファイは自閉症、統合失調症、うつ病などの症状を抑えるために用いられている。この薬には食事や買い物、性行為、ギャンブルに対して抑えがたい衝動を起こす副作用がある。

元々ギャンブルをやっていた人はもちろんだが、奇妙なことにギャンブルを全くやっていなかった人にも、ギャンブル中毒に引き起こすことがある。元服用者の一人は、服用を始めてからギャンブルのしすぎで、実家を追い出されたと話した。

(via Rosino/flickr)

またあるラスベガスの女性は、うつ病の治療にエビリファイを処方されてギャンブル中毒になり、その結果自宅と子どもを失ったと言う。服用以前には一度も賭博をしたことはなかったが、服用からわずか5年で1億~2億円をギャンブルに費した。

あるときには、ギャンブルに夢中になりすぎて、飛行機の便に乗れなかったことがあるという。その後、便の変更をしたが、それもまたギャンブルのために乗れなかったそうだ。

どうしてエビリファイはこのような衝動を引き起こすのか。研究者らは、エビリファイは快楽を司る脳のドーパミン受容体に影響を及ぼすからだと考えている。そのため、これらの衝動性は服用を中止すれば収まる。

6.人種差別的でなくなるかもしれない。心臓病などの薬インデラル(プロプラノロール)

(via Rosino/flickr)

不整脈や高血圧、心筋梗塞などの治療に利用されるインデラルに、奇妙な副作用が見つかった。オックスフォード大学の研究者が「インデラルに差別心を和らげる副作用がある」と2012年に発表したのである。

その研究結果が得られた実験では、36人の白人を2グループに分け、片方はインデラルを、もう片方には偽薬を与えた。その後両グループに「潜在意識中での人種差別心」を検知するテストを行った。

するとインデラルを服用したグループは、偽薬を服用したグループと比べて、明らかに差別心が弱くなっていた。研究者はこの結果について、薬が脳の感情を司る扁桃体に作用したためだと考えている。

参照:listversehowstuffworks

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雑学

Posted by uti